51 【改変ルート】竜族の献花
竜グラドールの住処は岩山の頂上付近にあった。
洞窟内部は五頭の竜が暮らしてたということもあって、広大だった。天井や壁には荒々しい岩肌が走っている。
グラドールは地面を揺るがしながら、オレを奥まで案内し、過去となった竜族の栄光を語り聞かせた。
気配がない洞窟に会話が寒々しく響く。
グラドールは竜王軍の襲撃により最後の一頭になってしまったことをぼやいた。
仲間の魂は蹂躙され、竜王を強化する素材にされた。
墓地は洞窟内の一角にあった。グラドールはザルドナから取り返した竜の煌めきを弔う。
せめて妻の魂だけでも仲間たちの元へ送り出せて良かった、とグラドールは竜の煌めきを土に埋めた。
草が、芽生えた。
花が咲く。岩肌が緑に染まり、白やピンク、黄色の蕾が宿る。
振り返ると入口に向かって、次々と花弁が開いた。甘い香りが洞窟内に満ちた。
それだけで、暗い洞窟内に光が灯ったように明るくなった。
「わあ」
リュシエルが口元を綻ばせた。
「束の間だ。完全に土に還るとまた草花は枯れ、元に戻る」
グラドールが説明する。
竜族にとっての献花だそうだ。グラドールは妻の墓前で体を伏せ、地面を撫でるかのように尻尾を揺り動かした。
オレとリュシエルは、無言の対話をするグラドールから離れた。




