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悪役令息に転生したオレは、勇者のために死ぬべきか~処刑前夜から始める異世界脱獄物語~  作者: 未玖乃尚
第五章 改変ルート

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40 【正規ルート】勇者が言いそうなセリフ

「なぜ手柄を譲った?」

 どこからか低くかすれた声がした。聞き慣れない響きだ。

 辺りを見回した。


「ワシじゃないぞ」

 岩陰に隠れていたドグルドが、首を出して否定する。

「私も違うよ」

 おとなしく戦況を見守っていたリュシエルが、大きく首を振った。


「ここだ」

 尻尾を軽く揺すって、竜が顎を開く。

「お前かよ、急に話すから誰かと思ったぞ」


「ザルドナに止めを刺すならできたはずだ。なぜ、私に譲った?」

「恩を売りたかったから、かな」

「お見通しと言うわけか」

 竜が話すたびに、牙に引っ掛かった石が緑色に輝く。


「爺さんがそれを見せびらかしたら、お前の顔つきが変わったからな。鱗と石のために竜を殺したことは想像できた」

「素材としての竜の鱗は、剣の切れ味、防具の強度を何倍にも高め、魔力の伝導率にも優れている」

 リュシエルがオレに特性を説明する。


「竜麟も竜の煌めきも伝説級のアイテムだが、入手するのは不可能に近かった」

 ドグルドはドワーフの鍛冶師だ。素材関連の情報にも詳しいはずだ。


「いずれも竜の命を断たねば、手に入らんものだ」

 竜は苦し気に顔をしかめて吐き出すように言った。

「竜王の剣の素材集めのために、竜麟を求めてザルドナが攻めてきたってとこか」

 フェグリム、ザルドナの話をまとめての答えだ。


「正確にはザルドナと四天王筆頭である竜人アルザークだ」

 竜は熱を含んだ息を吐きだした。怨嗟を込めるように名を告げる。

「五頭いた竜も、私だけになってしまった」


「オレが仲間の仇を討ってやろう」

 竜は直立して唸った。首肯するでもなく、嘲笑するでもなく、オレの発した言葉を咀嚼しているようだった。


「人間のお前に出来るのか、などとは言わん。現にお前は四天王のうち三柱を屠っている」

「その代わり、竜王城までオレを運んでもらおうか」

「背を貸す、それだけで良いと?」

「いいけど」


「私は背を貸すだけで復讐を果たせる。お前は命がけで竜王と戦う。お前に何のメリットがある?」

 真意を探ろうと竜が問いかける。


 オレにとっては、この物語の予定調和を壊せるという大きな報酬に繋がるのだが、説明しても理解されないだろう。

 腕組みをしてもっともらしい理由を考える。

 勇者物語で、勇者が言いそうなセリフだ。


「世界の平和だ」

 遠い目をして言った。鳥肌が立つ。

 これほどオレに似合わないセリフもないだろう。可愛い女の子のため、とか自分のためというくらいがオレにはちょうどいい。


「あー、世界を平和にしたい。竜がオレを運んでくれたら、世界は救われるんだけどな」

「イズル、心にもないこと言うんじゃないよ」

 リュシエルが失礼なことを言う。


「全くないこともない」

「どうだか、あんたは女の子が絡まないとやる気を出さないだろうからね」

 天使がため息をつく。


「世界を救うことは女の子を救うことにもつながるだろ」

 会ったこともないような女性ばかりだけど、それでもいい。

「世界を救う、か。なるほど、勇者にふさわしい言葉だな」

 納得したのか、竜は頷き満足げに尻尾を振る。


「さすが、ワシの見込んだ勇者だ。真理の剣に選ばれただけのことはある」

 残念だな、ドグルド。オレは勇者ではない。

 お前の目は節穴だ。


「よし、ではオレを竜王城へ運んでもらおうか」

 竜に乗れば、ぼけっとしてても城へ到着する。

 オレも楽できる。

「一つだけ、頼みがある」

「頼みって?」


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