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悪役令息に転生したオレは、勇者のために死ぬべきか~世界が殺しに来るなら、運命に抗い脱獄する~  作者: 未玖乃尚
第四章 暴かれた真実

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22 《勇者》真贋の目と真理の剣

 村に着くと、勇者エミルは慌ただしく馬を下りた。

「遅くなったな。まさか屋敷内の人間まで、魔物が化けていたとは」

 戦士ゴードンが焦りを滲ませながらエミルに続く。


 エミルは真贋の目で、当主グスタフ・エルミオンの正体が魔物だと看破した。彼だけではなかった。屋敷内や騎士団には、数多くの魔物が紛れ込んでいた。


 真贋の目には欠陥があった。

 勇者には嘘も幻覚も、変装や変身といった類いも通用しない。

 だが、それは勇者に対してだけだ。いくら周囲の人間に真実を示そうとしたところで、納得させるのは難しい。


 エミルは人々を説得するために、立証しなければならなかった。

 証拠を固め切るより早く、グスタフが動いた。


 隣村を襲撃したのだ。

 幸いなことに街には勇者の協力者がいる。彼らの力を借りて魔物を排除し、どうにか街の安全は確保できた。

 勇者一行はすぐさまグスタフを追った。


「仕方ありません。街の人々に危害が及ぶ可能性もありましたから」

 馬の扱いに慣れていない賢者キュロが、やや遅れて村に到着した。


「急ごう」

 エミルの呼びかけに、二人が頷く。


 村には焦げた臭いが漂っていた。

 グスタフが襲撃した名残だ。

 エミルを先頭に、勇者たちは慎重に進んだ。被害は一部に留まり、全焼した建物はなさそうだった。


「間に合った、のか?」

 エミルが呟く。


 グスタフは軍を率いていた。

 街での対応に時間を割かれ、出発が遅れたことから、彼は村が凄惨な状態になっていることを覚悟していた。


 村の中央広場付近まで来ると、人の騒めきが聞こえてきた。

 エミルが足を止めた。騎士と村人が輪を作り、談笑していた。

 村に攻め込んだ加害者と被害者にはとうてい見えない。


「おい、あれ」

 ゴードンに言われるまでもなく、エミルの視線は輪の中心にいる人物に引き寄せられていた。


 キュロが喉を鳴らす。

「ジュリアン・エルミオン……」

 掠れた声でキュロが言った。


「レベル15……」

 真贋の目は、ジュリアン・エルミオンをそのように鑑定した。


「15だって?」

 ゴードンが聞き返す。

「おいおい、冗談だろ、昨日はレベル3のヒヨッコだったんだぞ」


「いえ、デーモンとの戦いでレベル7まで上がってましたよ」

 キュロが訂正する。


「それにしたって、一日で7から15って、レベルが上がりやすい特殊体質でもあるのか」

「いや」

 エミルが否定する。そのような体質など存在しない。


 関連があるとするなら、肉体だ。

 健康だったり、栄養状態がよければレベルが上がりやすいし、逆なら上がりにくい。

 彼の肉体は、投獄の影響からか明らかに痩せすぎで状態は悪かった。


「どちらかと言えばジュリアンは、レベル上昇に制限がかかっているはずだよ」

「だったらどうしてなんだ、エミル」

 ゴードンが結論を促す。


「例えば、よほどの強敵を倒してきた、とか」

 彼の腰には異彩を放つ、白銀の剣があった。昨日の時点では所持していなかったものだ。


「真理の剣……」

 真贋の目で見極める。エミルが所持する破邪の剣と同レベル、つまり伝説級の武器だ。


「あれが、真実を暴き、所有者に最適化する剣、ですか」

「ほんとに存在したのかよ」

「そのよう、だね」

 こんな辺鄙な村に隠されていたとは。


 エミルは驚くとともに、グスタフは村に真理の剣があると睨んで、ヤリスの街に拠点を構えたのかもしれないと推察した。


 グスタフはいずれ、真理の剣を奪うつもりだった。

 どうやらその目論見も失敗に終わったようだ。


「私は勝手に、真贋の目と真理の剣は導き合うものだと思っていました」

 キュロの言葉はエミルの考えを代弁していた。

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