竹槍
とある国の野営地にて――
「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」
「そのまま聞け! 諸君らも知ってのとおり、今、我が国は侵略の危機に瀕している!」
「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」
「正直に言おう。我々と敵国との軍事力には、決して埋まらないほどの差がある……」
「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」
「敵の兵器は我が国の境界線を容易に越え、今もなお進行中である!」
「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」「ヤー!」
「確かに、これは厳しい戦いだ……だが、諸君らは選りすぐられた精鋭だ!」
「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」「エイ!」
「圧倒的な軍事力の差を覆すだけの魂を持っている! 敵は今に空から襲来するだろう。しかし、鍛え上げた技があれば、あんな――ん? おい、今の音を聞いたか! 来たぞ! 空だ! 全員、竹槍を構えろ! 敵機を狙って、投げろおぉぉぉ!」
「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」「イイイヤー!」
そして、敵国の作戦本部にて――
「……上官殿」
「なんだ? もう首都に達したか? 我が軍は圧倒的だな」
「いえ、こちらの部隊が全滅したとの報告が入りました……」
「なんだと? 馬鹿な。まさか、敵は我々を上回る新兵器を……」
「それが……機体のカメラの映像によると、どうやら竹槍によって撃墜された模様です……」
「竹槍だと……」
上官は眉をひそめ、映像を確認した。そこには無数の竹槍が空へと放たれ、プロペラ部分に突き刺さり、次々と墜落していくドローン兵器の姿が映っていた。