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マリカの成長とレアドロップ

「ごめんごめん。次からは気を付けるから」


 今にも泣き出しそうなマリカの頭を撫でて慰める。

 気を付けるとは言ったもののもうしないとは言わないが。


 マリカは俺が殴られている時も泣きそうな顔をしていた優しい子なのだ。

 だったら止めに入れよって?

 そんな事を出来るのは誰からも愛される主役属性の人間か殴っている奴らよりも強い奴だけだろう。

 被害者が増えるだけの蛮勇なんか記憶が戻る前の俺は求めていなかった。

 一人でも同情してくれる人間がいる事に精神的に救われていたのだからそれで良いって話だ。


 謝りながら暫く頭を撫でていたらマリカは漸く泣き止んで。


「前衛は私がやるからね!ロード君は援護して!」


 マリカがやる気になったので結果オーライとしよう。


「スピードアップ!スラッシュ!」


 第2階層を探索しながら下の階層に下りる階段を探しているのだが、マリカは遭遇したファングラビットを危なげなく倒している。

 俺が手本を見せた通りにファングラビットが攻撃を仕掛けてくるまでしっかりと目で追って速度バフが掛かるスピードアップからのスラッシュで確実に仕留めていく。

 やはりなかなか筋が良いので、初めから剣ではなく短剣を使っていれば冒険科のブービーに留まる事はなかっただろう。

 お陰で俺は将来有望な仲間を得る事が出来た訳だが。


「ナイス!そろそろMPが切れそうだからMPポーション使っておこう」


「うん!ありがとう!」


 【アイテム】から100B!MP回復ポーションを取り出してマリカに渡すと、マリカは蓋を開けて青色の液体を手に振りかける。

 ポーションは飲んでも効果を発揮するし、実は100B!ポーションは味も甘くて美味しいのだが敢えて飲まないのは飲み過ぎるとお腹がタプタプになるからだ。

 俺やマリカはまだレベルが低いので、スキルを使用する時に消費される最大MPも少ない。

 だから全快しても直ぐにMPが枯渇してポーションのお世話になる事になるので飲まずに体に振りかけるのが今の所は正解だ。


「それにしても凄いよねぇ。

 魔力ポーションなんて高いのにこんなに沢山使っちゃって良いの?」


 マリカが不思議そうに。

 でも申し訳なさそうに言うのだが。


「ああ、実はちょっとした伝手で安く仕入れられるんだよ。

 普通のポーションもあるから怪我をしても死ななければどうにかなるぞ」


「そうなんだ!けど怪我はしない様に気を付けるよ!」


 本当にマリカは物分かりが良くて助かるな。

 実際に【ショップ】で買える100B!ポーションシリーズもこの世界ではチート級のアイテムだと思われる。


 そもそも100B!ポーションシリーズとはなんぞや?という話なのだが。

 これは【GOD PLANET ONLINE】のリリース2周年記念で後発プレイヤーの救済として実装されたアイテムだ。

 後発プレイヤー向けなので“安価”で“それなりの効果”で“容易に入手可能”な回復アイテムとしてショップに並べられた。


 100B!ポーションシリーズには、HPを1,000回復する100B!HP回復ポーション。

 MPを100回復する100B!MP回復ポーション。

 状態異常をランダムで回復する100B!状態回復ポーションの3種類が存在する。


 価格は全て100Bと安価だしHPとMPは固定値回復なのである程度レベルが上がると雀の涙ほどしか回復しないが初心者にとっては1本で全快出来るので非常に有難いアイテムである。

 因みに状態回復ポーションは毒や麻痺や暗闇を初めとする状態異常をランダムで回復してくれるアイテムで、使ってみないとどの状態異常に効果を発揮するかわからない。

 だから毒を治そうとして飲んでも他の状態異常を引き続けて延々とBばかりが消費されていく可能性もあるのだが、石化など状態異常によっては高価なアイテムを買うよりも安上がりに回復できる可能性もあるので上級者にも好んで使う者はいた。


 っとまた自分の世界に入り込んでマリカに生暖かい目を向けられていたぜ。


「この世界のファングラビットってあれは落ちないのかな?

 あれが落ちてくれたら非常に有難いんだけどなぁ」


 ファングラビットに立ち向かうマリカを見ながらそんな言葉を呟いたのが良かったのだろうか。


「スラッシュ!」


 マリカの倒したファングラビットは正に今俺が思い浮かべていたアイテムを残して消えていった。


「レアドロップキタァァ!

 この序盤で月兎のネックレスが手に入るのはでかいぞ!

 マリカ、良くやった!」


 俺がテンションを爆上げしてるのにマリカは何があったのか理解していない様子だが。

 希少なアイテムが手に入ったんだと言うと漸く理解したらしくぴょんぴょんと可愛らしく跳ねて喜びを表現した。

 俺もそれに付き合って心の底から喜び合う。

 そのままカップラーメンが出来るくらいの時間喜びあって。


「これってそんなに凄いアイテムなんだね。

 確かに綺麗なアクセサリーだけど」


 月兎のネックレスは三日月をウサギが走っているデザインのトップに革紐が付いているアイテムだ。

 パッと見は出来の良いアクセサリーにしか見えないのだが。


「月兎のネックレスを装備するとAGI、、、要するに素早さが上がってより早く動けるようになるんだよ。

 だからこれはマリカが装備してくれ」


「ええ!?私で良いの!?」


 何故だか目を見開いて驚いているが、そもそもマリカが倒した魔物が落としたドロップ品だからな。

 マリカが身に着けるのは当然と言えば当然だし。


「おう!これで素早く安全に第6階層まで下りられるな!」


 そう言うとマリカは何とも言えない渋い表情を浮かべたが。


「着けてあげるからじっとしててくれるか?」


「う、うん」


 背中側に回って月兎のネックレスを装備させてあげたら何故だかやる気が爆上がったので俺達は高いモチベーションを持って探索を再開した。

 第2階層はベビーラットとファングラビット。

 第3階層はファングラビットの数が増えるだけなので火属性魔法を連発出来る俺と月兎のネックレスを装備したマリカに死角は無い。


 そして第3階層も順調に攻略して俺達は第4階層へと続く階段を下りたのであった。

お読み頂きありがとうございます。

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作者のモチベーションを上げるなら数字が一番だって昔どこかの偉人が言ってた気がする。

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