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マリカの戦闘力とファングラビット

「そういう訳で第2階層に行ってみようか」


「何がそういう訳でなの!?第1階層だけで帰るんじゃなかったの!?」


 マリカが良いツッコミを入れてくれたが、そういう訳ではそういう訳でだ。

 俺は初めから第1階層だけ探索して帰るつもりなどサラサラ無い。

 俺の目的は第6階層と第7階層にあるので、今日中に辿り着いてある作業を行わなければならないのだ。

 第2階層以降は授業で倒した事の無い魔物なのでマリカは明らかに乗り気でないだろうが。


「大丈夫だマリカ!さっきの魔法を見ただろう?

 俺を信じてついて来て欲しい!頼む!」


 こうなれば全力でお願いするのみである。

 まずは腰を90度折ってお願いをして、足らなければジャパーニズ土下座も披露する腹積もりである。

 俺の目的には一人でも多くの人手が必要なのだ。


「ちょっと!うん、わかったから!

 ロード君の事を信じるから頭を上げてよ!」


 チョロい。

 本気でお願いしたら何でもさせてくれるんじゃないかって心配になるぐらいチョロいんだが。

 兎にも角にもマリカの同行が決定したので今は良しとしよう。

 後で俺は大丈夫だけれど悪い人だっているんだから二つ返事で引き受けるのは良くないと忠告しておこう。


 おっと、今の内に一度【オークション】のチェックをしておくか。

 えーと、さっき見た出品数よりも減ってるな。

 これは狙い通りに事が運びそうだ。


「それ、外国語なのかな?文字は読めないけれど凄いんだね。

 物をしまえるし、この短剣もそこから出て来たし」


 どうやらパーティー登録をすると画面が見える様になるらしく、マリカが不思議そうな顔をして画面を覗き込んで来る。

 必然的に距離が近付いて女の子の甘い香りを感じてしまうのだが!?


「ああ、今はそんなもんだと思っててくれれば良いかな」


 俺は適当に言葉を濁して返事をしておいた。

 あまり多くの事を伝えても理解出来ないだろうし、オークションはこの世界で成り上る上での強力なアドバンテージになるので情報を開示する相手はじっくりと吟味しておきたい。


「よし、第2階層に向かうとするか。

 第2階層はベビーラットとファングラビットだな」


「うん。ファングラビットと戦うのは不安だなぁ」


「大丈夫だって!火力は俺がいれば余裕だからマリカは回避を重視して隙があればスキルを使って攻撃してくれ」


「わかった。やってみるよ」


 マリカはまだまだ不安そうではあるものの。

 俺達は第2階層へと下りて探索を開始したのであった。


「マリカ、ベビーラットにスラッシュだ」


「うん。スラッシュ!」


 相変わらずこちらの気配に疎いベビーラットに背後から近付いて攻撃を加える。

 マリカは意外と言ってはなんだがAGIが高いらしく移動速度は速いし身のこなしも悪くない。

 戦闘に関しては動きはド素人だがセンスは感じさせるので鍛えれば直ぐに戦える様になるだろう。

 何よりも素直で教えた事をちゃんと実行しようとするのが良い。


 スラッシュは初級短剣術の斬撃技で、斬撃の速度と威力を10%上昇させる。

 逆手に持ったダガーが背中に突き刺さると、ベビーラットはドロップアイテムに姿を変えた。

 それを確認するとマリカはこちらを振り向いて。


「やったぁ!あんなに苦戦してたベビーラットを簡単に倒せたよ!」


「おう!マリカは中々筋が良いじゃないか!

 これからもっと強くなるぞ!」


 マリカが笑顔を浮かべて嬉しそうに駆け寄って来たので両手を上げてハイタッチをする。

 何だかリアクションが初めてVRMMOで魔物を倒した初心者プレイヤーみたいで可愛い。

 マリカが急に強くなった理由は持っているスキルに合った武器を装備したからなのだが、それを言うのは野暮ってものだろう。


 どんなゲームも初心者のうちは一番伸びる時期だ。

 この時期に変な癖がついたりすると成長の妨げになる可能性は高い。

 だからマリカが嬉しそうにしているのであれば褒めて伸ばすのが俺の方針である。

 一緒に喜んだ方が俺も楽しいからな。


 第2階層の探索を開始して10分程。


「お、ファングラビットだ。まずは俺の戦い方を見ててくれ」


 そう言ってマリカの前に出た。

 ファングラビットは見た目茶色い毛並みの普通のウサギに見えるのだが、口を開くと獰猛な肉食獣の様な牙が生えている。

 ウサギは草食動物だが野生のファングラビットは肉食で捉えた獲物の肉をがぶがぶ食べるので前世のうさちゃん好きからすると中々にショッキングな映像だ。


「ロード君は後衛でしょ!?前に出るのは危ないよ!?」


 そう言って心配してくれるマリカだが、ファングラビット程度ならばどうと言う事も無い。


「問題無いよ。心配してくれるのは嬉しいけれどもしっかり見といてくれよっ!」


 ファングラビットとの距離はおよそ10m。

 俺がファングラビットに気付いたのとほぼ同時。

 あちらも俺達に気付いてぴょんぴょんと距離を詰める。

 一回のジャンプで1メートルほどの距離が詰まり、俺もファングラビット目掛けて駆け出して。


「危ない!」


 獰猛な顔で牙を剥き出しにしたファングラビットと交錯する直前に身を翻して攻撃を躱し。


「ファイヤー!」


 擦れ違いざまに初級火属性魔法の中で最も飛距離の出ない魔法で攻撃を加えた。


「ファングラビットはフェイントを入れて来ても空中で向きを変える手段は無いから慌てずにしっかり動きを見れば後衛だって簡単に躱せる」


 マリカ向けに解説を入れながら二度目の攻撃を避けた擦れ違いざまにフォイヤーを撃ってファングラビットはドロップアイテムに変わった。

 マリカは本気で心配したのか泣きそうな顔をしている。

 今度から俺が前に出る時は事前に説明を行う事としよう。

お読み頂きありがとうございます。

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作者のモチベーションを上げるなら数字が一番だって昔どこかの偉人が言ってた気がする。

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