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学内ダンジョン

 俺はマリカをこちら側に引き込む事に決めてダンジョンに潜らないかと誘ってみたのだが。


「ええ!?ロード君と私じゃ危ないよ!?」


 まあ色良い返事が貰えないのは想定内だ。


 ダンジョンとはこの世であってこの世ではない。

 単なる洞窟にしか見えないのに中に入ると見た目からは想像もつかない程の広大な空間が広がっていて。

 魔物が湧き、罠が湧き、宝が湧く。

 要するに魔物がいる場所に冒険科のワースト2で潜るのは危険だとマリカは言っているのだが。


「第1階層だけだから。ベビーラットならマリカでも倒せるだろ?頼む!」


 俺はマリカに頭を下げて頼み込む。


 学園内にあるダンジョンには魔物との実戦経験を積む為に授業で何度か潜った事がある。

 俺はベビーラットという最弱の魔物相手でも毎回死に掛けて皆に笑われる役目だったが、マリカはどうにか倒せていた筈だ。

 だからベビーラットしか出現しない第一階層なら問題はない。

 加えてマリカから受ける印象として頭を下げてお願いすれば。


「え?そんな、わかったから!第1階層だけだったら付き合うから頭を上げてよ!」


 よし来た。

 何となく頼みごとを断れないタイプなんじゃないかと思っていたんだよな。

 移動教室の時にクラスメートの荷物持ってたり食堂の席取りさせらたりしてたから。


 あれ?マリカってパシられてね?


 ま、まあ前世の記憶を取り戻して広い視野で物事を見れる様になって見えて来た事もあるってこったな。

 言質を取ったら気が変わらない内に移動だ。

 学内ダンジョンは校舎の裏手にあるので早速向かうとしよう。


「何だかロード君、雰囲気が変わったね」


 ダンジョンまでの道すがら、マリカがそんな事を言い出したのだが。

 今の俺は完全に前世の自分が上書きされたから雰囲気どころか人格が変わっている。


「頭打って昔の自分に戻ったみたいな?」


 前世の記憶がどうとか言っても信じて貰えないだろうし、ここは適当に流しておく事にしよう。


「ああ、そういう事ってあるよね。私も人見知りだった頃の自分に戻っちゃう事ってあるもん」


 何故か共感してくれたのだが。

 まあマリカが勝手に勘違いしてくれるなら都合が良い。

 だったら俺もそれに乗っかって。


「そうだよな。俺も重度の女好きだった自分に戻った気がするんだよ」


「え?それは直した方が良いんじゃないかな」


 盛大に失敗したのであった。

 マリカは両腕で胸を隠す仕草をして警戒している。


「わっはっは!冗談だよ冗談!俺がそんな男に見えるか?」


「そうだよね!私勘違いしちゃった。恥ずかしい」


 どうにか誤魔化せたみたいだな。

 ダンジョンに着くまでに話をしてマリカとは結構打ち解けられた気がする。


 それと気付いたんだが、マリカって笑った時にえくぼが出来るんだよな。

 それに前世の基準で言うと普通に可愛い。

 この世界、美男美女が多い世界だから比べてしまうとあれなんだが。

 前世日本人の俺からすると素朴で可愛らしい女の子って感じだ。

 これは正直言ってモチベーションのアップに繋がると言わざるを得ない。


 ちょっと格好良い所を見せ付けちゃうぞ。


 そうこうしているうちに学内ダンジョンに到着。

 ダンジョンの外観は様々なのだが、学内ダンジョンは岩で出来たかまくらみたいな見た目をしている。

 入口には皮鎧を身に着けた男が立っていて、学生証を提示するとダンジョンの中に入れる。


「1年か。明日から夏休みに入るからダンジョンに潜る生徒も減る。

 くれぐれも気を付けて危険だと思ったら引き帰して来るんだぞ」


「了解です!御忠告感謝します!」


「あ、ありがとうございます」


 俺が前世で言う挙手敬礼をしながら返事をすると皮鎧の男は「うむ!」と言って道を開けた。

 マリカも俺に倣っているが、別に君までやる必要はないんだけどな。

 因みにこの世界では握った拳を左胸に持っていくのが騎士の礼なので前世の挙手敬礼はこれといって意味を持たない。

 まあ相手を敬っている雰囲気は伝わるだろうし、それで良いだろう。


「それじゃあ行こうか」


「うん」


 こうして学内ワーストとワースト2のコンビは危険なダンジョン内へと足を運び。

 そのまま帰らぬ人となったのであった。


「んな事あるかい!ファイヤーボール!」


 学内ダンジョンに入ってものの数秒で呑気に尻を向けているベビーラットと出くわしたので試し撃ちとばかりにさっきスキルブックで取得した火属性魔法のファイヤーボールで攻撃した。

 不意を突かれたベビーラットはファイヤーボールが命中すると一撃でその姿をドロップアイテムに変えた。

 魔法さえ仕えれば幼女でも出来る非常に簡単な作業です。


「えぇぇぇぇぇえええ!?ロード君、魔法使えたの!?」


 俺が魔法を使った事に驚いたマリカが目を剥いた。


「わっはっは!実は使えたのだよ!

 脳あるワイバーンは爪を隠すって言うだろ?」


 そんな諺は存在しないのだが。


「凄いね!凄いよロード君!」


 マリカはグッと握った両手を胸の前に持って行って熱く俺を褒めてくれる。


 可愛い女の子がチヤホヤしてくれるって良いよな。

 ゲームでも女性プレイヤーがパーティーにいたりすると男性プレイヤーの戦意が昂揚したりするし。

 但しやる気が空回って死んだりするプレイヤーもいたから注意は必要だけれども。


 俺はそのあと調子に乗って第1階層にいるベビーラットを全て狩り尽したのであった。

 マリカの出番は今の所まだ無い。

お読み頂きありがとうございます。

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作者のモチベーションを上げるなら数字が一番だって昔どこかの偉人が言ってた気がする。

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