プロローグ
新作投稿開始!
まだ3万文字しか書いてない見切り発車なので更新ペースは反応を見て。
「おい落ちこぼれ。ちょっとこっち来いよ」
特に変わり映えしないいつもの日常だ。
優秀な騎士や魔術師を輩出する為に作られたバルックス王立学園。
貴族の令息も通うこの学園には騎士科や魔術科の他に冒険科という底辺クラスが存在する。
冒険科には剣の腕も魔術の腕も並以下の平民達が集められている。
教師達からも大した期待を受けず、冒険科から騎士や魔術師として国や貴族に仕える者が現れる事はない。
それでも冒険科が存在し続けるのは騎士科や魔術科の反面教師とする為だ。
ああはなりたくない。
あんな落ちぶれた者達と一緒にされたくない。
そうやって冒険科を見下す事で騎士科と魔術科の意識と底上げを図っているのだ。
年に6回行われる実力試験の成績次第では冒険科の生徒との入れ替えも行われるから。
まあ上の者の狙い通りに冒険科は上のクラスと引き離されて実際に入れ替えが起こった事など学園が始まって以来一度も無いそうだが。
僕、ロードはそんな冒険科の中でも最下位にいる人間だ。
だから騎士科や魔術科に見下される冒険科の中でも見下される存在。
今になって考えてみれば僕は底辺クラスの不満の捌け口として学園への入学を認められたのかもしれない。
「おら!おい、お前らも殴れよ!」
「殴ったら手が痛いだろ。俺は蹴りにしとくよっ!っと」
「はっはっは!少しはやり返してみたらどうだ?情けねぇな」
冒険科のクラスメートは僕を殴って蹴って不満を解消する。
僕には二つのスキルがある。
一つは再生と言って普通の人よりも少しだけ怪我の治りが早い。
だから殴る蹴るの怪我だったら次の日には治っている事が多い。
但し無くなったものは戻らないから歯は殆んど抜けてしまって残ってないけれど。
もう一つは自分でも良く分からない。
視界の中に四角い何かが浮かんでいて知らない文字が書かれている。
他人には見えていないらしくて、一応お金や持ち物を入れられるんだけど取り出し方はわからない。
そんな言ってしまえば戦闘の役に立たない僕が入学試験に合格したのは、正に今の状況を生み出す為だったのではないかと思っている。
入学から三ヶ月以上も殴られているので、既に殴られ慣れてしまった僕はまんまと逃げ出す事無く皆のストレスの捌け口を続けている。
「明日から夏休みだよな。底辺を殴ってやれなくなるのが残念だな」
「確かに。だったらこういうのはどうだ?」
瞼が腫れて視界が悪いが僕を殴っていた虐めっ子達が何やら相談をして。
「それは良いな。それじゃあ早速」
「両腕両足に一人ずつな。そっちで見てる奴らも参加したかったら混ざって良いぞ」
僕は腕と足を持ち上げられて体が宙に浮いた。
何が起こるのかはわからないが、抵抗する気力も体力もない。
明日には治ると言っても全身に痛みはあるのだ。
更に数人が僕の体を下から支え上げた。
狭い視界で見える天井が少しずつ移動しているのがわかる。
少し経って視界に空が入り込んで僕の身に今から何が起ころうとしているのかを理解した。
「せーの!」
「待っ、、、」
静止する時間も与えられずに僕の身体は空中に投げ出された。
視界には空しか映っていない。
そして空が少しずつ遠くなっていくのが体の感覚で理解出来る。
僕がいたのは校舎の三階だった。
これは再生があっても助からないかもしれない。
そんな事を考えていたらあっという間に石畳に背中と頭を打ち付けて。
僕は意識を失ったのであった。
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作者のモチベーションを上げるなら数字が一番だって昔どこかの偉人が言ってた気がする。