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十二話「見た目が十割」

 よく、「人は見た目じゃない」とかうすら寒い事言う奴居るけど、人って見た目そのままなのね。

 アタシだったら、見たまんま、常識知らずで人の事なんか考えないクズの社会不適合者、多分何かの精神病持ち。そのまんまでしょ。こっちの……ああ、この子アタシの担当なんだけど、この子だったら、犯罪とは無縁の作りものみたいなリア充で常識人、友達いっぱい、絶対サンリオ大好きなわけ。好きだよね、サンリオ? ……ほらね?

 で、アンタらの場合は、陽キャ気取ってるただの馬鹿で、いっつも人に尻ぬぐいしてもらって今までなんも一人で成し遂げた事のない甘ったれってのが分かるわけよ。あ、無理無理、否定しても無駄。顔に出てるモン。結局、みーんな見た目そのまんまなのよ。

 ……で。それって勿論、生きてる人間に限った事じゃなくてね。見た目が恐ろしい霊は、そのまんま怖い奴なんだよ。シンプルなの、人も霊も、邪悪さは見た目に比例する。

 ……そんなもんも分からないんだから、やっぱアンタら馬鹿なのよ。


 鬼村は目の前に座る若者達にそう吐き捨てるように言うと、追いすがる彼らを無理やり家から追い出してしまった。何故か彼女のもとには、こうしてたまにお祓いじみた相談がくるらしい。基本的にそう言った話は全て断っているが、家まで押しかけられては話くらい聞いてやるのだそうだ。それは勿論親切心からなどではなく、小説のネタ集めでしかないのだが。

「……怖い顔した幽霊って、やっぱり怖いんですね」

 肩を落として帰っていく若者達を見送りながら、私は独り言のように呟いた。

「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女が、気を付けて帰ってねなんて言う訳ないでしょ」

 ……成程。そんな目撃情報は今まで聞いた事がない。それは最早コメディの世界だ。

「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女の幽霊が憑いてたんですか?」

「知らないよ、見えないもん」

 え、と驚いて鬼村の顔をまじまじ見やると、彼女は人の悪い満足気な笑みを浮かべていた。

「用があるのはアタシじゃないからね」

 少し離れた所で、車のエンジンがかかる音が聞こえた。

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