21 ライナーとセリ その壱
途中でセリの前世エレナの最期の場面があります。苦手な方はライナーの16年前の回想シーンになる前に回避してください。
その後次の回にいっても、おそらく話は繋がります。
「なぁ、セリ。ホントの所、お前はどう思ってんだ?」
セリとライナーは教皇の所からイルージャの街に戻り自宅に戻るとダリルとアレンは留守だった。2人は土産を置いた後、露店で遅めのランチを買い公園に行った。
ダリルとアレンが、早めに教皇様に相談した方がいい! と言ってくれたので今日は仕事は1日お休みにして聖国に行っていたのだ。
教皇のところへ行くので、セリはダリルと選んだ水色のワンピースを着ている。こうしていると普通に15歳の美少女。
「ん? どうって?」
遅めのランチなので噴水の横のいつも人気の場所が空いていた。セリは嬉しそうにその場所に座ってからライナーを見た。
「セリは、本当は故郷に帰りたいんじゃねーのか? 他にも家族はいたんだろ? ねーちゃんとか……」
ライナーがそう言うと、セリは少し困った顔になった。
「帰りたくはない、かな……。お母様は好きだったけど、ね」
そう言ってセリは先ほど買った果物のジュースをコクリと飲んだ。
「ん。……美味し」
そんなセリを愛しそうに見ながらライナーはその隣に座った。
「……それならいいんだ。俺は、セリの味方だから。俺は昔からセリを守りたいって思ってる。それはずっと変わらない」
そう言ってじっとセリを見つめた。
「……ありがとう、ライナー。
…………うん、ライナー? いつまで私の顔見てるの? ちょっと、恥ずかしいんだけど……!」
ずっとセリを見つめるライナーに、セリは赤くなって目を逸らし公園の中を見た。
公園には、遊ぶ子ども達、親子、そして恋人たち。自分達も、恋人に見えたりしているのかな?
そう思うとまた少し照れて、チラッとライナーを見る。
ライナーは、まだセリを見ていた。
「ッ! もう、ライナー! ……早く食べちゃいましょう?」
そう言って持っていたサンドイッチを思い切り頬張った。それを見たライナーも一口頬張って言った。
「もし帰りたくなったんなら、いつでも言ってくれ。俺はどこまでも一緒に行ってお前を守る」
ライナーは凄く真剣な顔だった。そしてまたポツリと呟くように言った。
「……セリ。俺のこと重いって思うかもしんねーけど、俺、2度とお前と離れたくねーんだ。……俺、あの時の事はずっと忘れられない」
「……あの時?」
「……エレナが死んだ時。俺がいつもみたいにレオンのとこに行ってエレナの顔を見に行ったら……、そしたら……!」
ライナーは俯いて震えていた。
◇
……16年前。
「レオン! 畑仕事済んだから剣の練習しようぜー」
「ライナー? 俺はもう少しかかりそうなんだ。ちょっと待っててくれよ」
「おー。じゃエレナに挨拶してくるよ」
勝手知ったる友人の家に急いで入っていく親友を見てレオンは呆れたようにため息をついた。
「……ライナーのヤツ、俺とエレナのどっちがついでだか分かんないな」
「そんなのエレナに会いに来たに決まってるじゃないの。年上で病弱な子なのにあんなに好いてくれるなんて嬉しいわねぇ」
レオンの母はふふと笑った。
「ライナーの両親からはエレナの言うことだけは良く聞くから、是非嫁に来てくれって言われてるぞ。気の早い話だがな」
父も嬉しそうに言った。
レオンの家族は本当に仲の良い家族だった。
そしてライナーはご機嫌だった。レオンから、エレナが最近ライナーの為にセーターを編んでいると聞いたからだ。
エレナの部屋を一応ノックして返事も待たずに入っていく。いつもこうやって突然入ってはエレナに怒られている。
しかしその日は部屋に入ってもいつもの反応がなかった。
「エレナー。寝てんの? 昨日また熱出たんだって?」
ベッドで眠るエレナに話しかけるがそれでも反応が無い。
……あれ? エレナは眠りが浅くて、声を掛ければいつもならすぐに起きるのに。まさか熱が上がって返事をするのも辛いのか?
「エレナ。……大丈夫?」
ライナーはそう言って寝ているエレナのおでこに手をやる。随分熱いんだろうと、覚悟して手を当てた。
……ヒヤリ。
「…………えっ……」
驚いてエレナの顔を見る。いつもより、更に青白い顔。まるで血の気というものがない。ライナーは詳しくは知らないものの脈が動いているかを確認する為に慌てて手首を持った。
「ッ!!」
……持っただけで分かった。
「エレナ……、嘘だ、嘘だ……、嫌だ、起きてよエレナ……! エレナ、エレナーッ!!」
ライナーの叫び声を聞いたレオンと両親が慌てて部屋に入って来た。そしてエレナの死を確認すると皆顔を青くした。
◇
「……もうそこからは本当にわちゃめちゃだった。レオンも、おじさんもおばさんも……。
セリ。俺はもうあんな思いはしたくない。……それが今、奇跡みたいにセリに会えたんだ。もう絶対に離れたくない」
ライナーの目には涙が浮かんでいた。
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