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8 勇者レオン


「……まさか、セリが気を失っちゃうなんて……。そんなに『勇者』が死んでいたのがショックだったのかな」


 セリをベッドに運んで休ませて来たアレンが居間に戻って言った。


「でも、勇者は死んだらすぐに次の勇者が選ばれるじゃない? セリは『勇者レオン』が死んでいたことがショックだったってことよね。ねえ、ライナー。レオンとセリは知り合いだったの?」


 ダリルがライナーを見て聞く。ライナーは少し考えながら言った。


「……いや。俺もアイツの交友関係を全部知ってた訳じゃないが、知ってる限りはねーな。てか、レオンが死んだのは5年も前だぜ? その頃セリはまだ10歳かそこらだろ? それに俺達レーベン王国も行った事ねーしな」


「うーん……。何かでセリがレオン達の国へ行った時に助けられた、とか? それで自分1人になって国を出ることになったからお礼を言いたくて会いたかったとか……」


 アレスが推理するが、3人とも何かしっくり来なかった。レーベン王国の人間は自分達の魔法に絶対の自信を持っており、あの魔物騒ぎまでは滅多に国外に出ることがないと有名だったからだ。


「俺達は勇者一行として魔王退治の為にあちこちの街に寄ったけど、その道中で特別誰かを助けたとかは思い出せねーな……。特にセリは珍しい髪色と瞳の色だろ? もし会ってたなら忘れられる訳ねーよ」


 ライナーがそう言うと、ダリルが少し面白そうに聞いた。


「珍しい色だと忘れられない? ライナーはセリに一度でも会ってたら、絶対に覚えてるっていうの? それとも何かあの色に思い入れでもある訳?」


 鋭い突っ込みに、ライナーがたじろぐ。


「……なんだよ。セリとレオンの事を話してたんじゃないのかよ。……俺はセリのこと、可愛いと思ってるよ。……てか、それはお前らもだろ!? それに別にどうにかなろうとかは思ってねーよ。流石に10も歳が離れてるしな……」


「え!? そりゃ僕もセリは妹みたいに可愛く思ってるよ? だけど僕もそんなつもりはないけどね? ……まあ歳はそんなに関係ないんじゃないかな。その位の歳の差のカップルなんてザラにいるでしょ」


 アレンはライナーの独白を感心して聞いていたら、思わぬ飛び火が自分にも飛んできそうだったので慌ててそんな気はないと明言した。

 そしてダリルは意味ありげにライナーを見ながら言った。


「そりゃ皆セリを可愛いと思ってるだろうけど……。特にライナーは特別なのかなと私は思ってたわ。なんだかんだと随分気にかけてるでしょ? そして……多分セリの中でもライナーは特別なのかしらとは思ってたんだけど」



「え。ほんとか? セリが……俺のこと?」


 今度はライナーは少し顔を赤くしながら身を乗り出すようにして反応した。

 それを見た2人は目を見合わせ、少し呆れたようにため息を吐いた。


「なぁに? アンタも結局はその気なんじゃないの! ……別に邪魔するつもりもないけど、可愛いセリにいい加減な事したり泣かすような事があったら、私達が黙ってないからね!」


「そうだよ。特に今日みたいな事があったらセリが傷付くよ? とりあえず、あの女の人とは関係ないんだってこときっちり説明はしといた方がいいんじゃない? 

……それにどうしてセリは勇者レオンが亡くなっていると聞いて倒れる程のショックを受けたのか。その辺りもちゃんと確かめておきたいところだよね」


 ダリルとアレンにそう言われてしまったライナーは少しシュンとしながら頷いた。



「セリの目が覚めたら、話をしてみるよ。俺は知らなかったけど、あれだけの反応するって事は何かレオンと関わりがあったんだろうしな」




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