ダンジョンフウリ
Sランク冒険者ハキムがリーダーのパーティ剛勇は、魔人族のハキム、Aランクのドアーフ族ナギトとダークエルフのトウリの男三人。
同じくSランク冒険者ダークエルフのエレノアがリーダーの夜叉はAランクの魔人族キャル、魔人族モナ、ハイエルフのライラの女四人のパーティ。
世の中が変わり滅びを待つエルフ達も外に出る者がいる。
数年が経ちユキヒョウ族のアイム、人間族のケイラ、ラーテル族のタイトは冒険者になった。
アイムはFランク、ケイラはGランク、タイトはEランク、そして魔人族のマシューはFランクのままだった。
アイムとタイトは死なずではなく命をかけるダンジョンで力を試したくダンジョンフウリに行く事にした。
ケイラは瀕死で戻される事に飽きてしまいフウリを目指す。
マシューはまだFランクなの?と周りに言われるのに嫌気がさし魔人領以外でマイペースに魔物を狩ろうとフウリに行く事を考えた。
死なずのダンジョンは中で誰かに会う事はない。
他のダンジョンは同じ階にいれば他者に会う事もある。
フウリ一階から五階はゴブリンとコボルト。
安い剣と防具でケイラは一階にいた。
ゴブリンは一階でも単体では出て来ない。
数匹が小さな群れを作っている。
そこにコボルトが加わっている群れもあった。
「畜生。
何で一体でいないんだよ。」
ケイラの祖母はこのところ体調が優れないのに寝ないで小さな店を開けている。
少しでもお金にしたい思いでゴブリンに立ち向かっていた。
「これぐらい倒せないと先に行けないぞ。」
ケイラは気力を振り絞って何とかゴブリンの群れを倒した。
「魔石五つか。」
腕と足を怪我している。
階段からはあまり離れておらず、来た道を戻り地上の転移石のある広間のすみで傷薬を塗り布を巻いた。
硬いパンをかじると瞼が重くなり座ったまま寝落ちする。
「おい。
起きろ。
こんな所で寝るな。」
肩を揺すられケイラは目を覚ます。
「ここにはタチの悪い冒険者も来る。
寝るなら家に帰るか宿で寝ろ。」
ケイラより小さな男の子に注意された。
「いつ寝ちゃったんだろう。」
ケイラは魔石を確認し、あった事に安堵する。
「ありがとう。
助かったよ。
俺ケイラ。
まだGランク。」
「俺はタイト。
Eランクだ。」
「凄いね。
俺より歳下でしょ?
もうEランクなんだ。」
「凄くはないさ。
すぐに追いつくよ。
じゃあ俺は行くね。」
タイトは階段を降りて行った。
「一階からか。
俺と同じだ。」
タイトは十歳、ケイラは十三歳、ケイラはタイトと友達になれたらなって思った。
魔石を換金してツメナからオラの街へ転移石で戻る。
祖母にお金を渡すとケイラの怪我した姿を見て暗い顔をしたが、冒険者になった時から行くなとは言わなくなった。
「槍な。
これで刺すより蹴る方が倒せるという。
剣は槍より苦手だし。」
アイムは二階にいた。
「あいつタイトっていったか。
強いし速いな。
もういない。」
アイムもタイトに会っていた。
「俺は俺。
焦ってもしゃあない。
ここら辺で槍を使いこなせるようになるか。」
一階より群れの数が増えたゴブリン相手に槍の練習をする。
マシューは家でダラダラ過ごしていた。
ダンジョンフウリに行くとやっと決めたものの理由をつけては先延ばしにしていた。
タイトはオークの出る十一階を目指していたが、そう簡単に進めなくなっていた。