その日、少年は多くのものを奪われた
青々と広がる草原は、赤い炎と黒煙に包まれていた。
大地は流れる血に染まり、一帯は悲鳴と怒号、下卑た笑い声に埋め尽くされているようだった。
行われているのは略奪と虐殺。
家々を焼き払い、逃げ惑う人々を殺して回り、気まぐれに捕らえる。
そんな残酷な世界の中で、少年は咆哮にも似た絶叫を喉が張り裂けんばかりに放った。
******
中央ユーラシア西北部から、東ヨーロッパ南部にかけて広がるキプチャク草原には、不穏な風が吹いていた。
背の低い草が生い茂る大地にはユルトと呼ばれる、移動式の住居がいくつも見られる。
その付近では馬や羊などの動物と人の姿があった。
ここは、キプチャク草原で暮らす遊牧民族の一つ、キプチャク族の一団が生活している場所である。
彼らは季節ごとに、ある程度決まった領域を、家畜と共に移動しながら暮らしている。
その中で、顔立ちはまだ幼さが残るものの、その体格たるや、同年代では倍はあろうかという少年。
一見すると華奢だが、華奢の中にも逞しげな腕周りなど、これも同年代と比べれば丈夫な少女が家畜の世話をしていた。
少女の方が少年よりも年は少しだけ上だろうか。
それぞれ、少年が14歳、少女が15歳である。
そんな少年は作業の手を止めて、ぼーっとどこまでも広がっているかのような雄大な草原と晴天の青空を眺めた。
風に揺られる草々とゆっくりと流れていく白い雲。
(こんなにも平和だっていうのに)
少年の碧い目には、少年が思ったように平和そのものといえる光景が映っている。
「ぼさっとするな!」
浸っている少年を呼び戻したのは少女の声だった。
「姉さん、聞いた? 今勢力を拡大してる東のモンゴルの話。この間そのモンゴル軍が滅した何とかっていう王朝での大虐殺」
二人は姉弟である。
「知ってる。ホラズム朝の話だろ? だから、ここら一帯の部族が手を組んで待ったをかけに行っているんだ。なんでいきなりそんな話になる?」
少年の姉は突然振られた話題に答えはしたが、不思議に思ったのか、首を傾げた。
作業の手を止めているのを注意したつもりが、それに応じるでもなく、全くもって関係のない話だったのだ。
誰でも不思議に思うだろう。
「けど、モンゴル軍はすごい強いって話だ」
だが、少年の中では繋がっているのだ。
それは、勝手極まりないことで、他人からしたら何のことやらなのだが、少年の中では繋がっているのだ。
姉が応じてしまった以上は、少年は続ける。
「……はぁ」
少女も、これは言っても仕方がないな、ため息をつき少年の話に合わせる。
「バイバルス、お前は図体ばかりがデカくて中身は情けない。いいか、この草原に数多ある部族の中でも我らキプチャク族は最強。他の部族とも連合を組んだ今負けるわけがない!」
話を合わせたついでに前々から言ってやりたいことがあるのだと、それと合わせて何も不安なことなどないと豪語する姉に、少年、バイバルスはそれを否定するようにボソリとこぼす。
そんな弟に姉、ナターリャは思い切りその大きな背中を蹴飛ばした。
「いった」
「うるさい! この程度で喚くな、将来はその恵まれた体格で勇敢な戦士になる男が情けない!」
「……戦士って。俺はこうして家畜の世話をして生きていくからさ」
ナターリャは昔からずっと「お前は将来戦士になるんだ」と言い続けている。
しかし、当の本人であるバイバルスにはその気がなかった。
そう言われることにいい加減うんざりする、なんてことはなかったが、その話には反応に困る、というのがバイバルスの本心だった。
バイバルスは、これ以上が自分が将来戦士になる云々の話はここまでだと言うように、フイと顔を横に背けた。
その瞬間、バイバルスの視界が大きく横にブレた。
広い空の青と、草原の緑に横方向に光の線が入ったかのような感覚だった。
「ッ!?」
やや遅れてやってきた頬の痛み。何かしらの衝撃がバイバルスの頬を襲ったのだ。
小さな熱を帯びているようにヒリヒリと痛む。
横にやったままの視線を、頬に襲ってきた衝撃の方向にやる。
といっても、視線をやらずともその衝撃の正体はバイバルスには分かっていた。
姉のナターリャしかいない。
目に映ったのは、バイバルスが思った通り手を振り切った後のナターリャだった。
「お前は……! 本当に……ッ。なんで、そんなにナヨナヨしい!」
だって、怖いじゃないか。
バイバルスは戦うのが嫌だった。
戦ったことなどないが、嫌だった。
だから、戦士なんてとんでもない。いかに、体格に恵まれているからなんて言われていても、怖いものは怖い。
戦いになれば、今のビンタなんかよりも何倍も強い痛みを味わうことになるかもしれない。
なんだって姉は自分に戦士になれ、なんてずっと言い続けるのだろう。
バイバルスには不思議だった。
何年も何年も言われてきて、それをずっと否定している。
情けないと呆れて諦めてくれてもいいだろうに。
特にここ数年はその熱は高まるばかりだ。
「お前はずっと、嫌だ嫌だと逃げ続けているが周りはそうはいかない」
膝をついてナターリャを見上げる形となっているバイバルスに、ナターリャは上から言った。
「?」
周りとは一体誰のことを言っているのだろうか。
家族でバイバルスに戦士になれ、と言い続けているのはナターリャだけだ。
父も母も、今は亡き祖父母も生前にそんなことは言っていなかった。
バイバルスは何のことだ、と問うような視線を上のナターリャに送った。
「世界だ。自分でも口に出していただろ。ここ数年は特にモンゴル。奴らの侵略だ。現に奴らは今も侵略を続けている。勇敢なキプチャク族の戦士たちは戦いに出ただろ」
その脅威は思ったよりも近くにまで来ている。もう既に他人事だなどと悠長なことは言えなくなってきているのだとナターリャは言った。
「バイバルス、お前は強い。強いはずだ。足りていない勇気さえ伴えば」
「……」
バイバルスが黙っていると、今日はもうそれ以上言うつもりはないのか、ナターリャもそこで話を切り上げ、仕事に戻った。
大地を撫でるかのような風に背の低い草たちが一斉に揺れてサァッと音を立てる。
時折、家畜が鳴き声を出す。
そんな、のどかな時間が過ぎていった。
バイバルスとナターリャの間には、あれ以来会話は生まれていない。
あの話となった後はいつも、このような空気になる。
いつものことである。
そのまま日は沈み、夜が訪れる。
その夜、バイバルスは眠る前にずっと昼間のことが脳内に過っていた。
(俺が強い、か)
ユルトの天井を見ながら思う。
強いだなどと、ナターリャに言われたところでバイバルスは、当のナターリャに一度も勝ったことがないのだ。
無論、バイバルスとて本気で喧嘩をしたわけではないが、それでもナターリャの腕っぷしは中々のものだ。
(モンゴル軍の脅威はすぐそこまで迫っているって言われても実感ないな)
本日もいたって平和そのもの。穏やかに時間は流れていった。
とても脅威が迫っているようには感じられない。
迫っているとしても、それほど強大なものならば、やはり恐ろしくて戦えはしない。
「それに、勇敢な戦士たちが戦いに出たなら俺が戦う必要はないだろ」
いつもならば、戦士になれと言われても嫌だと言ってそれで終わり。
なんで今日は寝る前にまで引きずっているのだろうか。
ハッとなったバイバルスは、ほだされつつあるのかと頭を掻きむしった。
今までは全く気にもとめなかったというのに、少なくともそのことついて考えるくらいにはなっている。
それが、嫌だった。
バイバルスは思考ごと吐き捨てるように、呟いて無理やり眠りについた。
******
あれから二日後のことだった。
その日の前日もいつも通りの時間が流れていた。
だが、いつもの平和はそこまでだった。
地平線の先に日が昇り始める頃のことだ。
夜と朝の境目の時間。辺りはまだ薄暗く、辛うじて視界が確保できるくらいである。
そろそろ、この集落の何人かが動き始める時間でもある。
最初の被害者はそんな、彼らだった。
まだ、半分寝ぼけているのではないか。彼らはそう思ったことだろう。
何故なら、地平線を埋め尽くしていたのは、騎馬の軍団だった。
横に長く列を展開して、あたかも包囲しているかのように思えた。(実際、ほとんど包囲されているがそのことを知る由もない)
その騎馬の軍団が何者なのか、それを知ったときには遅かった。
ジャンジャンジャンと盛大に銅鑼が鳴ったかと思えたその時、騎馬の大群から雨霰のように矢が空気を切って降ってきたのだった。
******
ジャンジャンジャンという高い音が鳴り響く。
バイバルスはそれで目覚めた。
大きな音であるため、バイバルス以外の人間も殆ど同時に目覚めている。
(一体、何の音だ)
バイバルスにとって、その音は初めて耳にする音だった。
そしてその後、微かに聞こえるのは大量の何かが、空間を切り裂いているかのような鋭さを感じさせる音だった。
それから殆ど間を開けず聞こえてきたいくつかの悲鳴。
これはただ事ではない。
本能的にバイバルスは感じ取った。
(逃げないと)
次にはそう判断した。
だが、身体が動かない、動いてくれなかった。
足がすくむとはまさにこのことか。
そう思っているバイバルスは、それでもなんとか本能に従おうと無理矢理にでも身体を動かそうとした。
「あ……」
その瞬間、バイバルスは認識することになる。
知らず、地面に腰が落ちてしまっていたことを。
当然のように、身体は動いてはくれない上にこれまで腰が抜けてしまっていることにすら気づけてなかったことを知った。
未だ一歩も動くことができていないユルトの外では、バイバルスが本能的に逃げるべきだと判断するような危機的な何かが起きている。
バイバルスは、自身が全くといっていいほど何も出来ていない状況にあるのに、外では明らかに状況が動き続けているのが分かる。
それは人々の絶えることのない悲鳴や、雄叫び、馬の鳴き声、馬蹄が響いていることだ。
バイバルスは今、幾つもの恐怖に縛られている。
自身の身に降りかかるであろう危機への恐怖。その危機が間近にあるというのに、それが何なのかがハッキリと分からない未知への恐怖。
こんなわけも分かっていない状況で一人でいることの孤独な恐怖。
がんじがらめである。
バイバルスはこんなにも何にも出来ないというのに、いや、それだからか周りのことは嫌に鮮明に耳に入ってくる。
普段ならば、混じってしまって碌に聞き取れない複数の人間の声。
そのどれもが、悲鳴だったりするのだから容赦なくバイバルスの精神を抉っていく。
(俺はここで何も出来ないで怯えている間に、皆んなは……)
そんな己の不甲斐なさを噛み締めながらなおも、身体は動こうとしない。
いや、不甲斐なさを噛み締めたからこそ、余計に動けなくなってしまったのかもしれなかった。
尤も、仮に動けたとしてもバイバルスに何ができるのかと言われれば、まるで何もないだろう。
死体がまた一つこのキプチャク草原に横たわるだけである。
(いっそ、殺してくれ)
バイバルスの蝕まれた精神が叫んだ。
ユルトを隔てた向こう側では恐らく、惨劇が繰り広げられている。
バイバルス自身は自分もいつその凶刃に襲われるかも分からないという状態で、惨たらしい光景を聞かされ続けているのだ。
耐えられるわけがない。
そも、臆病な節があるバイバルスだ、そうなるのも納得がいく。
しかし、バイバルスが殺してくれと思おうとも、轟く馬蹄の音は、バイバルスのいるユルトを素通りしていく。
まるで糸の切れた操り人形のように、バイバルスは一欠片ほどの力もなくへたり込んでいた。
「──ルス! バイバルス、ナターリャ!」
ふと、未だに続く惨劇の中で誰かが呼ぶ声に、バイバルスは我に帰った。
あまり余裕がないのか、息も切れ気味だがハッキリとその名を叫ぶ声に、バイバルスは殆ど確信的に感じ取った。
(……母さん?)
その声は今までに何度と聞いたかも分からない、母の声だった。
(母さんはまだ生きている?)
バイバルスは少しだけ冷静さを取り戻したのか、思考が進む。
(そういえば、そうだ。突然の聞き慣れない音で目覚めたときにはもうこんなことになっていた)
ゆっくり、目覚めてから今までのことを思い起こしていく。
(あの時は状況に頭がついていっていなかったし、確認なんてしなかった。父さんも母さんも姉さんも、皆んなどこにいったのか。どうなっていたのか)
少なくとも、バイバルスが目覚めた時ユルトの中にいなかったのは確かだろう。
もし、いたのであれば例えバイバルスが気づかなくても向こうから何かしらのコンタクトがあるはずなのだから。
兎にも角にも、バイバルスには家族がどうなっているか知る由もなかったが、たった今母の声が聞こえた。
父やナターリャは分からないが、少なくとも母は生きている。
こんな状況の中でそれが分かっただけでも、バイバルスの心に安堵が芽生えるものだ。
「バイバルス! ナターリャ!」
自分を呼ぶ母の声にバイバルスは気づいたが、母はユルトの中にいるバイバルスに気づいているわけではないわけで。
バイバルスの方からその呼び声に応じる他ない。
「母さん、俺はここにいる」と、バイバルスが声を出そうとした時だった。
「バイバル゛ッ……!」
変わらず子供達の名前を呼び続ける母の声は、何かを喋っている最中に不意に強い衝撃を受けたかのような、いや、ようなではなく正しくそれに等しい声を上げた。
考えられる可能性はそう多くない。
今も絶えず空間を支配しているのは、多数の馬蹄の音と、空気を切り裂くような鋭い音を放つもの。そして、人々の悲鳴・断末魔。
答えは簡単だった。
母もそれに呑まれてしまったのだと。
けれども、もしかしたら──
音でしか情報は入ってきていない。
あくまで情報源は音だけなのだ。
この目で、真実を見るまでは僅かばかりの可能性だとしても結論づけられはしない。
「母さんッ!」
今まで微動だにしなかった身体が、ここに来て嘘のように動いた。
けれども、つい先程まで人形のように動かなかったバイバルスの身体である。
突然の動作に満足についていかず、不恰好な四足歩行となってしまっている。
ともすれば、産まれたての仔鹿のそれよりも酷いバイバルスの動作は満足に移動できるようなものでも無く。
だが、不自由な身体とは裏腹にバイバルスの意識は意識だけは進んでいた。
バイバルスは自身の身体の状態を正しく把握できていないのだろう。
意識だけが先行する形で、それになんとか身体がついて行っている。
そのような有様だった。
(母さんの声はかなり近かった。出たらすぐそこに……)
這い出るようにしてきたバイバルス。
果たして、そこに母の姿があった。
そう、うつ伏せに倒れ、一部が馬蹄によってひしゃげた背中から数本の矢を生やした母の姿があったのだ。
「──あ……?」
ぐずぐずになった、その部分は酷く赤赤とした血に塗れ、染めていく。
そこに、二本の矢が突き立っているというのだから、更に痛ましい。
既に屍となっているのだから、当然といえば当然だが、その顔には生気はなく、青い。
様々な無念を噛み締めたであろう、強い苦悶の表情を浮かべたまま、絶望の色を宿したままに光を無くした瞳とバイバルスは目が合っていた。
目が合ってしまったバイバルスからすれば、奈落に見つめられてるかのように錯覚する。
「あ……あぁ……」
四つん這いのまま、母の亡骸に近寄りそこで上体を起こし、ぺたりとへたり込んだ。
絶望感や混沌の中にあったバイバルスにとって、あそこで母が現れたのは深くどこまでも暗い闇の中で一筋の光を見つけたようなものであった。
だが、そんな状態で見つけた希望が奪われるほど人の心を完膚なきまでに破壊するものはない。
「ゔあぁぁぁぁぁぁァァァァァァ!!」
周囲で繰り広げられている、侵略と悲劇の音に負けないくらいの絶叫がバイバルスの喉から発せられた。
その直後──
絶叫は悲鳴に近い絶叫に変わる。
「ア゛ッ!? ア゛ア゛ァァァァァァ!?」
身体が一瞬、後方に仰け反った。それくらいの衝撃を受けたのだ。
バイバルスには、何がなったのか、それが何なのか、分からなかった。
一瞬の仰け反った体勢から戻り、抱いたのは頭部の違和感。
何か、普段とは違うアンバランスな気がしてやまないのだ。
再び混乱の渦に飲み込まれたバイバルスには、明確な意識的な働きは存在しないと言っていい。
混沌に呑まれ、もはや視界は定かでない。見えているのに見えていない。
到底、理解が及ばないぐちゃぐちゃな状態だった。
けれども、身体は勝手に動いていた。
両手が上がり、顔に触れる。
ぺたぺたぺたぺたと、探るように触れていく。
口元、頬と下から上に。
頬から手が離れ、頬の上、目元に手をやったときに、違和感の正体を掴む。
ここだ。ここが明らかに何か重たい。
バイバルスの意識としては感じてはいないが、身体の方が、そうだと意識とは別に認識している。
それを確かめようと手が触れる。
グズンと、その瞬間、バイバルスは激しい痛みにバラバラとなっていた、意識と感覚が繋がった。
それは、バイバルスが今まで体験したことがないものだった。
まるで、皮膚の下を身体の内側を抉られるかのような感覚だった。
「グッア゛ッ……!」
(何かが刺さっている!?)
殆ど余裕のない頭の片隅で、触れて感じとったそれをなんとか認識する。
左目に何かが刺さっている。
身体の内側を抉られるかのような感覚、それもそのはずだった。
眼球に刺さった矢を動かせばそうなるに決まっている。
重傷である。
唯一、幸いといえるのは左目に刺さった矢が深くないということだ。
眼球だけで済んだのは、奇跡だろう。
でなければ、とっくに矢はバイバルスの後頭部にまで貫通していて、バイバルスは死んでいた。
だが、そんなことはバイバルスには関係ない。
バイバルスにあるのは、左の光を失ったという絶望の事実のみ。
日常も母も光さえも、もう十分過ぎるほどに失った。
これ以上、何を奪うものがあるのかというほどに奪われていった。
「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
その喉が張り裂けんばかりの咆哮にも似た絶叫を放った。
バイバルスは自分でも不思議だった。
一体この身体のどこから、こんな声が出ているのか。
ぼんやりと瞳に映る、景色は昨日までの蒼き美しさとは正反対の赤と黒の地獄と化している。
家畜の鳴き声と、大地を撫でるような風に吹かれ爽やかに響く草々の音は、叫喚に塗れている。
絶叫の中でそれらがバイバルスの中から薄れていく。
全てが、ぼやけてまるで遠くに離れていくかのように小さく小さくなっていく。
(……これは、何だ。何なんだ……)
そこでプツリと何かが切れたかのように、バイバルスは気を飛ばし、地に伏した。