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第8章 第15話 原点回帰

「……これで本当にお姉さんを捕まえられるんですか?」

「ああ。間違いなく捕まえられる」



 早苗からもらったお金で行ったこと。それは財布を道の真ん中に放置しておくことだ。場所は校舎近く。生徒が来て拾ってしまうことはないし、茂みの後ろで隠れていれば見つからない。早苗に車椅子を持ってきてもらったし、最も財布に近い木の裏にはそこらの男子よりよっぽど動ける斬波を待機させている。この作戦は完璧だ。



「ですがこれは……あまりにも罠感丸出しというか……」

「大丈夫だよ。俺以外の元家族は全員馬鹿だし、俺は全国1位の学力の持ち主。失敗なんてありえない」


「そういえば来週全国模試がありますね。もうその称号は名乗れなくなっちゃうのでは?」

「ああその日俺学校サボるわ。今回1000位入れるかも怪しいから」


「そこまでして守りたいものですか……」



 早苗が呆れ顔を浮かべるが、そこまでして守りたいものなのだ。誰が何と言おうとも。



「ちょっと前までの俺なら勉強のことは捨ててたかもしれない。勉強ができなくてもいいって、ようやくわかってきたから。でもそれを学んだけど、やっぱりこれは譲れない。俺の唯一の特技みたいなもんだからさ。まぁ学年1位はもう無理だろうけど……ちゃんと勉強して、正々堂々と向き合いたいんだ」

「そうですか。でもサボりはよくありませんよ」

「そうですね……」



 それ以上にお義父さんたちにお金を出してもらって学校に通わせてもらってるんだ。ずる休みなんて駄目に決まってる。……ほんとに受けたくない……。今からずっと徹夜してれば何とかなるかな……。



「でもよかったです」



 本気で現実逃避していると、早苗が財布の行方を見守りつつ静かに笑っていることに気づいた。



「なにが? 俺が全国1位名乗れなくなるのが?」

「それももちろんそうですが……なんとなく、言葉にできないのですが。ジンくんが幸せそうで、よかったです」


「骨折れてるだろうけどな」

「えぇっ!? 折れてるんですかぁっ!?」


「言ってなかったっけ……でも大丈夫。これくらいの痛みなら全然耐えられるから」

「とりあえず後で病院行きましょうね……じゃなくて。何の話でしたっけ……?」


「早苗と一緒にいられて、色んなことを学べて。俺は幸せだなって話だよ」

「そうですね……あっ!」



 早苗が大声を上げて指を差す。その先には財布だけを見て歩を進めるトラリアルの姿が。



「やっぱ馬鹿だ馬鹿っ! 斬波っ!」

「はいっ!」



 俺が言うより早く、トラリアルのすぐ横の木の裏から斬波が飛び出す。そして悲鳴を上げる暇すら与えず、一瞬の内に組み伏せてみせた。



「ま……まさかトラップだったなんて……!」

「まさかはこっちの台詞だよ。家族として恥ずかしいわ。元、だけどな」



 さぁ、こっからは。



「復讐の時間だ」

数日間休んで申し訳ありませんでした。続編本日更新します。

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