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フラグ

第3章第2話と3話の間のお話です!

「脚大丈夫ですか? どこかで休憩でもしましょうか」

「いや大丈夫だよ。問題なく歩けるようにならないと見せたりしないって」


「で、ですがやはり心配です。休憩しましょうかっ」

「そ、そう……?」



 1時限目の時間を使って早苗に学校を案内してもらうこと数十分。あと20分ほどで1時限目が終わりそうになると、早苗が俺を車椅子に乗せて足早にとある場所に連れていく。向かった先は、さっき早苗が紹介してくれた誰も来ないという屋上に続く階段の裏。そこに到着すると、早苗は俺を車椅子から降ろして床に座らせて、脚の間に入ってきた。



「ジンくんと2人きり、なんてあまりありませんから……ごめんなさい」



 そして俺の顔を正面から見据え、その顔を近づけてきた。



「んむ……ぅ、はぁ……っ、んん……っ」



 我慢できないといった様子で俺とのキスを敢行した早苗。俺はそれを受け入れ、頭を撫でながらしばし時間を過ごす。



「ふぁ……っ、はぁ……っ、はぁ……っ」



 満足したのか数分後に口を離し、その後身体を密着させてくる早苗。俺は彼女の髪を撫でることをやめず、そのまま会話を続ける。



「ジンくん……迷惑でしたか? いきなりキスなんてして」

「そんなわけないだろ。まぁキスは別に好きじゃないけどさ」


「えーひどいですよジンくん! 私一人で盛り上がってるみたいじゃないですか!」

「俺は早苗と一緒にいることが一番の幸せだからな。それ以上の幸せがないだけだよ」


「ジンくん~~~~!」

「わっ……」



 早苗が嬉しそうに俺の首の後ろに手を回し、さらに密着してくる。5月も近くなりそれなりに暑いのだが、早苗は一向に構わないようで俺の耳元に息を当てる。



「たとえば……たとえばですよ? 私が浮気したら……ジンくんはどうしますか?」

「うーん……まぁとりあえず離れるだろうな。そんで早苗が振り向いてくれるような人間になるまで努力する」


「……取り返してはくれないんですね」

「そりゃ早苗を一番幸せにできるのは俺だとは思わないからな。早苗かわいいからモテるだろうし」


「そんなことないですよ。私告白されたことありませんもん」

「それはたぶん斬波ががんばってるんだろうな」


「そうなんですかね……だとしたら斬波には感謝しないといけませんね。私が初めて好きになる人がジンくんでよかった」

「じゃあさ……俺が誰かと浮気したらどうする?」


「えー。いっぱい悲しいですが……私はたぶん取り返しますね」

「早苗はほしいものは何をしてでも手に入れるからな。俺を買ったみたいに」


「そうですね。でももしその時になったら……身を引くかもしれません。その時になってみなければわかりませんが……自分の心情を軽く曲げられるくらいにジンくんのことが大好きですから。それがジンくんの幸せならたぶん私は……」

「まぁありえない仮定だけどな」


「そうですね。ですが困りました。どちらかが浮気してしまえば私たちの関係は破綻だということです。絶対に浮気はしてはいけませんね」

「当たり前だけどな」



 最後にそう締めくくり、俺たちは教室へと戻る。この時の俺は知らなかった。早苗のことを誰よりも好きな人が、誰よりも近くにいたことに。

1万5000ポイントありがとうございます! というお礼も兼ねての更新でしたが、気づけばポイント減っていましたね。悲しみ。ですがかなり近くまでいきました! これも皆様の応援のおかげです! 本当にありがとうございます! 引き続き応援の方よろしくお願いいたします!

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