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第3章 最終話 これからもメイド

「いやあのマジ……すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 部屋に帰ると早々。斬波は綺麗な土下座をかましてきた。



「ほ……ほんとは最後の思い出のつもりでキスくらい……って思っただけなんです……! で、でもなんかしてたら……思ったより……思ったよりで……我慢できませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ! でもちょっと……ちょっと触っただけだから……!」

「まぁ俺はいいけどさ……早苗には謝っとけよ。どう思ってるかは言わなくていいけど……悪いことは謝らないと……」


「うん……それは……いつか、言わなきゃいけないことだって思ってる……」

「それなら俺はいいよ。それにファーストキスは俺だしな」


「…………」

「えっ!? 違うのぉっ!?」


「毎晩……寝てる時に……」

「毎晩!?」


「まぁでも大丈夫……早苗は全く認識してないから……。そう……私が一人で盛り上がってるだけだから……」

「慰めないからな」


「あ、バレた。じゃあ私お風呂行ってくるから」

「はいはい。俺も風呂……あれ? 話終わった?」



 完全に出し抜かれた感はあるが、斬波が部屋から逃げ出したから仕方ない。俺も部屋の風呂に入って少し考える。



 別に初めてにこだわるつもりはない。認識してないから尚更だ。だから浮気ではないのだろう。



 でもはたして本当に。早苗が斬波を選んだら……俺はどうすればいいのだろうか。



 身を引くのは当然として……家から出ていかないといけないよな……。そうなったら……その時かな……。考えても仕方ない。出るか。



「斬波は……まだだよな……」



 風呂は苦手だ。いつもは川に入って身体を洗ってたから温かい水というのが気持ち悪くて仕方ない。でも斬波は1時間は出てこないし、今日これ以上話してもいたずらに斬波の罪悪感を増やすだけ。さっさと寝るとしよう。



「んん……ん……」



 眠りについてしばらく経った気がする……が、なんだか寝苦しくて起きてしまった。誰かが抱きついているような……。



「早苗……?」

「残念、私でした」

「なんだ斬波か……え? 斬波?」



 早苗が俺に抱きつくように。いや、それよりも遥かに妖艶に。斬波は俺の身体に絡みついていた。



「な……何して……!?」

「……私、本当に感謝してるんだ、ジンには。本当に早苗から離れるつもりだった。本当に人を殺すつもりだった。……本当に、死のうと思ってた。それなのに私は、今ここにいる。全部ジンのおかげだよ」



 斬波が漏らす吐息がすぐ前の俺の顔に触れて溶けていく。それだけでなんだかおかしくなってしまいそうだ。



「それにね……初めてなの。今まで意識したのは早苗だけだったから……私は女の子が好きなんだと思ってた。でも……なんでだろうね。私、こんなにも……」

「斬波……お前……」



 風呂から出たばかりなのか、布団に入っていたからか。紅潮した頬が、俺の心を揺さぶる。



「でもジンは……早苗のことしか見てないでしょ。私……そういうの慣れてるから……やっぱりしょうがないって思ってた。だけどさ……ジンも……早苗とそういうの……禁止でしょ? だからさ……もしかしたら、私にもチャンスがあると思ったの」



 斬波の細く柔らかな手が、俺の顔に触れた。



「私に、お手付きしてみない?」

「お前、録音してるだろ」

「あら、ばれてた?」



 斬波は何の悪びれもせず、ボイスレコーダーを取り出してひらひらと振ってみせた。



「ワンチャンあると思ったんだけどなー。そうすれば自然と早苗は私のものになったのに」

「お前のやりそうなことなんかお見通しなんだよ」



 そのただの黒いボイスレコーダーが、録音している時は光が点くということも。



「悪戯はその辺にしとけよ。俺最低30分は寝ないと次の日駄目なんだよ」

「いや駄目なのはその生活……。早死するよ? はっ!」

「思いつくな」



 斬波から距離を取り目を瞑る。その時だった。



「悪戯、ね」



 そう声を漏らしたので、目を開ける。



「私も駄目なのがあってね。寝る前に好きな人とキスしないと次の日駄目なんだ。でも早苗はまだ寝てなかった……だから」



 目を開けたその先には、自身の唇を指を添えて微笑む斬波がいた。



「冗談だろ……?」

「私は良い人だからな。嘘はつかないよ」



 そして、言う。出会った時とは正反対の言葉を。



「それともジンは私を信じられない?」



 どうにも。まだ俺たちの声を消すことはできなそうだ。

これにて第3章終了です! 結局完結しませんでした! 終わる終わる詐欺みたいになっていましたね。詐欺と言えば早苗とのイチャイチャ編の予定だったのも変わりました。なんかもうグチャグチャで申し訳ありません。


第4章はタイムリーにゴールデンウィーク編。本邸へと帰り、早苗さんのおじいちゃんや斬波さんのお父さんたちに会います。親子関係が主軸の回かな? と思っています。ということは……?


一応今度こそ第4章で終わらせるつもりです。また終わる終わる詐欺になりそうな感もありますが。ちょっとまだわかりません! ごめんなさい!


それではここまでおもしろかった、続きが気になると思っていただけましたらぜひぜひぜひ☆☆☆☆☆を押して評価を、そしてブックマークといいねのご協力よろしくお願いします!!!


※追記。多くの方が気になっているようですが、早苗と斬波の関係は第4章引き継ぎです。そこで善悪区別付けます。お待ちください。

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― 新着の感想 ―
[一言] キスの件はジンと出会う前からの事で、本人も初めてに拘ってないみたいだから、その事を許すのはまだ理解出来る。 でも今でもキスするどころか、百合展開は最早浮気でしょ。笑 早苗が諸々の事を認識して…
[一言] 何簡単だ仁が2人を物にすればいいのさ! 旧家では妻妾同居は珍しくないよ? 一緒に面倒見れば全て丸く収まりそうだ!
[良い点] 内容が凄く良くて、面白い。一気読みしてもうた。 [気になる点] 脚治ってほしい! [一言] まだ完結しないで〜(TT)これからも応援してます!!
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