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第1章 第11話 年上 2

「ジンくん、オムライスですよ。ハート書いてあげますねっ」

「飲み物何がいい? お茶? ジュースもあるけど」

「しょ……食後のデザートにシュークリーム用意してあるから……っ。おなかすいてたら……食べてください……っ」

「じゃあルナはぁ、チョコレートあげますねっ」



 料理ができ朝も来た食堂に行くと、早苗さんと玲さん。そしてメイドの2人が俺を囲んでキャイキャイと騒ぎたてる。



「両手に2本ずつ花抱えてご満悦? 本当に気持ち悪いわ」



 それがおもしろくないのは愛菜さんだ。俺たちの正面でふくれっ面をしている。



「だいたいオムライスってなによ子どもじゃないんだから。大人の女ってのはねぇ、もっと上品でエレガントなものを好むのよ」

「トークを話してるな」

「ぐぬぬ……! こ、これだからがり勉野郎は嫌いなのよ! 言葉ってのはねぇ、意味が伝わればいいの。そんなこともわからないんじゃいくら勉強できてもねぇ」



 にしても突っかかってくるなぁ……。まぁ慣れてるから俺はいいけど、俺を貶すことによって他の姉妹との仲が悪くなるのが困りどころ。特に早苗さんの目、マジで怖い。



「とにかく。あたしはもっと大人らしいものを昼食に選んだわ。熱海(あつみ)、持ってきて」

「はいっ!」



 わざとらしく愛菜さんが手を叩くと、扉が勢いよく開かれてポニーテールの元気な女子が入ってきた。



「ホットケーキですっ!」

「パンケーキって呼びなさいって言ったでしょっ!? あとうるさい! てか焦げてんじゃないのよぉぉぉぉっ!」



 …………。コントか? と思って斬波に助けの視線を向けると、斬波が口に手を当て耳打ちしてくる。



「ツンデレの愛菜ちゃんとそのメイド、武藤熱海ちゃん。合わなくていつもああなるんだ。温かい目で見てあげて」

「って言われてもなぁ……」



 少し思うところがあり、テーブルを杖代わりにして愛菜さんのところに向かう。



「な、なによ……」



 そして彼女の正面に立って顔を近づけると、少し顔を赤くして目線を逸らした。



「なるほどな……」



 やっと愛菜さんのことがわかり始めてきた。単純にこの子、思春期なんだ。



 年上の異性は怖いし、自分を大人に見せたがる。家族と一緒にいると気が大きくなるし、覚えたての言葉を使おうとする。



 中二病も中二病。年頃も年頃。みんながちょっとこの子に優しいのは本当にそういうことなんだ。



「なに? 堂々と浮気のつもり? 言っとくけどあたし、早苗ねぇみたいにチョロくないから」

「わかってるよ」

「っ」



 軽く頭をポンっとすると、顔を真っ赤にして俯いてしまった。チョロすぎない?



「ジンくん、本当に浮気するつもりですか……?」

「しないよしない」



 俺がするのは一つ。話し合いだ。別に仲悪いままでもいいにはいいけど、それは友人関係ならの話。俺たちはこれから家族にならなきゃいけないんだ。



 そして歩み寄らなければならないのは、年上の俺。徐々にでもいい。俺の方から愛菜さんの心を開いていかないと。それが年上の。そして婿の使命だ。



「その……ほっとけーきだっけ? 美味しそうだね。俺にも一口くれない?」

「パンケーキよ! それにあげるわけないでしょ? あんたみたいな貧乏人にはもったいないわ」



 俺から話を切り出すと、愛菜さんは得意げにパンケーキを口に運んだ。あまり美味しそうなリアクションはしていないが、あっちが俺の上だと思ってくれてるならそれでいい。



「美味しい?」

「当然よ。熱海はあたしの優秀なメイドなんだから」



 愛菜さんがここ一番のドヤ顔を見せる。それだけでこの子が本当はいい子だということが丸わかりだ。



「でもさ、早苗さんが作ったオムライスも美味しそうじゃない?」



 ここで。そろそろ早苗さんの視線が気になりだしたのでフォローも入れておく。



「だからさっき貶したことさ。一言言っといた方がいいんじゃない?」

「……なんであんたなんかに言われなきゃ……!」


「俺は関係ないだろ。他人にいけないことを言ったら謝る。それは当たり前のことだ」

「……早苗ねぇ。ごめんなさい……」



 やっぱりいい子だ。これくらい性格がいいとやりやすい。



「よく謝れたな。悪いことをしたら謝る。意外と大人でもできないことなんだよ。それができたお前は大人以上に大人だ。尊敬するよ」

「……うるさい」



 頭を撫でてあげると、愛菜さんは本当に恥ずかしそうにしながら俯いて精一杯の強がりを言った。とりあえず今日はこの辺でいいか。あんまりぐいぐい行っても嫌がられるだけだし。



「俺のことは気にしなくていいからな。これから少しずつ仲良くなっていこう」

「だからあんたなんかと仲良くする気なんかないんだから……」

「私は仲良くなりたいですよ、お義兄さん」



 さて。愛菜さんはゆっくり仲良くなればいいが、この子は違う。



「杏子さん……」



 小学6年生、杏子さん。後継者候補であり、間違いなく姉妹の中で最も厄介な女の子が食堂にやってきた。

なんとか2話目更新できました! 急いだ理由は、ちょっとこの辺ぐだりそうだったからです。ここから物語は一気に加速していくと思うのでお楽しみに! 明日もがんばって2話更新したいと思っているのでお待ちください!


依然日間1位をとらせていただいていますが、少しペースが落ちています。もしおもしろいと思っていただけましたら、ぜひぜひ☆☆☆☆☆を押して評価の方をよろしくお願いします。ブックマークといいねもお忘れなく!

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― 新着の感想 ―
[一言] 実際仁のリハビリ理に適ってるよ? 私今脳梗塞デリハビ中だが医者診断信じず治る姿思いながらリハビリした人間に神は微笑むのを実際見てきたよ!?
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