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Murder Would  作者: 黒澤 ユウ
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Ep4.【白い事実の裏に その1】

 数日後。

 辛うじて気絶で済んだ隼人は偶然にも近くにあった、病院へ搬送され体を休ませていた。

 エカテルナが、彼を応急処置をし病院へと運んでくれたらしい。

 意識が戻ったのは3日前のことで、それまでは深い眠りに入っていた。

 医師からは軽傷だと言われ、1週間もあれば退院できると言われ、ふと安堵した隼人は病室へ点滴台を押しながら、病院の廊下を歩く。

 ぼそぼそと小歩ではあるものの、意識を失う前よりは体の感覚は取り戻していた。


「ふぅ。あの世に行ったかと思ったぜ」


 独白にふけ安心していると。

 見慣れた白い軍服をきた少女が彼の前に、待ち伏せるように腕を組みながら待っていた。


「エカテルナ?」

「具合はどう? まだ優れない様子なら早く横になった方がいいわよ。あなたの部屋ここでしょ?」

「……あぁ。というかなんで知ってるんだよ」

「ばっかじゃないの? あなた看護師さんに教えてもらったに決まってるじゃない? 急に血まみれで倒れる同級生を運ぶの大変だったんだから」


 視線を逸らしながら少々照れくさそうに振る舞うエカテルナ。……彼女は隼人が気絶しているときにもかかさず彼のことを気にして頻繁に見舞いに訪れていた。……いつ隼人が目覚めるだろうと深々と愁眉を寄せながら。

 今日ようやく彼が目覚めたことを聞きつけ、学校終わりに通い面会しに来たようだがただ単に面会目的で隼人に会いに来たわけではないようだ。


「それもそうか。ごめん目覚めたばかりだから意識がはっきりしなくてな。……それよりどうしたんだ? 俺になにか話したそうな顔つきしてるけど?」

「…………そのことだけど、ちょっといい?」


 深刻そうな顔をするエカテルナに隼人は息を呑んで応えた。


「……あ、あぁ」

「だったら病室で話しましょ。あなたに話しておくべき事があるから」

「? いいけど」


 話したがる顔つきをするエカテルナに手引きされながら、自分の病室へと駆け込んだ。


⧖ ⧖ ⧗


「1人なのね、他に入院している人いないけど」

「あぁ偶然にもな。……それで要件を話してくれないか?」

「まぁまぁそんな急かさないの」


 10階の病室。上空から吹き込む風が窓辺から音を鳴らしながら入ってくる。その風はまるで彼のこれから訪れる危険を示すかのように激しく揺らいでいた。


「単刀直入に言うけど」

「お、おう」

「あの日あなた何を使った?」

「何って」


 開口一番に聞いた彼女からの言葉が何を使ったとの一言。

 答えを待つ彼女に対して隼人は、ゆっくりと頭であの日のできごとを思い出してみる。……醜悪な光景を目の前にある敵と命の張り合いをしていた時のことを。


「…………そういえば、偶然にも敵と戦っていたんだ。お前と同じ軍服をきた人と。防戦一方だったけど、ある程度時間がたったとき、それを俺は握っていた。……無意識に」

「それ…………?」


 隼人は話した。

 窮地を目の前に、見知らぬロシアの人間を相手に戦っていたことを。その最中、謎の武器が彼の手に浮き上がり、それを手にして戦い敵を打ち負かしたことを。

 エカテルナにそのように話すと、彼女が視線を落とし考え込む様子をとる。


「どうして彼にそんな力が? ありえないあれを使えたのは"あの人"ぐらいなのに」

「エカテルナ……?」

「あぁごめん。…………ねぇ隼人、私が今から話すことは内密にしてくれないかしら? 口外すると少し大変なことだから。いい?」

「別に構わんが、一体どんな話なんだ……?」


 口外してはいけない。

 妙に引っかかる言葉に彼は目を瞠目する。


「いい? あなたが手にしたっていう武器。それは私のこの武器と同じ性質を持った武器なの」


 説明の為に彼女は白銀に輝く銃を取り出す。


「どうやらあなたは"選ばれた特質の人間"らしい。あなたが危険な目に晒される前にこれを前もって話そうと思ってね」

「特質の人間?」

「これはね、ごく一部の人間に宿る生命エネルギーが武器として具現化した言わば特殊な武器よ?」

「なんだよ、そのSF映画でよくあるようなブツは」


 映画やマンガでよくあるような特殊能力みたいな設定。隼人も昔からそういうものには数え切れないほど触れてきた。

 だが、実際それが存在するという確証はなく、彼女の持つその武器も現物を前にしながらも確信が持てずにいた。

 エカテルナは銃を落とすようにぶら下げだし。


「お前何をして……」

「いいから見てて。こうしないとあなたに信じてもらえそうにないから」


 エカテルナはその武器をわざと落とすように手放す。

 銃は地面へと落ち、地面に衝突した瞬間。破裂するような音が木霊し銃は破壊される。


「…………これがどうしたと?」


 すると。


「な…………に!?」


 思わずそれを目にし、言葉を漏らす。

……武器は、形を再構成するように自己再生を始め、数分経つと何事もなかったかのように元通りになった。無論傷の1つすらついていない新品同様である。

 修復が完了した銃を拾い上げ。


「これで少しは分かったかしら? フィクションものでもマンガや映画に出てくるような作り物とはちょっと違うのよこれは」

「1つ聞くが…………この武器をお前らはなんて呼んでいるんだ?」

「…………上の人からこれは聞いた……これは候補名なんだけど」


Extra(エクストラ) Energy(エナジー) Weapon(ウェポン)

それがエカテルナから聞いたその特質の人間に宿る武器の名前だった。

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