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第8話 トレイシー・グランディーバ



 俺は悪夢にうなされていた。

 赤いドレスに身を包んだ身の丈190センチの筋骨隆々の男に抱き締められ、一緒にワルツを踊らされている。


「誰か!助けて!」


◇◇


 ……その時、ふと目が覚めた。

 目を開けるとそこに悪夢と同じ青髭の顔面があった。

 俺は再び意識を失った。


 しかし間髪入れずに彼女に起こされると、周りを見渡した。

 クリスはまだ眠ったままだった。

 

 実に気楽な奴だ。


 どうやらここは、ドレスの大男の家の様だ。

 彼女は優雅に紅茶を注いでいた。


「よかった。

 目が覚めたのね。

 でもまた眠ろうとしたから

 叩き起こしたわ」

 

「出来れば

 これも夢であって欲しかったです」


「わたしの名前はトレイシー。

 あなた達のお陰で危ない所を

 本当に助かったわ」


 トレイシーは俺に紅茶の入ったカップを差し出した。


「トレイシー。 

 ほぼ、あなたの自力で解決している様に見えましたよ。

 俺はリッキーといいます」


「で……何であたしが襲われていたか

 理由が聞きたいって?」


「いえ、まだ何も聞いてないです」


「実はね、私には姉さんがいるの」


「お姉さんですか…?」


「そう、とっても綺麗な姉さんなの。

 美人で誰よりも優しい心を持った人よ」

 

「どんなお姉さんなんですか?」


「彼女はいまだに私をよく『抱き上げて』可愛がってくれるの」


「あ…、何か大体わかりました。

 そのお兄…いや、お姉さんが今回の事と、

 何か関係があるんですか?」


「彼女は北西にある農村地帯の小さな村、サイレント・アマンダ村で

 修道院のシスターをやりながら、同時に孤児院の院長もやってるのよ。

 とっても優しい人でね」


「修道院をやりながら更に孤児院をですか?」


「彼女は親を亡くした子供たちを育てて 

 教育も施して社会に出られるように育てているの」


「立派な方なんですね」


「ただ今、この国では子供程高く売れるわ。

 人身売買の奴隷商のサミー・レオポルドが放っておかなかったわ。

 奴は姉さんが孤児を保護している為に自分たちの商売に悪影響があるとして

 度々、姉さんの孤児院に、子供を保護をやめる事と、

 今孤児院にいる子供たちを売り渡すように圧力をかけてくるの」


「レオポルド? 

 またあいつらか」


「本来なら私も姉さんと共に暮らして孤児院を守りたかったけど、

 私は歌姫になる夢を捨てられずに、ここクロス・ローズに出てきたのよ。

 でも、ここは欲望の町ね。

 見果てぬ夢を見続けて私もすっかり汚れちゃったわ…」


「どう汚れたかは、説明不要ですよ」


「そこで奴らはきっと、このか弱い私を人質にとって

 姉を脅迫する交渉材料に使うつもりのはずなのよ」

 

 大丈夫お姉さん、妹さんのセルフセキュリティはバッチリですよ。


「彼女の名前は【マザー・メイ】

 私の知る中で最も慈愛に満ち、強く美しい人よ」


「話を、聞く限りすごく立派な人なんですね」

 

「姉さん達アマンダ孤児院は孤児達を独自に調査して

 先回りして保護してるらしいのだけど。

 その時にレオポルドの組織と対立してるって話よ。

 それに最近、レオポルド達が何やら、きな臭い動きを始めてるらしいわ。

 私の所に、何度も刺客を送ってきた事もそうだけど。

 最近レオポルドが、かなり腕の立つ用心棒を雇ったなんて噂も聞くわ」


「なるほど、それは確かに

 そろそろ事件に発展しそうな

 気配も感じられますね」


「私もそう思うわ

 それで、あなた達が私達姉妹を助けようと

 思ってくれてアマンダ村に向かってくれる

 気持ちも嬉しいわ」


「いいえ……

 そんな事は一切言ってませんよ」


「でも、こんな坊やをそんな危険な目に

 合わせる訳にはいかないわ!

 でも、あなたがどうしてもって言うなら

 姉様をよろしく頼むわ!」


「話があまりにも力技過ぎて、涙が出そうです」

 

 そうこう話していると、クリスが目御覚ました


「あ、師匠。あの女性はどうなりましたか?」


 取り敢えず、俺はクリスを一発ひっぱたいた。



 俺達は、孤児院の村【サイレント・アマンダ】に向かう事になった。






        To Be Continued…



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