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第28話 悪魔の力



 ◇◇



城塞都市トロナック

ドロナック城



 ドロナック王アンガス・ドロナックはいつもの悪夢に襲われていた。

 いや、これは現実なのかもしれない…。

 それはアンガス本人にも分からない。

 

 アンガスの前には過去に死んだ両親と兄弟たちがいた。

 皆、アンガスの方を見つめている様であった…。

 見つめているが彼等には皆、眼球がなかった。


 そして、アンガスの父であり先代ドロナック王

 チャールズ・ドロナックがいつもの言葉をアンガスに言う。


「アンガス…。

 愛しき我が息子アンガスよ…。

 私たちは苦しんでいる…。

 悪魔に焼かれ、魂は食われ死して尚、苦しいよ…

 だが、とても…美しいんだ…

 お前も早くこっちに来るんだ…」


 そして、死んだはずの昔の家臣達も現れ、奇声を上げながら踊り出した。

 いつの間にか広間には大量の料理が出現し、眼球のない音楽家達が演奏を始める。


 いつも、この繰り返しだった。

 毎回の事だが一向に慣れる事がない永遠に続く地獄であった。


 10年前、彼は悪魔との契約をした。

 そしてとてつもない力を手に入れた。

 後に息子の第一王子フィリップにも力が発動した。


 吹けば飛ぶ様な弱小国家ドロナック王国は怒涛の快進撃を遂げた。

 戦場ではもはや敵はいなかった。

 絶対的な軍事力を誇ったカダム王国も全く相手にならず殲滅させる事が出来た。


 しかし、次第に彼の心と体は蝕まれ始めていった。

 蒼かった眼球はいつしか真っ赤にそまり、髪は真っ白になった。

 温厚だった性格はみるみる内に荒々しく変わり歯向かう家臣たちは次々と粛清していった。

 そして、いつしか悪夢が現れるようになっていった。


「国王様!

 フィリップ様の軍が攻撃を開始しました!

 …。

 少しお顔の色がすぐれない様ですが…」


「構わん…。

 いつもの事だ。

 それより随時報告を怠るな!」


 

◇◇



城塞都市ドロナック東側

ゴイン平原




 ドロナック軍とラディ・ストラス連合軍の戦いが始まり、ヴィクターとビリーを先頭にドロナック軍の歩兵部隊を次々となぎ倒し、続く連合軍の兵も優勢にドロナック軍を圧倒していった。


「ビリー王よ!

 所詮、領地拡大後に集めた寄せ集め部隊だ。

 数だけで我々の敵ではない!」


「しかし、こいつ等はドロナック軍のほんの一部の兵達だ!

 援軍が来る前に、フィリップ共々一気に叩いて城塞内迄、進軍するのだ!」


 連合軍の圧力と戦闘力にドロナック軍は徐々に後退させられて行った。


「フィリップ様!

 やはり個々の戦力では奴らは並ではありません!」


「やはりな。

 やつら精鋭ぞろいの連合軍相手に

 寄せ集めの一万の兵では

 分が悪かったか…しかし構わん。

 戦場の死体の数も頃合いになってきた。

 そろそろ術式を使う」


 フィリップ王子の全身から再び黒いマナがあふれ出した。

 するとフィリップの周りに待機させられていた100人の囚人たちが皆苦しみ悶えだした。

 目や口、前進の穴と言う穴から血を吹き出し始め倒れだした。


 それを見たヴィクター達も戦を止め目を奪われた。


「何だ!?奴ら何が起こっている!」


 倒れた100人の囚人たちは次第には髪が抜け、全身の皮膚が剥がれ落ち、とてつも ない魔力を放つアンデッドへと姿を変えた。


「かかれ…。

 敵を殲滅せよ!」


 フィリップの命令と共に100体のアンデッド達は連合軍に襲い掛かった。


「くそ…。

 これが悪魔の力か…」


 ヴィクターは冷や汗をかきながら剣を握りしめた。 


 連合軍はアンデッド達の攻撃に衝撃を受けながらも何とか応戦した。


「こいつら確かに強いが。

 我々なら倒せない程ではない!

 怯むな!戦い続けるんだ!」


 しかし、ヴィクター達はアンテッド達の行動に驚愕した。

 100人のアンテッド達の中には戦いながらも、倒れている両軍の兵隊たちの肉を喰らっている者がいた。

 そして、食われた死体は新たなアンデッドとなり連合軍に向かってきた。


「何という事だ!

 こいつらどんどん増え続けるぞ!」


 フィリップ王子は不気味な笑みを浮かべていた。


「形勢逆転だな…。

 まだ、悪魔の力の恐ろしさを理解してなかったようだな」



◇◇



ゴイン平原付近街道



 そこに街道を歩く三人組の姿があった。


「どうやら戦が始まったみたいだな

 城塞都市でも噂になってたからな。

 相手はラディ・ストラス人か?」


「ジェイ!

 私達はあんたが国家騎士を20人も殺したから、お尋ね者なんだよ!

 早くドロナックから離れるって言ってるでしょ!」


「ちょっと、様子を見てるだけだろレオナ。

 見ろよドロナック兵にバケモンがいっぱいいるぜ…。

 いったい何が起こってるんだ?」


「あれは…。

 古代の呪いか何かの一種かしら…。

 ドロナック王室には呪われた力を持つ者がいるって噂は本当だったみたいね…」


「レオナ。

 ちょっと面白そうだから見てくる」


「ちょっと!ジェイ!

 待ちなさいよ!」


 戦場に少し近づくと瀕死のラディ兵が倒れていた。


「これはもう助からないわね…」


 レオナは眉をひそめた。


「どうやらかなり劣勢のようだな。

 勝ち目はありそうか兄ちゃん?」


「我々は負けない…。

 復活された大魔道士リッキーリード様がついている。

 この戦、必ず勝って我々の国を奴らから取り戻すんだ…。

 私は死んでもリッキーリード様が我ら民族を…悪魔を打倒し導いて下さる…」

 

 そう言い残しラディ兵は息絶えた。


「聞いたかレオナ…。

 こいつは驚いた…。

 …。

 俺はこんなに興奮してるのは生まれて初めてだぜ。

 リッキリードが復活したのか…。

 …。 

 決めた。

 俺はこの戦に加勢する」


「もう…。

 この人は…カイルも何とか言ってやってよ!」


「ジェイの意向に俺も従う。

 俺も伝説の男リッキーリードを見てみたい」


「さすがだぜカイル!

 いつもの多数決だなレオナ。

 キングジェイ傭兵団は。

 これよりラディ・ストラス連合軍に加勢する」


 ジェイはにやりと笑い魔砲光銃を肩に担いだ。




              To Be Continued…


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