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第24話 ラディッチの傭兵



◇◇


城塞都市トロナックシェリー宮殿



中央にいるのはドロナック王国第一王子フィリップである。

彼は細身で驚く程色が白く、陰湿そうな表情を浮かべている。


「それで…、ジェシカよ。

 スモークランドのネズミを逃がし見失ったのか。

 やっと、アジトを見つけたというのに、お前が馬鹿力だけの能無しでは、

 例え精鋭部隊を持ってしても国家秩序はとても守られんな」


「申し訳ありません!フィリップ王子。

 3日以内に今度こそディーン達を捕まえて見せます」


「もうよい、それより兵士からの情報で、

 先日のシェリー宮殿侵入者の情報を嗅ぎまわっている、見るからに怪しい二人組の情報が入っているそうだ。

 捕まえて連れてこい、片方ぐらいなら殺しても構わん」



 ジェシカは頭を下げ、今回は20人の精鋭騎士を引き連れて街へ向かった。

「それでそのシェリー宮殿侵入者の情報を嗅ぎまわっている二人組と言うのは、どんな奴らだ?」


「はい、ジェシカ様!

 大きなオカマと、若い女だそうです

 繁華街でよく目撃情報が出ております」


「成程、分かりやすくて良いな。

 見つけたら即刻捕らえるぞ。

 すぐに交戦体制に入れるように

 準備もしておけ!」



◇


首都ドロナック近郊港

地下ストラス諜報部隊基地



 まずい。

 実にまずい。

 俺は魔力喪失の謎と呪いについて調べに来ただけなのに。

 いつの間にか民族戦争みたいなのに巻き込まれる形になっている…。

 しかも、今回の相手はどう考えてもヤバいだろ。

 昨日は、凄くヨイショされまくったから、中々断りきれなかったが、

 この戦争は絶対に参加してはいけないやつだよ。

 クリスやメイにも早く合流しなければな。

 あの二人と合流したら戦火に見舞われるだろう、この首都からは、直ぐにでも離れるのが賢明だな。

 命が幾つあっても足りないよ。


「なあ、ディーンさん」


「あ!リッキー…様」


「今迄通りリッキーでいいよ。

 昨日話した、町に置いてきた俺の仲間2人に早くこの事を伝えたいから一度帰りたいんたけど。

 今頃俺が捕らえられたと思って探してるかも知れない」


「その事だが既にウチの人間を向かわせてある。

 この基地に連れてきて保護する予定だ」


「ああ、そうなんだ、こっちに来るのか」


 どうしよう…。

 逃げるタイミングを失った…。

 もう2日も経ってるけど怒られるだけならまだ良かったな…。

 はぁ。夜のうちに帰る予定だったのに。

 えらい事に巻き込まっれちゃったな…。



◇


首都ドロナック

クリス達宿泊先

 


「メイさん。

 もう師匠がいなくなって2日になります

 まだ見つからないとなると

 そろそろマズい事になってるのではないかと思います…」


「確かにそうね…。

 シェリー宮殿の侵入者は現在逃亡中との事だけど、

 それ以降の情報は一切入ってこないのに

 未だに帰って来ない所をみると…。

 リッキーちゃんは何か事件に巻き込まれてるかもしれないわ」


≪コンコン≫


 ドアをノックする音が聞こえた。


「誰かしら?」


「僕が出ます」


 クリスが警戒しながらドアを開けた。


「突然ですが、

 私はストラス王国諜報員マイクと申します。

 リッキーリード様は

 現在港にある私達の基地におられますので

 ご案内致します」


「ストラス王国諜報員?

 何で師匠がストラス人の所に?

 兎に角、師匠は無事なんですか?」


「詳しい経緯は後程

 お話致しますので今は御同行お願いします」


「信用は出来ないけど今は信じるしかなさそうね

 他にリッキーちゃんを探す方法も無いし」


 3人は宿を出た。

 少し経緯の話をしながら馬に乗ろうとした時、

 クリスに向かって大剣が飛んできた。

 

 瞬時に腕を硬質化したメイが剣を払った。


「クソ!奴らに感づかれたか!」


「奴らって?」


「ドロナック王国、国家騎士です!

 あいつは怪力のジェシカ!」


 そこには怪力のジェシカと20人の国家騎士精鋭部隊がいた。

 そしてジェシカはすぐにマイクに気付いた。


「ほう、一緒にいるのはストラス人か!

 成程、やはり関係があったか!なら話が早い!

 御同行願おう。

 死体に変えてもな!」


 ジェシカは剣を拾い上げメイに斬りかかった。

 メイは剣を受け止め力比べの状態になった。


「クリスちゃん!

 ワタシが抑えている間に、

 早くリッキーちゃんの所へ

 ワタシは隙を見て合流するわ!

(この子!こんな小さな身体で何てパワーなの!?

 このワタシが単純な腕力で押し切られそうだわ!)」


 しかし、更に20人の国家騎士精鋭部隊がクリスに襲いかかる。


 クリスは距離をとりながら、ストラス人のマイクと共に交戦を始めた。

 クリスとマイクは複数人相手に応戦する為、逃げながら一人ずつ迎え撃つ形をとった。

 しかし20人の国家騎士精鋭部隊は次第に統率のとれた連携攻撃に徹し始めた為、対応できず押され始めた。


「この人たち強い!」


 クリスとマイクは押され始めた。

 その時、クリスを庇ったマイクが斬りつけられ、その場に倒れこんだ。


「マイクさん!」


 しかし、更に連続攻撃が続きクリスも剣を魔力でガードしながら弾き飛ばされた。



◇


首都ドロナック繁華街メインストリート

オープンカフェ


 そこに、ひと際異彩を放つ三人組がいる。

 褐色の肌をもつ彼らの外見は、グランデ帝国南方にあるラディッチ大陸出身者の特徴だ。

 

 中央で足を組み、紅茶を飲みながら本を読む男がいる。

 コーンロウヘアで背が高く、端正な顔立ちで顎に無精髭を蓄えていている。

 派手な、いでたちとは逆にその表情には知性が感じられる。

 本の表紙には『リッキーリードの旧世界開放叙事詩』と書かれている。


「これまでの歴史を見ても分かる通り、

 グランデ帝国は世界を統率する器じゃねぇって事だ。

 その上、先祖の英雄皇帝の七光りの好色お坊っちゃんは

 母親の操り人形で無能の暴君ときてる。


 お陰で世界は欲に目が眩んだ戦争狂の権力者だらけで無法地帯だ。

 ネズミのクソ程度の小せえ領土を年がら年中取り合ってる。

 最初は帝国グランデに対抗する新しい武力国家って触れ込みって聞いて

 ドロナックに見に来てみたが、最近聞いたとこによるとが貧富の差だらけで

 犯罪が蔓延り、その上グランデ以上の残虐非道な侵略国家らしいじゃねぇか。

 この世界の歴史上で戦争が無くなって、民族紛争、差別が無くなったのは

 知る限りでは解放者リッキーリードって人がいた時だけだ。

 俺はこの人のやった事には賛同するね」


「でもね、【ジェイ】私達は傭兵なんだよ

 戦がないと生きてけないのよ。

 例えクソみたいな世界でもね」


 黒いスリットの入った妖艶なドレスの様なローブを着ているのは魔導士である。

 彼女の名は【レオナ】。


「戦が無くなれば大工でもやるさ。

 なあ【カイル】?」


「俺は戦士だ。

 戦以外、やった事がない」


 カイルは屈強な重装備兵と言った感じだ。

 長身のジェイよりも頭ひとつ大きく、スキンヘッドで巨大なメイスに肘をかけている。 

 

 するとその時、カフェの前に国家騎士に弾き飛ばされたクリスが転がって来た。

 そこに更に追っ手の国家騎士が斬りかかる。

 クリスは寸分の所でかわすと応戦を続ける。


「少女、一人に国家騎士20人掛かりか。

 どんな事情か知らねえがドロナック騎士ってな

 ちょいとクールじゃねえよなレオナ?」


「あなたまさか手を貸すつもり?

 あー。やだやだ!

 こんなトラブルばっかりで

 私達の財政事情も考えてよね!

 ドロナック軍は今後私達の雇い主になるかもしれないのよ!

 カイルあんたからも言ってやってよ」


「俺達のリーダーはジェイだ

 俺は常にジェイに同意する」


「多数決だなレオナ。

 キングジェイ傭兵団はこういうのは

 見過ごせないタイプだからな。

 少女が20人に襲われている。

 どっちが悪党か一目瞭然だろ

 俺達の雇い主様はクールじゃねえな」


 ジェイは腰に掛けてあったライフル式魔砲光銃を片手で構えた。


「町中でぶっ放すのは久しぶりだな。

 まあ、問題ないだろ」


 魔力で作られた無数の光の弾丸が放たれ

 瞬く間に20人の精鋭部隊を撃ち倒した。


 しかも一般人や建造物には全く当たらずである。


 クリスは啞然とした表情でジェイを見つめた。


「す、凄い…。」


 ジェイはまたカフェの椅子に腰掛け紅茶をひと口すすった。


「怪我ねぇか嬢ちゃん?

 俺はジェイ

 ラディッチ大陸最強の傭兵戦士

 キングジェイって呼ばれてる」



              To Be Continued…




:キングジェイ傭兵団:


キング・ジェイ:

 身長 186センチ 

 数種類の魔砲光銃を使いこなすアタッカー


レオナ:

 身長 178センチ

 攻撃魔術、回復魔術両方を使う魔導士


カイル:

 身長 195センチ

 メイスや斧を使う重戦士



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