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第13話 黒い魔導士






 アマンダ村に来てから2日。

 孤児院ではクリスが子供たちと遊んでいた。

 孤児院最年長のテリーは12歳だ。

 どうやらテリーはクリスの事を少し気に入っているらしい。

 ちなみに、クリスはテリー以外の男の子からもモテモテなようだ。


 クリスは実際には17歳だが見た目はテリーと同じぐらいの歳に見える。

 綺麗な茶髪のショートカットに、大きな青い瞳、愛くるしい笑顔。

 確かに一般的にいうとクリスは相当可愛い部類に入るかもしれない。

 そういや今までそういう目であの子を見てこなかったからな。


「クリスちゃんがあの子達と

 仲良くやってくれてるみたいで助かるわ

 あなたも混ざって

 遊んできてもいいわよ」


「いや、俺今243歳ですよ……

 さすがに子供と一緒に遊ぶってのは

 ちょっときついですよ。

 言ってるでしょ。

 大魔導士リッキー・リードだって」


「まだそんな事言ってるの?

 アナタどう見てもただの子供じゃない。

 魔力も全くないみたいだし」


「それが、本当なんですって。

 魔力はある日、どっかに行ったんですよ」


「はいはい。

 まあ、そのくらいの歳の男の子は

 よくそんな事を考えて

 自分の世界を作ったりするものだしね。

 ワタシは信じてあげるわよ。

 大魔道士リッキーちゃん」


「……」


 その時、マザーメイの側近のステファニーとレイチェルがレオポルドファミリーのスパイと思われる男の両脇を抱えて帰ってきた。


「ボス。

 また、サミーのネズミを

 一匹捕まえました」


「ボスって呼ぶのは

 おやめなさいっていつも言ってるでしょ。

 私達はシスターなのよ」

 

「お前が先代をやったマザーメイだな?

 もうお前らも終わりだよ!

 俺たちには今回とんでもないお方が

 用心棒についたからな!

 お前らのバケモン面も、もう見納めだ!

 覚悟しとけよ!」


「ホントにレオポルドファミリーって

 バカばっかりで助かるわ。

 いつも、情報をベラベラ喋ってくれてありがとう。

 ステファニー、レイチェル。

 いつもの部屋でお仕置きしてあげなさい。

 帰ってくる頃には

 愛に溢れた人間になって帰ってくるわ」


「はい!ボス」


「だからボスって呼ぶのは、おやめなさい」


「何だ!?何をする気だ?

 ちょっと待ってくれ!」


 レオポルドファミリーのスパイは、そのまま奥に引きずられていった。

 恐ろしい……この後、一体何をされるのかは想像したくもない。


「リッキーちゃん。

 そろそろ

 またひと騒動ありそうな予感がするわ。

 あなた達も一度、子供たちと

 どこかへ避難させていた方が

 良いかもしれないわね」


「俺もそう思います

 その用心棒ってのも気になりますし」


 戦いに巻き込まれでもしたら大変だ。

 メイに聞いた話では4年前の戦いは相当な被害が出たみたいだしな。

 魔力がない俺が今巻き込まれたら、命の保証は全くない。

 ここは、クリスさんを連れて一度どこかに避難を……



《ボン!!!!!!!!!!!》



 急に孤児院に、爆撃音が走った!!!


「何が起こったの!?」


 この衝撃は、攻撃魔法だ!しかも、相当な威力だ。

 かなりの術者がいるぞ!


「ボス!

 サミーのやつらが攻めて来ました!」


「こんなに早く!?

 さっきのスパイは油断させる為の

 罠だったってわけね!」


「敵の総勢100人はいます!

 それから見た事も無い魔術を使う

 魔道士が1人!」


「メイさん!

 このレベルの魔導士がいるなら

 あなたの能力では

 相性が悪いかもしれません!」


「リッキーちゃん安心して。

 このアタシは決して負けたりしないから」


「逃げられる人間だけでも逃げないと!

 敵のこの魔力は普通じゃない!」


 その時、俺は突然メイの強烈なハグを受けた。

 俺は安らかな眠りについた……


「リッキーちゃん。

 あなたはちょっと危なっかしいから

 終わるまで、ここで眠っていて貰うわ。

 目が覚めたら全部解決しているからね」



◇◇◇


 レオポルドファミリーは本当に総勢100人以上はいる。

 その先頭にいるのはサミー・レオポルドと、真っ黒のローブを纏った老人。

 その男は途轍もない魔力を全身から放出させている。

 

「サミー、あんた達も懲りない連中ね。

 今回はそれなりの人数を

 集めて来たみたいだけど。

 結果はいつもと変わらないわよ!」


「相変わらずヒデー面だなメイ!

 しかし、今回は数で

 やろうって訳じゃない。

 こいつらはお前ら自警団を殺した後に、

 子供や村人を連行する為に連れて来ただけだからな!

 今回は、お前をぶっ殺すために最強の助っ人を用意してきた。

 偉い高くついたが、このお方は元国家直属の大魔道士ダミアン先生をだ!

 お前らは、もう終わりだよ!」


 すると、先ほどから異様な魔力を放出させ続けている老人が前に出てきた。


「サミー・レオポルド。

 俺は真ん中のオカマを殺せばいいのか?

 私が気になるのは、

 その後ろにいる茶髪の娘の方が強そうだと思ったんだがな。

 中々の魔力を持ってそうじゃないか。

 まずは、あの娘からやってやっても良いぞ」


「待って!

 この子は何の関係もないわ!

 私一人が相手をするわ!」


 メイはクリスの前に出て

 両碗を高質化させ、そのままダミアンに向かって走り

 拳を振り回した。


「フン、芸の無い山猿か……

 『リフレクション』」


 ダミアンの防御魔法がメイを吹き飛ばした。


『ボーアンドアロウ……』


 ダミアンは続けて更に魔力で光の弓矢を作りだし、追撃の矢をメイに放った。

 メイは何とか矢を躱そうとしたが、メイの肩に光の矢が突き刺さった!


「くっ!何て事……

 私の高質化を貫いたなんて!」


「弱すぎるな。

 遊びにもならん……」


「はっはっは!強い!

 今日こそお前も終わりだなメイ!

 村人を拉致した後は、この村は焼き払ってやるよ!」


 すぐに自警団のステファニーとレイチェルがメイに駆け寄った。


「ボス!!」


「ボスはおやめなさいって言ってるでしょ……

 ステファニーとレイチェル!あんた達は手を出さないで!

 あんた達の勝てる相手じゃないわ!

 とわ言え、最悪な状況になってきたわね……

 ワタシも全く勝てる気がしないわ。

 あいつは強すぎる……」


「ふん、この大魔導士ダミアンに

 お前の勝てる可能性はゼロだ。

 その硬質化能力ごと焼き尽くしてやる。

 『バースティングファイア……』」


 メイに向かって火炎魔法が放たれた。


 しかし、その時クリスの攻撃魔法が軌道を変えてメイを助けた。


「ほう、やるじゃないか娘。

 やはりお前から相手にした方が良かったかな……」


「メイさん僕も戦います!

 二人なら何とかなるかもしれません!」


「クリスちゃん……

 仕方ないわ。

 お願いするわ!

 力を貸して頂戴!

 死ぬんじゃないわよ!」



 その時、俺はまだ、メイの抱擁により、深い眠りについていた。

  


To be continued…


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