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ジャンル:時代|水泳、図鑑、飴



着物ではなく洋服を着た人が増えてきた東京の街

あいすくりいむを食べに喫茶に入る人もいれば、女学生に声をかける青年もいた

そんな人たちを部屋の窓から眺め、街の明るさに目を細めた

「お姉様今日は水泳の授業があったんだ」

嬉しそうにそう話す弟の髪は少し湿っていたから、1番最後の授業が水泳だったのだろうと予想着いた

私は生まれながら体が弱く学校には行けなかった

勉強は家の中でもできたそれでも経験できない授業を受けている弟を見ると羨ましくも思った

「一緒に図鑑をみましょう」

「何の図鑑ですか?」

「蝶よ」

生まれた頃は醜い形をしているのに最後は美しく飛び立っていく蝶のその様が私は大好きで何回でも蝶の図鑑を開いては想像する

自分がこの部屋から出られたなら、と

それができないならば誰かこの代わり映えのない窓からの景色を変えてくれ、と

「今日学校で飴玉をもらったんだ、お姉様にひとつ」

可愛らしい瓶に入った飴玉を私にひとつ差し出してくれた

それを受け取ろうと手を伸ばした瞬間急に胸が痛み息が出来なくなった

すぐに意識は遠のいていき、最後は弟の私を呼ぶ声が遠くに聞こえた

意識が無くなる瞬間紫色の羽を持った蝶が私の鼻先に止まった

あぁ、なんて美しく恨めしい存在

来世は貴方の毒に侵されませんように

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