第四話
「さっくっらっちゃーん!」
「そんな名前の人、いませんが?」
ピロピロピローン。
コンビニのベルと共に全身真っ黒な奴が乗り込んでくる。
間違えた、頭は金髪だった。
丁度客はいない、私はレジでジャンプを読んでいた。
畜生、何でお前来るんだよ。
「はい、桜ちゃん携帯!」
「あぁ、わざわざ取り返しに行ったのか」
「うん!ついでに軟派野郎にジャーマンスプレックスかけてきた」
「それは誉めてやろうが、携帯返したら帰れ」
「はい、どーぞ」
コイツは人の話を聞かないのか。
私の携帯が返ってきたのでさっそく中を開く、そして固まる。
「待ち受けね、桜ちゃん初期のままだったから俺が変えといた!本当はツーショットがよかったんだけどねー」
「……」
携帯の待ち受けにはヘラヘラ笑っているストーカー……変質者の顔。
ボキッ、
「きゃー!桜ちゃんん!?」
「……」
思わず携帯逆ポキしてしまった。
嗚呼、勿体ない。
いくらイラッときたからと言っても物にあたっちゃ駄目だよな。
「ちょっ!桜ちゃん大丈bって痛っ!滅茶苦茶痛っ!」
「……この怨み地獄に流します」
今日と言う今日の為に持ってきた、竹刀持ってくると言っていままで忘れてきた竹刀を今日は持ってきました。
取り敢えずもう使い物にならないであろう頭を竹刀で叩く。
「真面目に痛いよ!?桜ちゃん!」
「……」
「無視!?」
このさい、携帯の事は置いとく。
だがよくよく考えれば私の不幸の原因はコイツじゃないか?
今までは生かしてやってきたが、さすがに何かが切れた。
よし私の未来の為にも抹殺しておこう。
「煩いぞ、名も無きストーカーよ」
「え、名前ちゃんとあるよ。つーか今になって主人公の名前かよ!」
「何を言っているストーカー、お前は主人公ではないただの変質者だ。つまりは名無しだ」
「つーか名前言わなかったけ?それだけテンパってたのか恥ずかしいー」
「人の話を聞け」
私は竹刀攻撃を止めない。
痛い、痛いと言っておきながら平気じゃないかコイツ。
変質者は顔を覆ってた手を外し、こちらに笑みを向けてきた。
「俺の名前はー」
「言うなよ、言ったら私の人生終わる」
「柊修!」
「終わったぁー!」
思わず竹刀を落とす、それを変質者は受け取る。
何かが終わった、畜生今までは名前を出させないようにしてきたのに、誰の陰謀だ?誰の。
「桜ちゃん17だよね?」
「さーな」
「俺とタメじゃん!」
「へー」
「俺の事これから、修って呼んでね!」
「嫌だ」
つーかもう帰りなさい。
忘れてるようだから言っておきますが、ここはコンビニ。
何かを買う為に人が来るところです。
変質者も何か買っていってくれればいいのに。
「ん、携帯鳴ってる」
変質者は尻ポケットから自身の携帯を取出し、耳に当てる。
竹刀返せよ。
「えー!今からぁ?今俺ラブラブランデブー中なんだけ……わかったよ…」
電話は終わったらしい。
にしても柊って何処かで聞いたような苗字……。
「ごめんね、桜ちゃん愛しの恋人は帰らなくてはならないんだ!」
「海にでも山にでも土にでも帰れば?」
「また明日も来るからね!」
慌ただしい奴だ。
と言うより何でアイツ毎日此処に来るのだろうか。
「……携帯、どうしよう」
無くても困らないしいいか。
それより私の竹刀返してくれないかな。