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第一話

私の名前は七白桜。

どこにでもいる普通の高校生のコンビニアルバイト店員だ。

店内には店員である、私以外誰もいない状態。

つまり絶好のサボり時間だ。

そんな中空気の読めないアイツがやってくる。

コンビニの扉が開き、コンビニ特有のメロディが鳴る。

ピロリロリーン。

またか、と盛大にため息を吐いて思いっきり嫌な顔をしていたのに。



「今晩はー!、桜ちゃん!」


「……」



ソイツは何も買うものを持ってこないで、レジにいる私に話し掛ける。

何しに来てるんだコイツ、買えよ。

客ではない事が分かっているので「いらっしゃいませぇ」とは言わない。

因みに私は名前を呼んでいいとは言ってない筈、図々しい男だ。

見るからに痛んでそうな金髪、黒いパーカーを纏う、「普通」の不良らしい男、いや不良だ。

背が異様に高いので私は思わず見上げてしまいそうになる。



「ちょっとちょっとぉ、桜ちゃーん、折角お客様が来たんだから接客してよぉ」


「………コンビニで何も買わない人はお客様じゃありません」



キャッキャッ、はじけとるわこの男。

間延びした声、妙に高いテンション。

こういうタイプの扱い方が分からない、面倒になった私は無視と言う選択をとることに。

奴は私が無視していると、レジ台に上半身を乗せてきて私の顔を覗き込む。

何だお前は、気持ち悪いなぁ、イライラしてくるから止めろ。

つーか上目遣いなんか可愛くないんだよ、寧ろ鳥肌が立つわ。



「桜ちゃんが構ってくれない……!恋人なのに……!」


「何を勘違いしてやがるんですか、お前と私は恋人ではありませんし、お前は只のストーカー=変質者な訳だが、オーケー?」


「オーケー!」



この男、まったく分かっていない。

何で嬉しそうに笑顔で親指たててるのかな?

奴の額にデコピンをする、これでも「デコピンの女王」と呼ばれた女だ。

奴の額から破裂音が聞こえたが特に気にしない。

痛みに悶えている奴を見て、少し気が晴れた。

この男と初めてあったのは一週間前。

アルバイト帰りの電柱の柱に隠れていたところを偶然見つけた。

非常に嘘くさいがこの男は私に一目惚れなるものをしたらしく、尾行=ストーカーをしていたらしい、迷惑極まりない。

警察に通報しない私は菩薩以上に優しいにだろう。

そして三日前から私の働くコンビニまで足を踏み込んできた。

因みに一番最初に奴がコンビニに入ってきた時、私に言った言葉は「今日の下着何色?」。

セクハラで訴えてやろうか。



「駄目だよ、ため息ついちゃー、幸せが逃げちゃうよ?」



にっこにこ。

私の幸せが逃げるもっともの原因が自分だと、この男理解してない。

この能天気男に破滅が訪れますように。



「知ってる?お前がいるせいで逃げるんだよ?」



幸せが、



「あっもうこんな時間かぁ」



華麗に無視するこの男。

殴りてェ……。

どうやら帰るらしい。

何も買わずに去っていく、コイツ何しに(ほぼ)毎日来てるんだろう。



「ごめんね、桜ちゃん、君の愛しの恋人は帰らなきゃならないんだ……!」


「さっさと帰れば」


「桜ちゃんが寂しがると思うから……」


「…………」


「はい」



彼は黒のパーカーのポケットから同色の黒の携帯を取り出す、黒尽くしだな、脳内はお花畑だろうが。

そして私の携帯が鳴った。ポケットから携帯を取出し確認すれば、誰からなのか分からないメールアドレス。

文字はない、ただ画像が添付してある。

画像は目の前に居る男と誰か分からないが可愛い女の子の写真。

仲良さそう、と言うかキスしているのだが、コイツの恋人か何かだろうか。



「……どう思う?」



いつになく真剣な表情のこの男。

普通にしていればカッコイイのに、なんて思った自分を殺したい。



「特になにも」



と言えば、目の前の男は世界が終ったような顔で固まった。

カシャン、男の手から携帯がこぼれ落ちた。



「意味わかんないし、邪魔だから消していい?」


「……なんで、」


「は」


「なんで、そんな冷静なの!!?いやそう言うところも好きなんだけどさ!いや、でも普通恋人が他の奴とキス、浮気してたら冷静どころか嫉妬通り越して発狂するでしょ!!?もし桜ちゃんが俺以外の男とキスしてたら発狂するよ!!?その男を殺すよ!!?まぁそんなことないでしょうけど!!」



ノンブレスでそう言い切った男は、大げさに肩で息をしている。

うるせぇ、つーかどさくさにまぎれて一旦離れた顔が近いからもう一度デコピンをしておいた。



「だから私たちは恋人じゃねぇだろうが、そんな事より何で私のメールアドレス知ってんだ」



画像なんかどうでもいい。

それより何故コイツが私のメールアドレスを知ってるのかが不明だ。

私が教える訳はない、例え地球上にコイツと二人だけになってもだ。

取り敢えずコイツから来たメールを削除する、何か手元にあったら呪われそうだし。

男はデコピンの痛みから立ち直り、ヘラっとだらしなく笑う。



「俺の友達から聞いたのさ☆」


「……誰だそれは」



思い当たる人物は絞られてくるが。

思わず男の胸ぐらを掴み、揺さ振る。

男が悲鳴をあげるが気のせいだ。



「いや、言うなって口止めされてるしってヤバッ!」


「はぁ?そんなもん知らねえし、お前の事情なんかどうでもいいよ」



その男は落とした携帯を拾い上げ、慌ただしく自動ドアから出ようとする。



「じゃーね!桜ちゃん!また来るから!」


「二度と来るな」



男は満面の笑みで毎度同じ事を帰り際に言った。

私も毎度同じセリフを言ったが、どうせまたあの男は来るのだろう。

今度から竹刀持ってこよう、それからアイツに私のメールアドレスを教えた奴を袋叩きにしよう。



「て言うか私、アイツの名前知らないな」



まぁどうでもいい事か。



……相沢識です。

初めましての方は初めまして。

モノクロセカイを見てくださった方は……すいません。

まだモノクロセカイも完結してないのにまたこんなしょうもない小説書いてすいません……!

まぁこれは一話完結型のシリーズみたいな感じで読んで下されば嬉しいです。

そして鼻で笑ってやって下さい。

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