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第4話 お見舞いへ

 あの事件から3日後。未来先輩は、まだ学校に来ていなかった。どうやら、未来先輩は事件の日の次の日に、学校に行こうとしたら襲われてしまった場所まで歩いてから高熱で倒れてしまったらしい。

 ものすごく心配である。この情報は、未来先輩のお母さんからいただいたものだ。あの事件の日に、これからも娘をよろしくね!という、ものすごく胸が高鳴るセリフとともに連絡先をもらった。使うことはあまりないと思われたがまさかお母さんのほうから、未来先輩の情報が来るなんて…… そして、未来先輩のお母さんから、今日もメッセージが届いた。今日お見舞いに来てくれないかしら?というものだった。ずっと心配だったのでうれしいがいざ、お見舞いに行くとなるとものすごく緊張する。

 ぼ、僕が行って大丈夫かな…… まぁ、そんなこと気にしても仕方ないか。なんかお菓子でも持って行ってあげよう。


 「おーい。修お前何ボーっとしてんだよ! 飯食いに行こうぜ」


 「あ、ああぁごめんごめん。考え事してた」


 僕は、天馬の声で昼休みになったことに気づいた。うちの高校は、学食があるので普段は天馬と学食でご飯を食べている。


 「考え事って、また未来先輩?のことかぁ?」


 食堂で各々の、注文をし席に着くと天馬は言った。


 「あぁ、悪いかよ」


 「お前、大好きすぎるだろ。まぁでもあんな事件があったんだ。しばらく学校に来れないのも仕方ないさ。お見舞いでも行ってやればいいじゃないか」


 「行くんだよ。今日、お見舞いに」


 「まじかよ」


 「あぁ、未来先輩のお母さんから直接メッセージで来てくれない?って言われたんだよ」


 「まじか…… お前、いよいよ親に手をまわしだしたのか……」


 「嫌な言い方をするな!? いろいろあったんだよ!」


 「ハハハ、冗談だよ。冗談。 未来先輩のお母さんだって、お前に感謝してるんだよ、実際お前がいなきゃ、もっと大変なことになってただろうしな。小学生の時からの付き合いだけど、修のこんなにかっこいいエピソードが聞けるとは思わなかったよ」


 「そ、そうか…… なんか天馬に言われると照れるな」


 そう、俺と天馬は小学生の時からの友達である。俺たち2人のかっこいい担当は、ずっと天馬だった。こいつは何をしたってかっこいいのだ。スポーツをすれば人並み以上の成績をたたき出し、勉強の成績も悪いと見せかけてやればできる。それに身長がとても高い。何だこいつ…… 俺にないもの持ちすぎだろ。うらやましい。


 「まっ、頑張って先輩と仲良くなれよ? 俺ちょっと部室に行ってから教室戻るから先戻っててくれ」


 「はいよ」


 どうやら、天馬は部室に忘れ物をしてしまったらしい。僕は、せっせと教室に帰ることにした。

 教室に戻るために廊下を歩いていると、途中でトンデモない会話が聞こえてきた。


 「みずほ、最近恋してないの?」


 「それがさぁ、同じ学年の野球部の下田天馬様っていうお方がいるんだけどね! 身長も高いし顔面もかっこいいわで、もう、食べちゃいたいくらい好き」


 僕は吹き出しそうになった。 おいおいおいおい…… まじかよ…… やばいもん聞いちまった。あいつもてるんだな。


 「あぁ、あの背が高い人ね。確かにかっこいいかも」


 「そうそう! 何なら私物も食べちゃいたいなぁ」


 えぇ、何この天馬推しの子…… ちょっとやばいんだけど。 天馬様って呼んでるし。好きというより信者だろこれは。

 とんでもないものを見た僕は、知らん顔をして自分の教室に戻った。


 ☆☆☆


 放課後。

 無事に授業が終わったので、僕は未来先輩の家に向かった。もちろん、何を持って行っていいのかわからない僕は、とりあえず有名なメーカーの菓子折りを買っておいた。こういうときに、何を持っていけばよいのかの知識も必要だな。そもそも、やっぱり男たるもの紳士的でなければならないよな。てか今日の小テストやばかったな……どうしたろ

 と、物事を考えているふりをしてインターホンを押すのをためらっている人間がここにいた。

 家の目の前についたはいいけど、実際目の前にするとめちゃくちゃ緊張するな……

 よし押そう。

 僕は勢いに任せてインターホンを鳴らした。

 ふぅ、僕の勝ちだ。


 『はーい』


 「か、上川修です」


 『あっ、修くんね。 上がって上がって』


 ドアが開いた。


 「よく来てくれたわ。じゃあ、私は買い物行ってくるから。未来は二階にいるからよろしく~」


 !?


 「ちょっと待ってください。 何を言ってるんですかお母さん?」


 「やっぱり、若い男女は2人きりにならないとね!」


 「いやいやいや、病人の娘をよくわからん男と2人きりにするな」


 「君なら、大丈夫よ。期待してるわ」


 「期待!? 何にたいしてですか!!」


 「さぁ~? じゃあ、お願いね」


 未来先輩のお母さんはスキップしながら家を出ていった。この間は、あんな感じじゃなかったよな?今のが素なのかな? 今日は、驚くことが多いぞ……


 「お邪魔しまーす」


 僕は恐る恐る、家の中に入っていった。

2階って言ってたよな?

 2階に上がると、【MIKUROOM】と書いてあるプレートがドアにかかっていた。おそらく、この部屋に未来先輩がいるのだろう。ノックをすべきだろうか?と思っていると


 「おかあさ~ん?」


 未来先輩の声がする。 というかどんどんこっちに近づいてくる。

 

 「おかぁさ~ん? どっかいちゃったのかな?」


 あの人、まさか俺が来ること伝えて……


 ガチャ


 ドアが開く音がした。


 「ど、どうも~あは、あははは」


 ドアが開いた先には、とっても天使なパジャマ姿の未来先輩がいた。

 そんな天使な先輩を、僕は手を振りながらぎこちない笑顔で出迎えた。


「え? ええええええぇえええええええええ!? ま、まま待って? なんで上川君がいるのかな?」


 「いやぁ、こんなところで会うなんて偶然ですねぇ。未来先輩」


 「ここは、私の家だああああああああ」


 先輩に、全力の突っ込みをされた。というか、先輩元気そうだな。良かった。


 「あはは、実は、先輩のお母さんからメッセージで、お見舞いに来てくれないか?と言われて。のこのことやってきたんですけど、僕を家に入れた瞬間買い物に行っちゃいまして……」


 「あの、女ぁあああああ!」


 えぇ、先輩怖い! 実のお母さんをあの女呼ばわりするなんて……


 「ま、まぁ、なんにせよ。先輩が元気そうでよかったです。これ、つまらないものですけど」


 僕は先輩に、さっき悩みに悩みまくって買った菓子折りを渡した。


 「あ、ありがとう」


 先輩は、まだどこか、ポカンとした表情である。


 「あんまり、長居してもあれですし、ぼ、僕はこの辺で帰りますね」


 このまま、パジャマ姿の先輩を直視するのは危険だと感じた僕は、帰ることを決意した。かわいすぎてみてられん!


 「ちょっ、ちょっと待ってよ」


 僕が、背を向けて歩き出そうとすると先輩は、僕の制服の袖を引っ張った。

 え?ナニコレカワイスギナイカ?


 「な、ななな何ですか?先輩」


 「せ、せっかく、来たんだからもうちょいいてよ」


 ナニコレテンシジャン。

 僕の目の前には、天使がいた。


 「よく見ると先輩の頭の上に、黄色いわっかが見えますよ」


 「人を勝手に殺さないでくれないかな? もう、おかしなこと言ってないで、とりあえず私の部屋入って」


 な、なんですって!? この、彼女いない歴=年齢の俺が、いよいよ女子の部屋に入れるまでに成長したというのか。


 「この部屋、身長170未満の男入場不可とかないですよね?」


 「そんなもん、あるわけないでしょ! ほら入って」


 「そ、それでは…… いただきます」


 「何をいただくつもりだ!!」


 「天使の住処の空気」


 「え、ええ」


 明らかに、引かれた気もするがこの際気にしないことにしよう。さてと、先輩の部屋を堪能するぞおおおおおおお!!!

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