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第2話-A プレゼント

 「それで?思わず告白してしまったと?」


 天馬は、あきれたよう言った。


 「う、うん。かわいすぎて、ついうっかり」


 「おまえがそこまであほだったとは知らなかったよ。せっかくお前好みの人がいたのに残念だったな。流石に出会って数秒で告白してくるような奴とゴールインすることはない!」


 「そんなの、やってみなくちゃわからないだろ?」


 「いやいや、お前何言ってんだよ!やった結果振られてるじゃねぇか」


 「それとこれとは別問題だ。これから猛アタックを仕掛けるんだよ」


 「……具体的にどうするつもりなんだ?」


 「プレゼントを用意した」


 僕は、きめ顔でそう言った。


 「は?」


 「いやいや、だからプレゼントを用意した」


 僕は再び決め顔で言った。


「これは、重症だな…… 告白した次の日にプレゼント持ってたらドン引きだれるに決まってるだろ!!」


 「そ、そんな馬鹿な……」


 そんなはずはない。僕は昨日、貯金を使って女の子がもらってうれしいものを雑誌でしらべ買いに行ったんだぞ。


 「そんなお前に良いものをやろうか?」


 天馬は、にやにやしながらカバンをゴソゴソし始めた。一体何を渡してくるつもりだ?


 「な、なんだよ?」


 「ほれ、家にあったからこれやるよ」


 そういって天馬が渡してきたのは大きめの本だった。


 「『背を高くする方法200選』? いや、なんだよこの本、デカいし人を馬鹿にしてるだろ」


 「これで身長伸ばして、その文芸部の可愛い先輩を落とせよ。がんばれ」


 天馬はにやにやしながら言ってきた。こいつ…… ひよをばかにして!


 「こんなので、背が大きくなってたらとっくにやってるよ。馬鹿なの?」


 「200選もあるんだから、一つくらい当たるかもしれないだろ? そうイライラせずやってみろよ」


 「たくっ、なんで187㎝もあるお前の家にこんな本があるんだよ」


 「わからんけど、本棚にあったんだよ。あっ、あと俺昨日身長測ったら188㎝あった」


 「はぁああああ50㎝くらい僕によこせええええええ」


 「それができんなら5㎝位上げてるよ。じゃあ、俺は今日も元気に甲子園目指してくるわ」


 「あ、あぁバット振りすぎて背が縮まないように頑張ってくれ」


 「そんなことはありえないから安心しろ」


 ☆☆☆


 そして、文芸部

 

 今日も、普通に足を運んでしまったが…… 果たして、いきなり告白して嫌われてないよね?そりゃあ攻めの姿勢で行くって誓ったけども…… 流石にあれはやりすぎだったような…… くそぉおおお!これじゃあ情緒不安定の人みたいじゃないか。攻めの姿勢は崩さずに今日も攻めまくってやる!!

 僕は、自分に近い部室の扉をノックした。


 「しつれいします」


 部室に入っていくと、昨日と同じような感じで未来先輩は立っていた。


 「きょ、今日も来たんだね」


 「はい。この部活に入部するって決めましたから」


 「そ、そう」


 「具体的に、この部活って何するんですか?」


 「そ、そりゃあ本読んだり読まなかったり読んだり感想言ったり言わなかったり遊んだり遊んだり遊んだり……」


 いや、めちゃくちゃ遊んでるじゃん……


 「あ、遊ぶんですか?」


 「きょ、去年先輩が3人くらいいて、ちゃんと部活として機能していた時はずっとあそんでたの。でもそんな先輩たちはほとんど2つ上だったから卒業しちゃって」


 衝撃の事実だった。一応、文芸部らしい活動を考えていたのに遊んでたのか……


 「で、今部員は?」


 「君が、入部届を出してくれれば私と君の2人になるよ」


 「はい? え?ん?2人きり、ですか?」


 僕は心の中でガッツポーズをした。こんなかわいい先輩と2人きり?やったぞ。やったぞ天馬。


 「そ、そうなっちゃうね。 より私の身が心配だよ……」


 「し、心外な! 僕は先輩のことをかわいいとほめることはあっても襲うことだけは絶対にありません。なんならなんかあったとき守って見せます。 じっちゃんの名に懸けて!!」


 「君のじっちゃんは何をしてた人なのかな?」


 「僕のじっちゃんは、マジシャンだったらしいです」


 「マジックで私をどう守るつもりなの!!」


 「さ、さぁ?」


 僕は、思いついたことをポンポン言っていた。目の前の美少女と2人きりというこのシチュエーションにものすごくドキドキしているのである。あぁ、かわいすぎるだろこの先輩……


 「そんなんじゃ、守れないじゃん。 まぁいいよ。君はおかしい人だけど入部してくれることには感謝してる。この部活、私1人だけでさ。せめて後1人入ってくれないと、廃部にして別の部活に入ってもらうって先生から言われてたから」


 「そうだったんだ…… 僕われながらナイスタイミングじゃないですか!!」


 僕は決め顔でそう言った。


 「ま、ままぁ、ナイスタイミングっちゃあナイスタイミングだね。 ちゃんと文芸部として卒業したかったしね」


 未来先輩は少し悲しそうな顔をして呟いた。

 少し重たくなった雰囲気を変えようと僕は、昨日のうちに用意していたプレゼントを渡そうとカバンからプレゼントを出した。


 「僕、先輩にプレゼントがあります!」


 「へ? 何?」


 「これです。是非開けてください」


 かわいらしい感じに包装してくれた店員さんありがとう! 僕は今ちゃんとプレゼントを渡せてるよ。

 未来先輩は、慎重に包装をほどいていきプレゼントの中身をあけていった。


 「え? うわぁ。き、綺麗……」


 「ふっふっふ、僕のリサーチは間違ってなかったみたいだね」


 「こんな、何も考えてなさそうな男のプレゼントがとってもきれいなピアスだなんて……」


 「喜んでください先輩。そして僕と付き合ってください」


 「それは、また別の話だあああ! でもプレゼントは、そのあ、ありがと。で、でも……」


 なっ…… かわいい…… これは破壊力がありすぎる…… だがしかし2回目のお断りをされてしまった。くそっおおおお。


 「まぁ、喜んでくれたならいいですよ。本気で選んだかいがありました」


 「これ高かったんじゃない? 平気なの?」


 「それは余裕です。 先輩のためだったら僕はいくらでも払いますから」


 「ぐぬぬ…… そんなに私のことが好きなの?」


 先輩はボソッと何かを言った。が、僕には聞き取れなかった。


 「なんか言いましたか?」


 「な、なんでもな! こんな、プレゼントもらっといてすごぉーく言いにくいんだけど私耳にピアスの穴開けてないんだよね…… みたいな?」


 「ふっふっふっ。それなら安心してください、その場合も考えてこんなものを用意しています。はいどうぞ」


 僕はカバンの中からもう1つ用意しておいた袋を手渡しした。


 「こ、これ。 ピアスをイヤリングにかえるやつだ。え?用意周到過ぎない? ふ、普通にうれしいい……」


 「ふっふっふ。これは大成功ですね。 喜んでくれて本当に良かったです!」


 天馬の野郎、絶対惹かれるとか言ってたけど、大成功だったぜ。 先輩の喜ぶ顔が見れたし今日は良い1日だ。



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