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前者の覆るは後者の戒め
「俺、彼女いるんだよ。」
「聞かれてないから言わなかったけど。」
(・・・・・)
私は一瞬フリーズした。
(運命、粘膜レベルの相性、ずっと待っていた・・・)
彼が残した言葉が走馬灯の様に頭を旋回した。
ホンモノノハジマリデハナイ?
旋回が緩やかになる頃、今の状況と対面した。
(やっぱりな苦笑)
自分を嘲笑う様に過去を消化しきれない自分が高みの見物をしていた。
不倫、セカンド、日陰の存在・・・
「前者の覆るは後者の戒め」
理由もなく人を好きになる感覚を呼び戻してくれたことを
有難いと思える余裕はなくなり、
辛く、ただ辛い・・・
あんなに激しく求め合い溢れ出た愛液は
嗚咽の涙へと変わり留まることはなく流れ続けていくのだった。