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アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~  作者: 影薄燕
第1章:レーヴァテイン王国(前編)
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第6話 冒険者ギルドのテンプレ?

・2023/03/26

 会話や人物などを多く修正・削除。


「うっわ……近くで見ると余計大きく見えるなー」


 ついに来ました、王都。現在いるのはその門前。

 今は所属の確認やら、不審物&不審人物がいないかの確認をしている。


「次の方どうぞー」


 お? ようやく私らの番か。

 リリィたち家族の知り合いってことで、私は王都の中へ入るわけだけど、身分を証明するもんが無いから時間掛かったり調べたりするらしい。

 どうやって調べるのかな? 私異世界人っすよ?


 対応した門番はマニュアル通りな対応をしてくる。

 よく言えばマジメ。悪く言うと面白みが無い。


「悪いけど、今回連れに身分証が無い子がいてね。オレが保証人になって、審査してほしいんだが……」


「そちらのお嬢さんですか?」


 “お嬢さん”と来ましたか。生まれて初めてだわ。そんな言われ方。

 とりあえず簡単に挨拶だけするか。第一印象は大事。


 ちなみに私の服だが、中古のワンピースだ。

 さすがに日本の服じゃ目立つし、洗わなくちゃ汗や汚れでバッチイからね。今はアイテムボックスの中にしまってある。


「初めまして、雪菜といいます。非常に遠くの国から何やかんやあって、こちらの国に来ました。カイルさんたちのお世話になっています」


 どうだ見たか。事務的な挨拶に限ればこれぐらいできるんだ!

 隣にいるリリィが「ユキナお姉さん、何で変なしゃべり方してるの?」みたいな顔しているけど、そんなに私が丁寧語使うのは意外か?


「ご丁寧にどうも。早速で悪いんだが、前科があるかどうかの検査と必要な書類の記入だけしてくれないかな? こちらでも資料を作成したりするからね」


 ごもっとも。こちらとしても異論はありませんとも。


 そんなわけで門番の案内に従い、外にある小屋に入る。

 中にには怪しく光る玉と机が置いてあった。……何だこの玉? バスケのボールぐらいの大きさだけど。


「それじゃあ、ユキナさんでしたか? この玉の上に手を乗せてください。これはその人に犯罪歴があるかどうか調べるもので、身分を証明するものが無い人はこの検査をしなければ王都へ入れることはできないんです」


「分かりました」


 玉の上に手をポンっと。微妙に温かいな。


 今更だけど、どこまでが犯罪歴ってことになるんだ? 小学校の頃にメチャクチャ嫌な目で見ていた教師のカバンから秘蔵本盗んで、職員室に「○○先生が落としたの拾いましたー」って届けた件は犯罪になるんかな?


 考え事をしていれば、いつの間にか玉が緑色に光っていた。


「…………うん。問題ないね」


「そうなんですか?」


「緑色に光れば問題なし。軽犯罪を犯している場合は赤に、重犯罪の場合は紫に、犯罪組織に所属していると黒に変わるんです」


 なるほど。変わった色によって判別できるのか。

 小屋から出て聞いてみたけど、軽犯罪を過去にした人がいれば詳細を訪ねてからなら王都に入れる。ただし、注意人物として記録されるし、時折監視も入る。重犯罪者と犯罪組織所属の人は論外。すぐに檻の中へ招待される。


「ユキナお姉さーん。どうだったー?」


「心配ないよー。大丈夫大丈夫」


 大丈夫じゃなかったら、普通に歩いてこれんわ。


「それでは最後に、これに必要事項を書いて」


 そう言って門番の人が私に木の板を渡してくる。

 そこには名前・年齢・出身・その他必要だと思ったことを書くようになっていた。私は貰ったペンでちゃっちゃと書く。


「え~と……ユキナ・14歳・出身は……ニホン? 聞いたことない国だな。地図に載っていないような国なんて初めてだが」


「あはは、マジで小さな島国なんですよ」


 門番は何も疑問を覚えずに日本語・・・で書かれた内容を読んだ。

 そう、この世界の文字じゃなく、日本語だ。


 会話がデフォで翻訳されているのは分かっていたけど、どうやら文字も問題なく翻訳されているようで安心した。

 スキル一覧にも無いし、転移者特有の能力なんだろう。


「では全員の確認も終わったことですし、ここで決まりきったセリフを言わせてもらう。……ようこそ王都へ。歓迎します」


 馬車の旅をした全員のチェックが終わったことで、ようやく中へ入ることができる。一応門自体は開いているから中が見えないわけじゃないけど、やっぱこういうのって門をくぐることで「王都キター!」ってなると思うんよ。


「ユキナお姉さん! 王都の案内は任せて!」


「楽しみにしてるよ、リリィ」


 リリィは本当にカワイイな~。年の離れた妹がいたらこんなんだったのかな? もう旅行するに当たって拠点は王都でいいかも。

 リリィとすぐ会えるし、衛生観念もしっかりとしているし。


「さーって、王都に着いたことだしどうすっかなー?」


「ユキナさん、まずはギルドで身分証を作りましょうか。そのあとなら魔物の素材の買取をしてくれるので」


「あ、そっか。普通に忘れてた」


 そうだよな。まずは冒険者ギルドで身分証作るところから始めないと、自由に行動できないもんな。今日の内に調べたいこともあるし。


 というわけで、4人で冒険者ギルドに向かって歩き出す。カイルさんによると門から10分ほど歩けば着くらしい。


 歩きながら王都の街並みを見る。


 やっぱ全体的にキレイな街だな。

 ほとんどは数日前までいた建物と似ているけど、たまに現代の地球にもありそうな家があるし、何よりお店が多い。たまに屋台もあるな。固有名詞はさすがに分からんけど、串焼きや揚げパンみたいなの売っている店も。こりゃ食い出があるな。


「ユキナさん、そろそろギルドですよ」


 カイルさんから声が掛かる。

 え? もう? 楽しんでいたからか早いな。


「……もしかして、あの大きな建物?」


「ああ、中々立派だろ?」


 見えてきた建物は予想以上に立派だった。

 木造だけど古臭く感じない。むしろ趣がある。



――チリンチリン



 カイルさんが先頭に立ってギルドのドアを開けた。

 ほー。思った以上に広々としているなー。


 入り口付近にはいくつも丸テーブルとイスがあって、冒険者らしき人たちが話し合ったり、ボードゲームっぽいので遊んでいる。

 よくある酒場が中にあるタイプのギルドじゃないんだな。


 右側を見ればクエストボードらしきものが。

 かなり広く取られているな。見た感じ、フックみたいなのに依頼の書かれた木の板を引っ掛けていた。すっげー気になる。後で絶対見よ。


 続きまして左側。うん。どうみてもお店だ。

 あれだよ。デパートの中にある別の店みたいな雰囲気。たぶん冒険に必要な物を売っているんだろうね。地図っぽいのも見えるし。


 最後に正面。どう見ても受付ですね。それ以外ない。

 受付にいるのは若い女の人だ。年は20いっているかどうかじゃね。受付がカワイイ娘ってのは異世界もののテンプレだな。


 ……だとすると、ギルドで気を付けるべきテンプレってもう1つあるんだよなー。来るかなー? 来ないかなー?

 できれば来てほしいと思っている自分がいる。


「あれ? カイルさんじゃないですか。おかえりなさい。予定じゃ仕事は明日からって聞きましたけど、もう戻っていたんですね」


「やあ、エミリー。久しぶり。2、3用事があってね」


 ん? 2人とも知り合い? それに仕事って……


 どうやら思ってたことが顔に出ていたらしい。カイルさんとリサさんが「あ、しまった」みたいな表情をしている。


「そうか。ユキナさんには言っていなかったな。実はオレ、ここで働いているんだよ。役職としては幹部ってことになっている」


「ナンダッテ?」


 そんなの聞いてへんわ! 初耳だよ!


「えっとー、カイルさん、その女の子は?」


 こっちに気付いた受付嬢。知り合いならリサさんとリリィのことも知っているんだろうし、その中に1人いる部外者の私は気になるわな。


「彼女はユキナさん。オレたち家族の命の恩人です」


「え? えぇえええええええええええええっ!?」


 ちょ、なんちゅー自己紹介してんねんアンタ!? ほれ見ろ、受付嬢――エミリーだったか? が素っ頓狂な声上げたろうが!

 あーちくしょ。周りにいた冒険者や職員がめっちゃ見てるじゃん! 私を! こらオマエら、こっち見んな!


「彼女はかなり遠くの国からこっちに来たんだけど、身分を証明するものを持ち合わせていなくてね。身分証の発行と一緒に冒険者登録もしてくれ。本人もそのつもりだしね。規定では冒険者登録は13歳からだけど、ユキナさんは14歳だから大丈夫だろ?」


「はい。まあ、大丈夫ですが……」


 歯切れ悪いな。命の恩人ってのがそんなに意外か?


「ちょっと待ちな、嬢ちゃん」


 そんなこと思っていたら、すぐ側で聞こえる声。

 そっちを向くと、でっけーハンマー――確か戦槌って武器を持ったハゲのオッサンが。テッドさんほどじゃないけど、筋肉あるなー。


「……何ですか?」


 めんどくさい自分とワクワクしている自分がいる。


「オメエ、本気で冒険者になろうってのか? 素人感丸出しじゃねーか。魔物に襲われたら一瞬で死ぬぞ? ここに来るのは命掛けている奴らばかりなんだよ。冒険者舐めてんなら、さっさと帰りな!」



 ……テ、テ、テンプレキタ~~~~~!!

 うっひょー! テンション上がる!




 冒険者ギルドのテンプレその2! 主人公に絡んでくる生贄の羊スケープゴート

 絡んできた奴をチートな主人公がアッサリ倒す展開ですな!

 ぐふふ、私の魔法が火を噴くぜ!


「余計なお世話ですー。私若いから将来性があるんですー。目の前の人と違って見た目だけで決めつける愚策は犯しませーん」


 言った! 言ってやったぞ! すごいぞ私!

 実際、舐められたらムカつくし、これぐらい言ってもいいよな。


「なん……だと……?」


 驚愕の顔で固まるオッサン。言い返されるとは思わなかったのか?

 手ぇ出すなら出してみろ! 反撃と同時にロリコン扱いしてやる!

 あれ? よく考えたら私まともな対人戦は初めてだぞ? 山賊はノーカンだし……ヤバイどうしよ? 急に不安になってきた。


「……ハハハハハ! いやー、やる気のある新人が久々に来て嬉しいぜ! 今年になってから来た奴は全員怯えるばかりで不作だと思っていたんだ! 冒険者を本気で目指すなら嬢ちゃんぐらいの反骨心がなきゃな!」


「………………はい?」


 え? どうゆうこと? テンプレ展開は?


「出たよ。王都支部名物「新人度胸試し」!」


「最低でも睨み返すぐらいできれば、上のランクを目指せるジンクスってな」


「将来有望な新しい同僚にカンパーイ!!」


「あの、その……テンプレ……」


 ここの冒険者共、良い奴ばかりか!?


 酒場も兼用していたら、依頼人も依頼しずらいですよね?

 酔っ払いに絡まれるかもしれないし。

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