第51話 メシテロタイムだ!
・2023/12/30
一部修正
ご飯がまだの方は注意!
夜。轟々と燃える火を確認して静かに頷く。
調理具よし! 下ごしらえした材料よし! 焚火よし!
準備おっけー! メシテロの始まりだ!
「今夜は豚肉パーティーじゃ! 野郎共! 胃袋の空きはあるかー!?」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
「お残しは、許しまへんでぇええええええええ!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
元気でよろしい! 料理人雪菜ちゃんの腕が鳴るぜ……!
「皆さん、本当に元気で良かったです。グス」
「少々元気すぎませんかね?」
「ステラ様、お野菜も調理してもらえるよう頼みましょう」
複数のオークとの戦闘を終えて数時間後、私が乗った馬車とステラの乗った馬車は無事、目的地である村に辿り着いた。
ステラ側の馬も頭部にケガはしていたけど命に別状はなく、回復魔法を掛けられてからは元気に馬車を引くことができた。
で、せっかくなのでステラ側からの報酬の一部を使って食材を買い、買えない分は私の方から提供して豚肉(オーク肉)をふんだんに使った料理を作り、皆の絆を深めることにしたのだ。
ちなみに場所は村にある広場の一角。
宿屋で騒ぐわけにもいかないし、調理場を独占することもできないから、村長さんにステラと一緒にお願いして外の場所を貸してもらった。
報酬は村長さんの分の豚肉料理各1品ずつ。
ちゃっかりしてんな!? さっきの雄叫びの中に混じってるし!
さて、調理を開始して早速1品目が出来上がる。
豚肉料理と言ったらまずこれでしょうってものが。
「へいおまちっ! オークトンカツいっちょ上がり!」
「待ってましたーーー!」
「はふっ、熱、うまっ!」
余計な脂肪を溶かして作ったオークラードに、ガッツリ食べたい男性用に分厚く切った豚のロース肉に当たる部分を処理して投入。硬くなったパンをおろし金で擦り下ろして作ったパン粉が、油を吸ってジュウジュウ音を立てる。
最後に油をきって、刻んだキャベツを添えれば完成だ。
お好みで、トンカツに合いそうな市販のソースにすりゴマを混ぜたモノを付けても美味しい。何人かは早速試している。
ちなみに、このトンカツは少し多めに作る予定。
少し冷ましてからソースとからしモドキを塗って、パンで挟むのだ。はい、カツサンドです。運動会や校外学習のお弁当に入っているとテンションが上がる一品です。日本にあるからしと少し味が違うから賛否は分かれそうだけど、私的にはアリだと思ったので採用しました。
「おらっ。生姜焼き完成! 好きなだけ食え食え!」
「うっめえ……前に母ちゃんが作ったのよりうめえよぉ……」
「ヤベえ。手が止まらん!」
2品目はご飯が進むぜ生姜焼き。
つか、普通に一般家庭に広まっていて最初は驚いたよ。
たぶん生姜を見つけた剣二がメシテロした結果、広まったんだろうな。
肉は切り落としの部位の寄せ集め。それを少し味濃いめの生姜タレに事前に漬け込んで、薄くスライスした玉ねぎと炒めてみた。
ご飯に関しては、お金を払えば私のアイテムボックスから炊き立てのものを提供します。どんぶり茶碗によそって大銅貨3枚。ちょっと足元見ているけど、さっきからバカ売れ。私から出した分の食材分は元取りましたよ。ワッハッハ!
「ホイコーロー食いたい奴はどこだー!?」
「はいはいはい! オレ貰う!」
「あの……私にもいただけますか?」
ご飯が進む第2弾。3品目はホイコーロー。
調味料の関係で私が知っているものとは味に違いがあるけど、これはこれでイケると判断。美味ければよかろうなのだ!
「しかし、本当に美味しいですね。普段はあまり肉料理は食べないのですが……。ユキナさんは料理人ではないので? お金を払ってでも食べたい味です」
「あはは、何度も言いますが冒険者ですって」
そりゃ美味しいさ。
せっかくだからと思ってスキルを進化させたし。
『〈黄金料理人〉……王族専門料理人並みの才能を得る。技術・目利きに補正(大)。作った食べ物に味の補正(中)。材料の鮮度に補正(小)』
ついに料理人スキルもここまで来た。
取ったからには異世界でメシテロをしろと、心の中にいるチビユキナたちが呼び掛けてきたのだ。結果、自重せずにメシテロりました。
さて、お次は有言実行の4品目。
「はい。文字通りチャーシューです。しかし、残念ながら今夜は出せません。ちょこっと見せただけです」
瞬間、男性陣からブーイングの嵐。
「そりゃねーぜユキナちゃん!? 上げてから落とすなよ!」
「だって時間足りねーもん」
チャーシューっていろんな料理の具材に使えるからこそ、手抜きしたくないんよ。最低でも1日は漬けておきたい。チャーハンに入れてもいいし、ラーメンの上に乗せるのもオッケー。じゅるり……おっといけね。ついよだれが。
「代わりと言っちゃなんですが、冷しゃぶサラダです」
女性陣が野菜をご希望と聞いたので。
オークの三枚肉に当たる部位を薄くスライスして、お湯に投入からの灰汁抜き。ザルに出したら一気に冷水でしめる。あとはちぎったレタス・薄くスライスした玉ねぎ・千切りにしたニンジンと混ぜ合わせれば出来上がり。
家庭によっては薄くしたキュウリを入れる所もあるらしいけど、キュウリの味が他の野菜に移るから私は嫌い。よって除外。ポン酢とゴマだれをミックスしたものを上からかけております。1:2の割合で混ぜるのが私流。
てかさあ? マジでこの世界、調味料からタレやソース類まで日本ほどでないにしろ揃ってるんだよね。
分かっちゃいたけど、犯人は初代国王剣二。
会ったことないけど、ことごとく私のやりたかったことを数百年も前に潰している。おかげで楽している面もあるから素直に怒ることもできん。
「ユキナ様はお強いだけでなく、料理まで得意なのですね」
声のした方を見ればステラが。
お話しても構いませんか? と聞いてきたので了承する。
今は最後に出すアイツの肉を切っているだけだしね。
「ユキナ様は今後のことについて聞かれましたか?」
「あぁうん。聖都までせっかくだから一緒に行くことになったんだよな」
村に着いたばかりの頃、何気なく今後の予定について話していたら、偶然にも聖都までのルートと日程が一緒だったのだ。
私は聖都に着いたら自由に観光するし、ステラたちは1日だけ滞在したらすぐ別の街に用を済ませるため向かうとのこと。
だったら聖都まで一緒に行かね? と、その場のノリで決まった。
まあ、依頼主の判断だし。目の前でメシテロの犠牲になった、騒いでいる野郎共を見れば行動を共にしても問題ないだろうね。
けど、理由があるとしたら……
「私と行動できるメリットがあるから?」
「……申し訳ありません」
謝罪は肯定とみなしますよー?
ステラたちの雇った冒険者だって弱いわけじゃない。実際、数日前に腹を空かせたウルフ系の魔物が襲ってきた時は、問題なく勝ったらしいし。
でも今日のオーク亜種との戦闘で危機に陥った。
冒険者は言うまでもなく、ステラも根性はあった。でも、完全に世話係でもある付き人の女性2人はまだ恐怖心が残っているという。
ステラ側だけでの話し合いの際、私と行動できる可能性に露骨じゃないものの縋ってた面もあり、途中まで一緒に行動という流れに持っていく話でまとまった。私の方の依頼主も途中まで一緒で別に追加料金なども払わないで済むなら、単純に護衛の数が増えたと思えばいいと結論付けたと。
まあ、1番の理由は信用できると判断したからだろうけど。今も肩組んでお酒飲んでいるから仲良いのは間違いない。
「別に気にしてないから、ステラ……さん? 様? も気にしないで」
「ふふ、無理しなくてもいいですよ? ユキナ様はおいくつで?」
「あ~っと……14だよ。」
“一応”って付くがね。地球時間では15歳にこの前なっているけど、ステータスの表示は14歳固定なんだ。マジで不老にしやがったな、あの神。最近、年齢聞かれると返答に困るなー?
「私は13歳ですから年下です。なので、気軽に呼んでください」
「――っそ。じゃあ数日だけだけど、よろしくステラ」
「はい!」
しかし年下か……。
私って年下の子に懐かれやすいのかなー? 依頼でお手伝いした王都の孤児院にいるガキたちも、2回目の訪問から遠慮が無くなっていたし。
「ラストできたぞー。溶いた卵をつけて食べてねー」
余計なことを考えている内に、例のやつを使った最後の料理が完成。
「いっただき! ……うっま!!」
「鍋か。どれも美味しいな! ……けどさ。なあ?」
「あ、やっぱりオマエも疑問に思った?」
「この肉さ、豚肉……だよな」
「え? 牛肉ではないのですか?」
「豚だろ?」
「牛だって絶対」
「あの、ユキナ様。この料理は一体……?」
「オックスオークのすき焼き。私も事前に試食したけど、結局豚肉か牛肉か判断つかなかった。最後まで存在が曖昧な奴だな」
今回出したのは、作者が実際に家で食べているものです。
すき焼きは豚肉でも大丈夫。
というか、まともな牛肉が高いのばっか!
・黄金料理人(SP-1)




