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アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~  作者: 影薄燕
第1章:レーヴァテイン王国(後編)
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第40話 居酒屋で普通に馴染んでいる未成年

・2023/09/11

 一部修正


 飲み会ナウ。


 年齢も肉体も中学生のそれだけど、どうも私ったらアルコールにめっぽう強いみたい。今じゃ相当飲まないと記憶飛ばなくなった。

 馴染みの居酒屋行っても、店員さんに顔を覚えてもらったから普通に席に通される。最初の緊張していた頃が懐かしい。


 そんなこんなで今日は私のDランク昇格を祝い、みんなで飲み食いしていた。

全員揃うのも久しぶりだ。


「ダッハッハッハッハ!! それでレイジボアを目の前で横取りされて、追いかけっこしたのかよ!? オメエ、ホント最高だな!」


 ケンカ売ってますか、マジェラさん?

 私の不幸話をオカズにお酒が進んでいるようなんすけど……


「ユキナさん、教会でお祓いしてみては?」


 それギルドマスターからも数時間前に言われたっす。


「アタシもクラウドに賛成。一緒に行こうか? アタシらからしたら呪われているとしか考えられないぐらいトラブルに会っているし……」


 ハルさん、そのマジ顔やめて。自分が短期間でトラブル続きなの自覚してんだ。最近じゃ、部屋の隅に塩置いたりして対策してる。


「いやぁ、嬢ちゃんは何だかんだで長生きしそうだぞ? ……ただ、お祓いはした方がいいとは思う。金ならオレが出してやんから」


 ブルー〇ス、オマエもか……

 ギランさんや、その心配顔が逆に私の心を抉ります。


 それと私、小金持ちなんで今のところ金欠の心配はありません。


「まあまあ、それぐらいにしておきなよ。ユキナったら苦虫を何匹も噛んだような顔しているよ? 今日はユキナを祝う日なんだから、パーッといこうよパーッっと! 飲んで、騒いで、それでいいじゃん」


 チェルシーがグビッとお酒を飲む。

 年が近いのもあってお互いに呼び捨てし合うようになって大分経った。学校の先輩と仲良くなったらこんな感じなのかなー?

 ……うん、そうだ。せっかくの料理が冷める前にこれでもかってぐらい食わねば! そこの店員さん! 串焼き3つ追加で!


「ユキナは本当に美味しそうに食べるよね~。見てるこっちがホッコリしそうだよ~。あ、この揚げ物も美味しいよ~? はいあ~ん」


 レーナさんが唐揚げを手でつまんで私によこしてくる。

 もちろんいただきますとも!


「ユキナが王都に来てもう半年も経つんだね。図書館で偶然会って、飲食店でアドバイスして、落ち着いた頃にこのメンバーで飲み食いするようになって……ふふ、久しぶりの良縁だったよ」


 そう、しみじみと言うマオさん。


 そうだよな。もう半年だ。中々濃い日々だった。

 依頼で偶然にも出会うことになった人たちと――まぁ、一行で言い切れないぐらい交流を重ねてこうして一緒にお酒を飲むようになるなんて、あの頃の私は予想なんてつかなかっただろう。


 本当にいろいろあった……

 この世界に来て初っ端で山賊に追いかけられて、魔法の自爆で死にかけて、リリィと会って、スキルの自爆で死にかけて、昇格試験で死にかけて、魔王教団に監禁されて、クラリスと会って、脱出の際に死にかけて……あれ? こうして振り返ると、最初の1ヶ月で死亡フラグがわんさかあるぞ? チート能力や偶然の要素のお陰で助かっているだけだ。


 それから今日までにもちょくちょくフラグが……


「………………お祓い、行ってみようかな?」


「「「「「何で急に少し行く気なってんだ(の)?」」」」」


 全員から総ツッコミ。

 改めて振り返ったら、波乱万丈な人生を歩み始めてたからだよ。


「お祓いの件はもういいんだ。今はこの時間を楽しみたい。……旅立ちの日までにこうして全員集まっての飲み会がまたできるか怪しいし」


 冒険者のギランさん、ハルさん、クラウドさん。鍛冶師のマジェラさん。薬師のレーナさん。ウェイトレスのチェルシーさん。劇団員のマオさん。

 みんな仕事が違うから予定も中々合わない。

 もしかすると、全員揃っての飲み会もこれが最後かもしれない。


「そう思うと、確かにね。ボクらなんか冒険者だから、1年後に王都にいるか分からないし。それが拠点を移したからか、他国に行ったからか、はたまた別の理由か……。今、この時を楽しむのは間違った考えじゃない」


「寂しくなっちゃうよね。アタシ、ユキナと一緒に食事したり、依頼を受けたり、ここ最近はずっと楽しかったから……」


「私もです。せめて2人がDランクになった時に試したっていう罠を上手く使って、レイジボアを倒したかったんですけど」


 そう。結果的に罠を活用したのはスラッシュパンサー相手だったけど、本来はレイジボア用だった。

 そろそろDランクへの昇格試験ってことで、情報集めも兼ねて冒険者組に相談してみたところ、罠の活用を提案された。

 私の実力からいけばゴリ押しでも問題なくレイジボアは討伐できるだろうけど、今後のことも考えて経験しておく意味合いから試しにやってみてはどうかと勧められたのだ。


 念入りに作った結果、魔物の頭が潰れたトマトになったことを伝えたら呆れられた。曰く、モノには限度があると。解せぬ。


「なあ……嬢ちゃんは、どこまで目指すつもりだ?」


「どこまでって……何がです?」


「いや、嬢ちゃんと会ったばかりの頃からな? 一体どこまで冒険者として上まで行くんだろって、もしかしたら未来のSランクになるかもしれねえと、そんなこと考えてたんだ」


 Sランクぅ? ようは、ウェルナーさんみたいな?

 世界で数人しかいない?


「ないない。それはない。Bランク冒険者までは目指す予定だけど、それ以上は今のとこ考えていないってば」


 主な理由として、面倒ごとが増えそう。


 王都には実質最高ランクであるAランク冒険者が多数いる(Sランク冒険者は規格外ってことでノーカウント)。

 今は通常の依頼以外にも王族からの依頼――魔王教団に関する情報集め、及び構成員の捕縛などの依頼を受けてあちこち飛び回っている。

 関わりはあまりないけど、見ただけで強いってのが分かるんだ。

 子供とか憧れのヒーローでも見つけたみたいに目をキラキラさせてた。


 無理。私、そういうの無理。あんなに注目の的になるとか耐えられねーっす。年がら年中知らない人に視姦されまくったら、いつか目潰ししそう。

 コミュ障は改善したけど完全に治ったわけじゃねえからな!


「残念だな~。ユキナがAランク冒険者になったら、友達に自慢できるのに~。『みんな~! この子、私の友達だよ~』って」


 それどんな公開処刑?


「そういやこの国出てくって話は聞いたが、目的地は決まってんのか? レーヴァテイン王国は大陸の中央だから、行こうと思えばどこへでも行ける。オメエ、前に聞いた時は迷っていたじゃんか。まだ決めてないとか言わねえよな?」


「さすがにもう決めていますよ。……しばらくあとに護衛依頼があるって聞いたんで、それを受けるついでに入国しようかなと」


「何々? どこどこ?」


「トリストエリア聖国です」


 場所としては時計の針、4時から5時の方向。


 少し前、偶然お店でサイコロが売ってあるのを見た私はすぐに購入。1~6の数字にそれぞれの国を当てはめて、天使で女神なリリィに振ってもらった結果、出た数字に当て嵌めたのがトリストエリア聖国だった。


「あの国か……」


 急に心配顔になるマオさん。どしたのよ?


「ボクは2年ぐらい前に他国の劇団との共同劇のために行ったけど、肌に合わなかったんだ。まあ南方面の国だから果物の栽培が多くて、店で安くて美味しい果物をお土産に買えたのは良かったが……」


「ほうほう♪ 他には?」


「ん? そうだね……基本1年通して暑いのに、信者連中は律儀に長袖なところがあったよ。聞いた話だと、小型の冷房の魔道具が――」


「うんうん」


 そこからマオさんに聖国の話を聞き、飲み会はお開きとなった。




 帰宅後、満面の笑みを浮かべて出迎えてくれたリリィは、1枚の手紙を持っていた。それを私に渡してくる。


「これは?」


「さっきお城の人が来たんだ。建国パーティーの招待状!」


「ナンデスト?」


 いつだか初めてお酒を飲むのにギランとの対決で勝っているため、王都の居酒屋業界ではちょっとした有名人だったりします。

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