第109話 まぁこういうオチが待ってますよね!
・昨日も投稿しているので読む際はご注意を。
一先ずこれで一区切りです。
ゲル野郎を見事倒して数日。
『集いし光』の敵討ちに成功した私は、盛大に帝都に住まう市民から感謝の花びらをその身に浴びながら新・孤児院へ帰還するのであった――
「――という、夢を見たんだ」
「ユキナ様? 夢の話はどうでもいいので、姿勢を正してください」
「つーん、つーん」
「ステラの目が冷たい! って、あ!リル、足をあ!つっつくなあっ! 正座してシビれてる足にそれはあっ!!」
現実逃避が即終了される。
そう、今の私は新・孤児院の床で正座させられている真っ最中。それも首から「私は1人で危ないことをしてみんなを泣かせました」という看板をぶら下げた状態で。奇しくも以前同じ事をやらしたリルの気持ちが分かったよ。
結構くるね! 精神に!
「ユキナ様、私、ちょっと怒っているのですよ?」
「いや、ちょっと所じゃなく大分怒ってr――」
「はい?」
「すみません。全面的に私が悪かったです」
ハイライトの消えたステラの目が恐い!
(かれこれ1時間こうだけど、ゲル野郎との戦いより長く感じるな……)
帰還初っ端の、事情説明からの、子供たちのガチ泣きからの、ステラさんキレる、だからね? 私のライフはもうゼロよ!
ちなみに、子供たちは現在出かけている。
散々泣いたあと、『集いし光』のホーム跡地で報告をしてくると出て行った――しばらく戻らないから本気で反省させてくださいと、フェリくんのセリフ付きで。任されたとばかりのステラの良い笑顔付きで。
ここに私の味方はいないな~(ヤケ)。
あ、リルさん? よく分からないけど、たぶん私が悪いんだろうってステラ側ですよ。今も的確にシビれる場所を攻めております。
「全く……何度も言いますが、足手纏いになる可能性が高いから置いてきたにしても、全部終わってから聞かされるこっちの身にもなってください!」
「スミマセン」
日本で同年代の友達ゼロ人だった私は、そういった人の心情を理解する能力が赤点ギリギリなんですよ。分かるところは結構分かるんだけど、分からないところは高頻度で見逃しちゃうの。国語の先生からも「点数の揺れ幅が大きいね」ってテスト後に言われたりさぁ。
「あの子たちの涙は1割がユキナ様の予想通り感謝や嬉しさからでしょう。しかし! 残りの9割はユキナ様まで家族の方々と同じようになってたら……という心配や! 自分たちのせいで……という後悔や! 無事に帰ってきてくれた本当に良かった……という安心感など全てが混ざった結果なのですよ!!」
「ゴメンナサイ」
ぐお~! ステラのド正論アタックが矢となって胸に~!
ちくしょう。これもそれも全部ゲル野郎もとい魔王教団のせいだ。
直接戦闘は避けるけど、間接的に被害出してやるぅ……!
(しかし、魔王教団といえば……)
思い出すのはゲル野郎を倒した直後。
遠目だったけど、確かに私は見たんだ。上の階層へ続く階段を登る直前に、その特徴的な仮面とマントを、あの、顔の仮面の姿を。
(あの変に動きが遅くなったのはアイツが?)
あの時、ゲル巨人の動きが何もしていないにも関わらず遅くなった。
もし、あの現象が顔の仮面のもつスキルか何かの力だとしたら……
(私を助けようとした?)
たぶんあの援護(?)が無くても、ゲル野郎には勝てただろう。
ただし、無傷とまではいかなかったはずだ。
(どうして?)
「――様? ユキナ様! 話を聞いていますか!? 今回ばかりはホントーっに、怒っているんですからね!!」
「ア、ハイ。キイテマス」
どちらにしろ考えるのはあとになりそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【side.顔の仮面】
暗い部屋。
通信機から女性の声が聞こえる。
『ふぅん? あのスライムの失敗作、倒されたのね』
「まだ、情報は広まってないけど、時間の問題」
『そう』
心底どうでも良いとばかりの返事。
/自/分/はあの化け物の誕生実験に直接関わっていないが、それでも、あれ程のものを生み出しておいて感想がこうとは……
「興味ないの?」
『ないわ。元々はどんな環境下でも適応できる手駒の魔物を生み出す実験として、ダンジョンの奥深くで研究させたのに、暴走して手が付けられなかったもの。役に立たないペットは捨てる。それだけ。“魔物の仮面”もそれは同意見。分かったことといえば、やっぱり血と肉とまともな脳みそを持った魔物じゃないと思い通りに動いてくれない、という結論だけ』
「………………」
その興味がもう無くなった実験のせいで数多の冒険者たちが犠牲となり、不幸になった子供たちができたというのに。
なぜ、こうも他人事なのか。
(……いや、/自/分/も結局は同じ)
紆余曲折あった結果とはいえ、今もこうして“仲間”として連絡を取り合っている時点で、責める権利など無いのに。
/自/分/もこの声の主と同じ、地獄に落ちるべき悪者だというのに……
『ところで』
「何?」
『例の失敗作が倒される瞬間をアナタは確認したようだけど――誰が倒したのかは確認したの?』
「……遠目で、高速で動いていたから、ハッキリとは見ていない。でも、どうせすぐに分かること」
ウソは言っていない。
あの白い子をハッキリとは見ていないし、数日中にギルド辺りから帝都ダンジョン中層の異変が解決した旨が伝えられるだろう。
それを成した子の噂もすぐに広まるはずだ。
『そう。なら――』
通信機から聞こえる声はわざとらしく溜め、
『アナタは、何もしていないのね? 何も』
「………………してない」
あぁ、だからこの女は苦手なんだ。
対面していないのに、僅かな反応から当たりをつけてくる。
『ふふ、そういうことにしておくわ。……あぁ、最後に1つだけ――アナタの居場所は魔王教団しかない。まともに村や街になんて、アナタは住めない。それをよーく思い出して、噛みしめてちょうだい』
「……分かった」
その会話を最期に、通信機からの音声は途切れた。
「…………そんなの、とっくに知っている」
結局、謎ばかり残した”顔の仮面”。
その謎解きは『アルビノ少女』第4章 帝国編(後編)で。
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