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第107話 敵討ち(前編)

 遅れた理由?

 ガンプラのスマホゲーがおもしろかったからです!

 匂いの暴力なう。


「……素晴らしい。これこそ蒲焼きだ。味も匂いもグッド」


「蛇の肉と聞いた時は大丈夫なのかと心配しましたが、間違いなく売れるでしょう。むしろ、当日の混乱をどう対処するかですね」


「(ダラダラダラダラダバアアアアアアアアアアッ!!)」


「「「「「ゴクッ……!」」」」」


 はい、ただいま蒲焼きの試食段階で創意工夫しておりますのは雪菜ちゃんと愉快な仲間たち&新・孤児院の子供たちです。

 ようやく納得のいく出来になって感無量。

 リルを含めた子供たちのよだれがすごいことになってます。早く蒲焼きをあげないと暴動が起こるなこりゃ。


 事の起こりは数日前。

 帝都で開かれるお祭りも近づき、ジャイアント・オフュカスの蛇を使った蒲焼きの試作品を作っていたわけだけど……私は物足りなかった。

 食に対しては世界で間違いなくトップクラスになっているであろう、日本出身の私は作った蒲焼きを前にして自分自身に憤りを感じていた。


 これはまだ蒲焼きと呼べない、と。


 スキル:黄金料理人によって、通常よりも美味くなっているはずの蒲焼き。

 全員に絶賛された蒲焼きに、私だけが納得できていなかった。


 問題は――タレだ。


 私はこれまでの人生で2回だけうな丼を食べている。

 感動した。

 家庭で作られたものと、チェーン店で食べることが叶ったものと、老舗の店が調理したうな重を知らずともその美味しさを理解した。


 今回の素材は蛇だ。ウナギではない。

 それを踏まえて尚、私の作ったタレモドキではこの蒲焼きの味を最大限引き出せない。そんなこと仮にも料理人として認められない。



 だからこそ――



「帝都の端っこで隠居してたタレ仙人を見つけられて良かったよ」


「だから誰なのですか、その怪しい人物は?」


「あの人のおかげで私にも少しだけタレの声が聞こえるように……!」


「治療院へ行って診察してもらってください。耳の」


 ステラが冷たい。

 ホントにすごいんだぞあの人。貰ったレシピとか神だからな?


「さて」


 さっきまでは無視してきたけど、いい加減鬱陶しくなってきたのでダクトモドキ(調理場の匂いとかを外に出すモノ)の排出口付近の窓を開けて怒鳴る。


「テメェらさっきからクンカクンカ、スーハースーハーうっせぇんだよ!! さっさと帰れ! 散れ散れ! 塩撒くぞこら!」


「「「「「ええぇ~~~!?」」」」」


 外の光景は控えめに言って酷かった。

 いい年したオッサン共が排出口付近で顔を寄せ合って、鼻をヒクヒクさせながらウットリしているんだぞ? どこの地獄だよ。


「頼む! 今すぐこの匂いの元を売ってくれ!」


「祭りの日まで待て」


「腹が減ってお腹と背中がくっつきそうなんだ!」


「勝手にくっついてろ」


「聖女様、どうかお恵みを!」


「本来オメェらが子供に恵みを与える立場なのに今まで無視しといて、都合が良いと思わねえの? ガリガリに痩せてから出直してこい」


 取り付く島もないと分かり、ようやく解散するオッサン共。

 特に最後の皮肉がクリーンヒットしたらしい。ざまあみろ!!


「昼間っから何やってんだよ、全く」


「あはは、でもこの匂いなら仕方ないって思えるんですよね」


「……フェリくんは優しいねー」


 呆れかえってる私に話しかけたのは年長者のフェリウスくんだった。


 この子は年長者の中でも特にしっかりしていて周りに気を配れるから、新・孤児院のメンバーのまとめやくを買って出ている。

 家族の1人であるメーリンちゃんとの距離が近いことが、最近の悩みとか。

 ……うん。将来末永く幸せになれば良いと思うよ?


「……ユキナさんは、明日のダンジョン、1泊するんでしたよね」


「そうだよ。さすがに日帰りも厳しくなったからね」


 ダンジョンは中層から1層ごとの面積が一気に広くなる。だから移動だけでも大変時間を食う。

 これまで日帰りで帰れた私の移動速度が異常なんだ。


「その、無理に中層を進む必要はありませんよ? 今のままで、十分で……」


「……何か心配事?」


「……最近、胸騒ぎがするというか。よく夢を見るんです。父さんたちが帰って来れなかった、あの日の夢を。だから――」


「大丈夫、大丈夫。ちゃーんと帰ってくるから」


 フェリくんは勘がいいなー。もしかして『直感』のスキル持ってる?


 中層地下50層攻略からさらに日数が経ち、目的地である地下55層へ向かうことができるようになったのが一昨日の話。

 そう、ヘルプで確認した『集いし光』を壊滅させた原因がいる階層へ向かうのが明日で、決戦が明後日なのだ。遠征に行った家族の帰りを待っている時に、壊滅の知らせを聞いたフェリくんたちからしたら、たった1日でもダンジョンに泊まるというだけで気が気じゃないのかもね。もしかしなくても、他の子も。


「……さぁ、熱々のうちに蒲焼き食べよ?」


 大丈夫。必ず帰ってくるから。

 そしたらさ、お祝いにバカみたいに大きなケーキ作るから。




 翌日、私はダンジョンへと1泊2日で向かう。

 あの子たちの、『集いし光』の敵を取るため。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 薄暗い中で目を覚ました。


「――んをっ? あ、そっか。ダンジョンで寝たんだった」


 体を起こしてコリをほぐす。


 現在、私がいるのは階段の途中に作られたセーフティーエリアだ。

 薄暗く、壁に掛かった松明以外なーんにもない石造りの部屋だけど、魔物が襲ってくる心配がないのでゆっくり休むことができる。

 中層からは2層ずつこのセーフティーエリアがある仕様だ。


「ふぅー、ついにこの時が来たか」


 食事と運動を済ませ、気合いを入れる。

 ……この階段を下りれば地下55層。目的の奴がいるエリアだ。


「よしっ!」


 気合いを入れ直して階段を下り――目的の階層へ到着した。


 地下55層は森林の中に遺跡があるエリアだ。

 本来なら獣型とゴーレム型が混合でいるはずなんだけど……


(……姿どころか気配1つ感じないな)


 いや、恐ろしいのは絶対にあるはずの・・・・・・・・気配を感じ取れないところだ。ヘルプが無きゃ、注意することさえできない。

 だから私も、階段を下りた最初の一歩目さえ踏まないんだけど。


「だけど、そうも言ってられないよな……」


 仕方なく炎獄のハルバード【JETモード】でエリアの空へ舞い上がる。

 上空から見ても違和感がない――そのことに違和感を覚えた。


「反応がないな。とりあえず一撃喰らわせるか」


 想像するのは、地下まで貫く熱量を持った光の矢。

 狙うはエリア中央、何の変哲もない地面。

 貫通力を増すため魔力を必要以上に込め――発射。


「『シューティング・アロー』!!」


 10メートル近いデカさの巨大な光の矢が地表へ向け放たれた。


 一瞬で地面をぶち抜いた矢は尚も突き進み――目標へ、到達した。




『――――――――――――!!!!!!!!!!!?????』




 黒板を爪で引っ掻いたような音にも、女性の金切り声のような音にも聞こえるそれ・・は、攻撃が届いた証拠だった。


 その音に合わせて攻撃した地面が――否、エリア全体が大きく揺れる。

 上空からでも分かる。

ゴゴゴ……!と、震度5なんてとっくに超えているだろう地震はどんどん規模を大きくしていき、大地に亀裂がいくつも走った。


「っ!? 来るか!」


 私が警戒しだしたのとほぼ同時だ。

 ダンジョン地下55層、その大地全てが、大きく盛り上がった。

 その広がりは、どこまでもどこまでも、続いていく。


「ギルマスから『集いし光』が壊滅した当時の話を聞いた時から、おかしいなと思ったんだ。どうして誰も逃げなかったのか・・・・・・・・・・って」


 無秩序に盛り上がってた大地が、今度は明確に形を変えていく。

 かろうじて人の姿と言えなくもない上半身が出来上がっていき、周囲に土を強引に形作ったような触手が現れた。言葉にするだけならそこまで強く無さそうだけど、余りにも規模が違う。上半身だけで高層ビルを覆い尽くせそうな程なんだ。距離感とかバグる。


「『集いし光』は誰1人逃げられなかったんだ」


 土砂のように押し寄せた大地によって、上下階層へ続く階段が塞がれた。


「オマエが、アイツらにも御しきれない化け物で、失敗作で、捨てられた存在で本当に良かった。おかげで、ヘルプが正常に働いたから」


『――――――――――――!!!!!』


 化け物が顔の無い頭を私に向け、殺意を放つ。

 体の大部分は土や遺跡の残骸ばかりだけど、僅かに本体も見える。ほとんど無色に近い、スライムのような液状物体が。



『〈ランドフュージョン・ディザスタゲル(暴走体)〉……魔王教団の実験によって人為的に生み出されたゲル状魔物。周囲数キロの大地に溶け込み、融合する能力を持つ。制御に失敗したため、魔王教団によって破棄された。弱点の核を破壊しない限り倒すことが不可能』





◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 雪菜とディザスタゲルの戦いが始まる、その数時間前。

 ダンジョンの出入り口付近でで、さほど珍しくもない会話が行われていた。


「――っつーわけで、深く潜りたいからこんな朝早くに来たんだ」


「日帰りで帰るために早くからダンジョンに潜る奴はいるが……見かけによらずマジメなんだな。ま、無理だけはするなよー」


 ダンジョンは帝国にとってある種、財産である。

 なので、24時間体制で職員が見張りをして管理するのだ。


 職員に話しかけていた大男のように諸事情で朝の早い時間や、夜の遅い時間にダンジョンへ入りたいと言う者もたまに現れるので、その対応もしている。


「じゃあな!」


 確認を終えた大男はダンジョンに入り、周囲に人がいないことを確認すると――グチュグチュと、体から異音を発する。

 そのシルエットは変わっていき、最後には女性的なものへと変わった。


「……早く、追い掛けなきゃ」


 自身の持つスキル:アイテムボックスから仮面とマントを出し、身に付けたその者は走り出す。

 目標は、白い少女がいるだろう中層だ。


 勝手にキャラが動いた結果、前半がメシテロに……

 タレ仙人の話はSSで!(急遽決定)


 化け物の悲鳴は劇場版EVAのラミエルをイメージ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >勝手にキャラが動いた結果、前半 (´・ω・)雪菜「…………」 >いい年したオッサン共が排出口付近で顔を寄せ合って、鼻をヒクヒクさせながらウットリしている (;゜∀゜)雪菜「………………
[良い点] 更新感謝やぁぉ
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