新人社員歓迎会−前編−
「やべぇ。何も考えてねぇ」
俺は絶望していた。
なぜか?
それは明日、会社の新人社員歓迎会があって、俺は新人社員達に一言言わなくてはいけないのだ。
だが・・・
考えてねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
やばい!!どうしよう!!
明日なのに!!
「だ、大丈夫ですか?」
唯が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫じゃないよ!!」
「ひぃ、すみません」
怯える唯。
「なに悩んでいるんだよ山波」
石崎悠斗が聞いてきた。
こいつは12歳の幽霊だ。
悠斗は可哀想なことに12歳のときに交通事故でなくなってしまったんだ。
だから12歳のままなんだ。
そんな悠斗に俺は事情を話した。
すると・・・
「じゃ、俺がついてってやるよ」
「なんで?」
「俺が言ったことを真似して山波が言えばいいだろ」
「いやいやいや、お前が考えられるのか?」
「ああ。俺がいいことを言わせてやるぜ!」
う~ん。
ま、いっか。
「じゃあ頼むわ」
「よし決まりだな。
明日行くとき俺も連れてけよな!」
そう言って、二階に上がっていった。
緊張してきたな。
早く寝よ。
俺は自分の部屋に戻り、早めに寝た。
俺はあまり眠れず朝を迎えた。
いつもどうり啓子さんの朝食を食べて、準備を済ませた。
よし、悠斗を呼ぶか。
「悠斗行くぞ〜」
すると二階から降りてきた。
「よし。行くぞ山波」
いつもよりテンション高いな。
ま、いいか。
俺は自転車で会社に向かった。
会社に着くとすでに準備が終わっていた。
相変わらず派手だな。
「すごいな新人社員歓迎会と言うのは」
悠斗がはしゃいでいる。
ま、はじめてだからはしゃぐか。
「あ、おはよう山波くん」
と言ってきたのは澪だ。
「おう。おはよう」
「今日は頑張ってね!」
「あ、うん」
俺と澪が話していると。
「誰だこの女は?」
悠斗が聞いてきた。
「あ、ああ。あとで話す」
俺は小声でそう言った。
「あ!山波くん。そろそろ始まるよ」
なに!?
はやくないか!?
すると、セットしてあったマイクに社長が近づいた。
やべぇ!
開会の言葉だ!
「えー、今年もわが社に、新人社員が18人来てくれた!
彼らを祝ってこの、新人社員歓迎会を始める!」
すると一斉に社員全員が拍手をした。
始まった!!
やべ、めちゃくちゃ緊張してきた。
俺、人前で話すの苦手だから小、中のときの発表会とか保健室にいたし。
どうしても発表しなくちゃいけないときはあやふやにしてたし。
だが、今回は違う!
俺は新人社員達に先輩として話すんだ。
あやふやにでもしたら、新人社員達に笑われ、もしかしたらクビになるかもしれん!!
それは絶対に防がなくてはいけない。
だから、俺の命綱は悠斗なんだ!
頼む、頑張ってくれ!!
だが、もし悠斗が何も言えなくなったら。
終わりだ。
いやーーーーーーーーーーーー!
そう思うと心臓が破裂しそうだ。
俺は、一体どうなるんだ!?