冒険者の休日
異世界生活で必要なものは?
強い装備、強力なスキル、信頼できる仲間
確かにこれらはこの異世界で、生きていくためには重要だがもっと必要なものがあった。
俺はついこの間、異世界転生した異世界人だ。
「さあ今日はギルドは定休日だし、たまには異世界探索でもしてみようかな。」
ギルドで朝から晩まで依頼をこなしてきた俺の懐には駆け出しには十分すぎるほどの金があった。
ギルドでは住み込みでしかも食事と初期の装備も支給される、望めば新たなスキルを習得することもできるらしい。
「まさに夢のような世界だな」
町の中を歩いていると一人の男が声をかけてきた
「よう、新入りじゃないか」
ギルドの先輩だ、この世界の男どもは荒くれ者も多い、
普段は怖いくらいなのだが、俺はこの男を嫌いではない。
口調は荒いが俺のような新人の面倒も見てくれる。
声をかけた男も休日のためか、気さくに声をかけてきた。
「先輩、めかしこんで何かあるんですか?」
普段は無精ひげを生やし、頭もボサボサなのだが、今日は
そんな姿は一切感じさせない。
キッチリとした姿をしている。
「今からちょっとな……」
どうせ女がらみだろうと思った俺は、
ニヤついた男と別れ町を歩き始める。
「小腹が空いたな」
近くに、以前先輩に連れて行ってもらった、食堂があったの思い出し、
店を探す、思っていたより道は入り組んでいたために、時間がかかってしまった。
「やっと見つけた。」
店に入った俺は、おすすめ定食を注文し、しばらく店内の様子を眺めていた
そこに見知った顔の男と見知らぬ女がいた。
ギルドの先輩である、男は熱心に女の気を引こうと話を振り
機嫌を取ろうと悪戦苦闘している。
俺は、いつの間にかテーブルに置いてあった定食に手を付け
状況を見守ることにした。
食事が済むころには女の姿はなく男が二人分の食事を
むさぼるように喉へ詰め込んでいた。
俺は気づかれないように会計を済まし店を出た。
店を出た俺は気を紛らわせるために、
別の店で酒でも飲もうかと町をぶらぶらと歩き探していた。
町中に見知った顔を見つけ声をかける。
「よう、新入り」
「先輩」
「今から酒場へ行くからお前も来い!」
「もちろん先輩のおごりですよね。」
「おう!今日は吐くまで飲むぞ!」
悲しいのか、嬉しいのか、わからない感情の中で男は普段の口調で声を出す
「やっぱり持つべきものは慕ってくれる後輩だな!」