月湖水盤之乙女
月夜の晩に舞う乙女
何者もいない湖にひとり
白衣の裾を翻し
伴奏もなく風を纏う
鏡の如き湖面に彼女の他に波はなく
彼女の一足が波紋を打つのみ
音もなく
月にかかる雲はなく
真円に黄金
観る者の姿はない
ただ金円の照らすのみ
風は吹かない
乙女の袖の振るうだけ
静謐な空間に動くものの姿はなく
ただ乙女の影が躍るのみ
声もなく
月に一点の曇りなく
深遠に白銀
月空を映す中心で
高き女神を天に戴き
その顔に笑みを湛え
玉響に吐息
誰が為に君は舞う
誰が為に君は舞う
誰が為に君は舞う
誰が為に君が舞う
月だけの見るこの水盤で
もう誰もいないこの世界で
ゲッコスイバンノオトメ