① 2年後の世界ー2
「あらあら、奏ちゃん、どうしたの?」
「お義母さん、ごめんなさい。奏がまた、ぐすってしまって…」
「いいのよ。赤ちゃんは、泣くのが仕事だから…」
「美鈴、大丈夫か?」
「健芯さん、奏をお願い…」
そう言って、健芯は赤ん坊を妻から受け取った。いつの間にか、健芯は結婚して、子どもまで生まれていた。何でも、実家で同居しているらしくて、伸一も桃子も初孫にメロメロしている。
ふと、ななみは志恩が生きていれば、目の前の赤ん坊よりも先に子どもを産んでいただろうに…と思った。
まさか、今さら、こんなことを考えるなんて思いもしなかった。なんか、悔しい。別にアフリカに行っている間、守ってくれなくてもよかったから、子どもを授けて欲しかった。
そうすれば、子どもと二人で生きていく道もあったかもしれない。…なんてことを柄にもなく考える。そう思うと、涙がまたあふれてきそうになる。一体、いつになったら、志恩のことで泣かずに生きていけるようになるだろう。
「よし、茶山さん、ななみ、もう帰るぞ。じゃあ、伸一さん、桃子さん、健芯君、私達はこれで失礼します」
「雅彦さん、大したおもてなしもせずに申し訳ありません」
「桃子さん、こちらこそ、三回忌にご招待頂き、ありがとうございます。志恩君が見守ってくれたおかげで、ななみも無事に帰って来られました。なにより、そちらは家族が増えて、にぎやかでいいですね。志恩君も喜んでいるのはないですか…」
父があいさつしている途中だったが、ななみは堪えきれずに、茶山に抱え込まれる形で先に墓地を後にする。
「雅彦さん、ありがとうございます。また今度、妻と一緒に遊びに行きますから…」
「分かりました。伸一さんと桃子さんのために、おいしい料理を作っておきます」
「それでは失礼します」




