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心を自然解凍  作者: あまやま 想
第6章 人生は踊る されど進まず
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① 社内選考−1

 十一月に入り、急に朝晩の冷え込みが強くなった。ななみは東京に来ていた。コールセンターのある田舎町から飛行機で約二時間。飛行機でも二時間もかかるのだから、東京は遠過ぎる…。


 正社員になるための社内選考でもなければ、わざわざ東京へ行こうなんて思わない。社内選考には全国から二十人ほど集まっていた。


 この選考は契約社員として、四年以上働いており、なおかつ直属の上司からの推薦を受けられる者が対象となっている。すでに一次試験として、WEB上で学力試験が行われており、ここに集まっているのは、全て一次試験の合格者である。この中から、正社員になれるのはわずか五人らしい。


 小笹の話では百人ほど社内選考を受けているとのこと。ななみは、会社全体でそんなにたくさんの長期契約社員がいることに驚きを隠せない。


 まあ、コールセンター内では課長の小笹を除いて、二十人全員が契約社員である。コールセンターが特別だと思っていたら、会社全体が契約社員とか臨時職員とかによって支えられているようである。


 これが格差社会の紛れもない現実なんだと思うと、実にやるせない…。これで『希望を持て!』と言う方がどうかしている。


 ななみは、様々な迷いを断ち切るためにも、ぜひとも社内選考を合格したいと考えていた。ところが、人事部長との面接で全くと言っていいほど、答えられなかった。思い出したくもない…。


「七隈さんは契約社員ながら、課長補佐として、コールセンターをうまくまとめているようですね…」


「いや、それは小笹課長と他の部下達の人柄の素晴らしさによるものです」


「そうですか。では、その経験を…七隈さんは、本社での新商品開発にどのように活かそうとお考えですか。思いつくままで結構ですから、一分間でアピールして下さい」


 ななみは、頭が完全に真っ白となった。まさか、新しい化粧品の開発について聞かれるとは…。これっぽっちも予想していない。不意打ちもいいところだ。


「お客様のクレームや要望を取り入れた、お客様目線での開発を進めます。具体的には十代や二十代のための基礎化粧品を作ったり、より安全な美白液を作ったりすることです。そのためには…」

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