④ コンティーゴの親睦会ー4
事務局長は端のテーブルで代表と一緒にぼんやりと各グループの話し合いを見ていたようである。そこに城南がたどり着くと、二人の目が急に輝く。
「それにしても、若いっていいよな…。私もあと六十年若ければ、城南君のように勢いで行けるのに…。ねえ、高宮さん、大橋さん」
「平尾さん、それは言わない約束ですよ。まあ、今さら行けないでしょう。三人とも、既によぼよぼのおじいさんです。無理して行こうとすれば、子や孫に迷惑をかけますからな…」
「高宮さんの言う通りですたい。平尾さん、別にみんながみんな、現地に行く必要はなかとです。それぞれの立場でできることば、やればよかとですよ」
それを聞いて、伸一と桃子は力強く頷いた。ななみは思わず、拍手した。それにつられて、茶山も拍手すると、テーブルで拍手がわき起こる。それぞれの立場でできることをやればいい…と言う大橋の言葉に救われた気がした。
「ここで、様々な立場の人々からお話を聞いて、息子は本当に多くの人々に支えられていたことが分かりました。また、息子も現地で多くの人々を支えていたことが分かりました。恥ずかしい話ですが、私はこれまで仕事にかかりっきりで、息子を事故で失うまで、息子が何をしているかさえ、全く分からずにいました」
伸一の言葉に、横で力強く首をふる桃子。ななみは、桃子の前ではいつも寡黙な義父の意外な一面に驚いた。
「しかし、今はようやく定年を迎えて、やっと息子のことを少しずつ理解できるようになりました。今日は本当にありがとうございました」
伸一が全てを言い終えると、桃子も一緒に頭を下げた。ななみは、ふと心に何とも言えない違和感をもつ。
志音がいないことをいいことに、志恩の死が勝手に美化されているような気がした。はたして、それは遺族の父母であっても、許されることなのだろうか…。
「最後にいいですか?」
「七隈さん、もう時間になりましたけど…」
「えっ?」
話にすっかり夢中になって気付かなかったが、もう終了時刻の夕方五時を過ぎていた。参加者が次々と席を立ち、先ほどまで熱く議論を重ねた会場を後にする。
「ななみさん、私達はこれで失礼します。また、今度、うちに遊びに来てちょうだいね」
桃子に声をかけられて、ななみは慌てて席を立ち、百道夫妻と別れのあいさつを交わした。そのまま、夫妻は会場を後にした。なぜか納得がいかなかったが、終わりなら仕方ない…。ななみも帰ろうとした時だった。隣にいた茶山から声をかけられた。
「七隈さん、この後、時間ありますか?」
「茶山さん、少しだけならありますけど…」
「じゃ、近くのスタバで、もう少しだけお話ししませんか? 実はあなたにだけ伝えたいことがあるのです」
「えっ…」
「それで五分ほど待っていてくれませんか…。後片付けがありますので…」
茶山は、ななみの都合もおかまいなしに一方的に決めてしまった。まあ、こっちも聞きたいことがあるので、ちょうどよかったのかもしれない…。ななみはそう考えることにした。




