創世魔法研究部zero
ちょっと考えてた物語というか世界観というか……
本編の前的な短編です。
「あなたは世界が好き?」
彼女は夕暮れの色に染まった教室で、いつも以上の輝きを放ちながら言った。その輝きのあまりの強さに思わず目を逸らしたくなった。
彼女は眩しすぎる。
「世界?」
「そう、世界」
彼女は時々、不思議なことを言う。
まるで天使のような彼女が言えば、普通はおかしいと感じるような言葉も不思議で、雰囲気を持った言葉に変わる。
「世界、ね」
正直な事を言えば好きじゃない。だって世界はつまらないじゃない。
生きているのが嫌になる事だってある。
「好きじゃないよ…。好きになんてなれないよ」
「そっか。じゃあ、壊しちゃおうよ世界」
世界を壊す? そんな物騒な言葉に驚き、彼女を見つめ直す。
「壊して、作り直すんだよ。新しい世界を」
そんなのおとぎ話だ。
そんなことが出来るのは神様だけだ。いくら天使みたいな彼女でも出来るはずがない。
「そんなこと、出来っこないよ」
世界なんてそう簡単に変わったりしない。私も生まれて十五年、それくらいの事はわかる。
「出来るよ」
そんな無茶なことでも出来ると言い切る彼女は飛び切りの笑顔で言った。
「私が魔法をかけてあげる」
今思えば、その時の笑顔によって魔法にかけられたのかもしれない。
今までの世界を破壊す終世の魔法と、新しい世界を作る創世の魔法。
それが使える彼女はきっと本物の魔法使いに違いない。
一年がたった。
この高校に入学してから。
彼女と出会ってから。
彼女は最初に出会った時よりも強く輝いて見えた。何より、その笑顔が素敵だ。
「――私たちはそんなお悩みなんかを待ってます。場所は――」
本当に笑顔が輝いている。
ちなみにここは放送室。彼女は絶賛校内放送中だ。放送部員の注目を浴びながら。
私と彼女は放送部ではない。本来放送室とは縁がない人間だ。
無理を言って借りているのだが、彼女はギブアンドテイクだと言って堂々とした様子。私は緊張でガチガチ。
世界は変わったが自分の本質は変わっていないようだ。
「――以上、創世魔法研究部でした」
ようやく放送は終わった。やっとこのアウェーな空間から抜け出せる。
「放送部の皆さん、どうもありがとー。よし、じゃあ次は部室の掃除だよ、行こ!」
……一息つけるのはもう少し先のようだ。
創世魔法研究部。
発足は去年の五月。ゴールデンウィーク明けのことだ。
創設者はもちろん彼女。
現在部員は二人。
こんな部の創設は特例中の特例。かなり強引な手を使ったらしい。
しかし、その時の約束で創設は特例でもその他のことでは優遇しない、とのこと。
つまりは今年、新入部員一人も入ってこなければ廃部となるらしい。
去年一年間で入部を希望した生徒もいたが彼女は拒否を示した。なにか条件でもあるのだろうか。
最初は無理やり部活に引っ張られてきただけだったが、今は違う。
この部活がなくなって欲しくない。
それは純粋な願いだった。それゆえ彼女のお眼鏡に叶う希望者の到来を心待ちにしていた。
新入部員確保の期限は明日に迫っていた。
そういうのは本編書いてから書けよ?
いきなり連載とか怖すぎます。
希望があるなら書きます。
希望がなくてもそのうち書くかもしれませんが。
感想お待ちしております。