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村の舗装(庭の手入れの次にお読みください)

「よし、あそこに二つ。こっちに三つだ」


俺の合図で、青年部の連中がテキパキと動く。


久保田の車が通るはずの旧道。そこに、工事現場から拝借してきた「通行止め」の看板と、手際よく集めた大きな岩を配置していく。

「部長、これくらいで足りますかね?」

後輩のサトシが、額の汗を拭いながら聞いてきた。

「ああ、十分だ。あのおじさん、都会の運転しか知らないからな。この雪道でバックなんてできやしないさ」


俺たちは、クスクスと笑い合った。

いじめじゃない。これは、村の「メンテナンス」だ。


壊れた街灯を直す。詰まった側溝をさらう。それと同じで、村の平穏を乱す異物を、適切な場所に「誘導」するだけのこと。


三十年前、親父たちもこうして山に入ったと聞いている。


あの頃、村は貧しかった。一人の金持ちが村の土地を食いつぶそうとした時、親父たちは「そいつ」を共有林の肥やしにした。そのおかげで、俺たちは腹一杯飯が食えて、こうして立派な四駆を転がせている。

だから今度は、俺たちの番だ。


「……来たぞ」

遠くから、久保田の車のヘッドライトが見えた。

俺たちは手際よくライトを消し、雪の中に身を潜める。


車が止まる。ドアが開く。久保田が慌てた様子で外に出て、岩を見て絶望する。

その一連の流れを、俺たちはまるでお遊戯会を見守る親のような、温かい目で見守っていた。

「あっちだ。女将さんが教えた『崖の道』へ行くぞ」


サトシが小声で言った。予想通り、久保田はライトを手に、林の奥へと走り出した。

あそこには、俺たちが昨日、たっぷり防腐剤を撒いておいた。滑りやすく、そして跡が残らないように。

一時間後。


崖の下で「ドン」という鈍い音が響いた。

雪が音を吸い込むから、それは驚くほど小さな音だった。


「よし、撤収だ。看板も岩も片付けろよ。明日の朝には、誰も通らなかったことにするんだ」

俺たちは手際よく「掃除」を終えた。


帰り道、みんなで自販機の缶コーヒーを飲んだ。やり遂げた後の達成感で、体はポカポカと温かかった。

翌朝、大滝とかいう刑事が村に来た。


俺は青年部長として、愛想よく挨拶をした。

「大変でしたね、都会の方は道の怖さを知らないから」


俺の瞳に一点の曇りもないのは、これが「正しい仕事」だと確信しているからだ。

刑事が去っていく車の後ろ姿を見ながら、俺はサトシの肩を叩いた。


「次は、あのおじさんの番かもしれないな」

「そうっすね。その時は、もっと大きい岩を用意しとかないと」


俺たちは笑いながら、また雪かきのスコップを握った。

村を綺麗に保つ。そのために、俺たちは存在しているのだから。

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