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エピローグ(後日談)

都会の、とある警察署の地下倉庫。


廃棄寸前の古い資料が詰まった段ボールの中に、一冊の古びたノートが紛れ込んでいた。

それは、かつて「大滝」という刑事が遺したものだ。


彼は晩年、何かに怯えるようにして、震える手で日記を綴っていた。最後の数ページには、文字とも呼べないような乱れた線が、執拗に繰り返されている。


『あいつらの目が、まだ背中に張り付いている』

『お茶が苦い。指が動かない。雪が降る。』


そして、日記の末尾には、解読不能なほど掠れた文字で、こう書き残されていた。

「神守村は、どこにでもある」


そのノートを手に取った若い刑事は、「なんだこれ」と小さく笑って、それをシュレッダーにかけた。

都会の喧騒の中では、そんな狂言は何の意味も持たない。


同じ頃、都会の大学で「環境倫理学」を専攻する一人の女子学生が、地図アプリを眺めていた。彼女の祖父は、二十年前に取材旅行へ出たまま行方不明になった久保田という男だ。


彼女は、祖父が最後に残したメモの断片——「神守村」という地名を、ついに特定した。

「ずいぶん綺麗な村……。空気が美味しそう」


彼女は期待に胸を膨らませ、リュックサックを背負った。

彼女の瞳は、未来への希望に満ちて、一点の曇りもなく澄んでいた。


窓の外では、都会の汚れた雨が降り始めている。

しかし、彼女が向かおうとしている場所では、今もきっと、音もなく「白い掃除」が続いているのだ。

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