取り残された夫の慟哭
思いつき超短編です。
どうぞお楽しみください。
「頼……」
「な、何だ泰代……?」
「……私ね、もう、ダメみたい……」
「……! そ、そんな事言うなよ……! 一緒にいるって言ってくれたじゃないか……!」
「……ごめんね……。でも、もう、すごく、眠い……」
「やめてくれよ……! 一人にされたら、俺、どうしたらいいか……」
「……だい、じょうぶ……。頼なら、一人でも、きっと……」
「ふざけるなよ……! ずるいじゃないか……! 一人だけ先になんて……!」
「……あり、がと……」
「やめろよ……! 今はそんな言葉聞きたくない……! 頼むから、なぁ……!」
「……」
「……おい……」
「……」
「……泰、代……?」
「……」
「……目、開けろよ……」
「……」
「……うそ、だろ……?」
「……」
「頼むよ……! 目を開けてくれよ……! お前がいなかったら、俺は……!」
頼の必死の懇願も虚しく、泰代の目は硬く閉ざされたままだった。
「お前が一緒に観たいって言うから、ホラー苦手なの我慢して付き合ったのに、先に寝るなよぉ……」
「くぅ……、くぅ……」
読了ありがとうございます。
やあ (´・ω・`)
ようこそ。
この後書きはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って、この短編を書いたんだ。
じゃあ、謝罪をしようか。
久々の叙述トリックでごめんなさい。
ちなみに二人が観たのは『仄暗い布団の中から』。
夜布団の中に違和感を覚えると、恐る恐るめくってみると、そこには髪を振り乱した女の幽霊が……!というホラー映画。
頼は声も出せないくらいにビビり倒していましたが、泰代はけらけら笑って観ていたので、二人の温度差がこの悲劇を生みました。
大きい声を出しても揺すっても幽霊が来そうで怖い頼は、泰代を無理に起こす事もできず、ひたすら耐えるしかないのです。
頑張れ頼。
夫婦の名前は、
洞空頼→ホラー嫌い
洞空泰代→ホラー期待よ
となってます。
まんまだっていいじゃない たんぺんだもの つよし
お楽しみいただけたなら幸いです。




