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終末配達ロボット、君の町へ  作者: 非常口
case.1 オジイチャン
7/14

No.6 戦闘

終末世界でロボットは、少女を守る。

ギリ……ギリ……


 金属が擦れるような音とともに、犬型ロボットたちが低く唸る。


 その不気味な青い目が、じっと少女を見据えていた。

 ただの機械ではない。

 まるで、「獲物」を見つけた捕食者のように。


 少女は直感した。狙われているのは、自分だ。


 「……マイルズ……」


 震える声でそう言うと、少女はマイルズの背に隠れるように身を寄せる。

 マイルズは応答しないが、背中を広げるように姿勢を変えた。


 次の瞬間——


 「ギャアッ!!」


 二体の犬型ロボットが、一斉に飛びかかってきた。


 鋭い爪を広げ、一直線に、少女を目掛けて。


 少女は、恐怖に凍りつき、悲鳴をあげた。


 バシュッ!!!


 その瞬間、マイルズの右腕が閃いた。


 パルスランチャーの先端が青白く光り、電磁波が一気に凝縮される。


 「——攻撃開始」


 ズガァッ!!!


 空気を裂くような閃光が、飛びかかる一体目の犬型ロボットの顔面に一直線に走った。


 電磁波の尾が空間に光の線を残す。

 それはまるで、刃の太刀筋のようだった。


 ビシィィィン!

 次の瞬間、犬型ロボットの頭部を貫通した電磁波は、まるでそこに障害物などなかったかのように、一直線に突き抜けた。


 ガチャンッ……!

 犬型ロボットはそのまま前のめりに崩れ落ちる。


 黒い煙が立ち上り、動かなくなった。


 だが、もう一体は——


 キキキッ……!


 一歩引き、反応を変えると、民家の崩れた塀を駆け上がる。


 そして屋根の上に移動し、少女を上から狙う。


 「マイルズ!上……っ!」


 少女が叫ぶ。


 次の瞬間、マイルズは左腕を高速で変形させた。

 腕のフレームが分離し、回転する軸が内側から現れる。


 その先端は、鋭く輝く斧へと変わっていた。


 屋根から、獣のように少女をめがけて飛び降りてきた犬型ロボット。


 だが、マイルズの斧が空を切る。

 その刃は軌道に正確に沿い、狙いを外さない。


 ゴオッッ!!!


 斧は、犬型ロボットの胴体を中央から真っ二つに断ち割った。


 ガシャン!!という音とともに、ロボットは火花を散らして地面に転がり、完全に沈黙した。


 静寂が戻る。


 少女は、震えながらマイルズの手をぎゅっと握る。


 「……こわかった……」


 マイルズは、斧を再び元の腕の形に戻すと、機械音で淡々と告げた。


 「危険を察知、排除しました。回避完了」


 少女は数秒息を整えたあと、ようやく微笑んで言った。


 「……ありがとう、マイルズ」


 マイルズは、その言葉に返事をしなかった。

 だが、少女はその沈黙の中に、「ちゃんと聞いている」ことを感じ取っていた。


 そしてまた、彼女たちは歩き出した。

 目的地——二つ目のポータルへ向けて。




 二人は再び歩き出していた。

 瓦礫の道を抜け、かすかな風が草と苔を揺らす。少女はまだ、少し顔がこわばっていた。


 「……ねえ、さっきの、なに?」


 ふいに、少女が口を開いた。

 マイルズは前を向いたまま、淡々と答える。


 「犬型ロボット、型番HC-47。元々は高齢者向けの生活補助ロボットです。介護施設や在宅支援の現場で活躍していました」


 少女は少し驚いた顔をした。


 「え……介護って、お年寄りの?」


 「歩行補助、転倒検知、感情安定支援、セラピーなどを目的として設計されています」


 「……あんなにこわいのに?」


 「制作過程における最終段階にて、AIのコア処理が一部変更された記録があります。破壊指向行動への適応が確認されました」


 「わかんないけど……つまり、つくられたときは優しかったのに、あとから変えられちゃったってこと?」



 少女は俯き、少しだけ歩く速度を緩めた。

 しばらく考え込んだように沈黙したあと、小さく笑った。


 「でも、ちょっと……かわいそうね」


 マイルズは無言だった。


 「だって、お年寄りを助けるために生まれたのに、気づいたら人を襲うようになっちゃってて……」


 少女は、ふとマイルズの顔を見る。


 「……あなたは、大丈夫だよね?」


 マイルズはわずかに停止した。

 機械的な処理音が、一瞬、間を埋める。


 マイルズは何も言わなかった。


 しかし、少女はその反応に安心したかのように、ほっとしたように頷いた。

 そして、小さく呟いた。


 「……マイルズは、変わらないでね」


 その言葉に、マイルズはなにも言わなかった。

 ただ、彼の歩く速度が、少女の一歩にぴったりと合っていた。

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マイルズ…強かったのか…!? (ポンコツじゃない笑)
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