あと90日、考査終了。
9月25日。
テスト終了を告げるチャイムが無情にも鳴り響き、項垂れるクラスメイト達。
それと同時に巻き起こる喧噪。
約四日間に渡る考査日程は、今日で完全終了。
つまりは今この瞬間を以て、奴隷たちは考査という呪いから解放されたのだ。
見渡す限り、ほぼ全員が晴れやかな表情を浮かべている中――――――その顔が絶望に満ち満ちている者が二人。
そのうち一人は言うまでもない。
僕だ。
終わってしまった。
あんなに考査期間が続くことを望んでいたのに。
光陰矢の如し。
結局一瞬で終わった。
終わってしまった。
……終わってしまったぁぁぁぁぁあああああああ!!!!
頭を抱えていたところ、同じく絶望にその表情を歪めている早乙女と目が合う。
相手も考えていることは同じ。
きっと考査期間が終わらないでほしいと、切に願っていたことだろう。
「っ!!」
ものすごい睨まれた。
……僕だって嫌だわ!!
先生から聞いた予定では、明日にも実行委員会が招集され、スローガン等々を決めるらしい。
櫻高祭までは既に一カ月を切っているため、急ピッチで準備が進められるものと思われる。
……誰か、僕を殺してくれ。
殺してくれぇっ!!
不意に隣へと目線を送ると、別の意味で「殺してほしい」と思っているであろう友人が僕の近くへやってきた。
「……凪、どうだった?」
「考査なら完璧。
現実逃避でずっと勉強してたから」
結局実行委員のことを考えると気が滅入って仕方なかったため、ずっと勉強をしていた。
多分、点数だけで言えばいいセン行くんじゃないだろうか。
「……交換してくれぇ!!
点数!!」
急に頭の悪いことを言いだした哲。
察するに爆死したのか。
そりゃそうだ。
あんなにサボっていれば、点数とれる方がおかしいというもの。
ある意味予想通りだろうに。
「……いいよ」
「本当ですかっ!?」
「その代わりに、実行委員の仕事を頼む」
「補習の準備をします」
いうが早く、哲は自分のリュックから教科書やら参考書やらを取り出し、目で追い始めた。
……クソ。
取り付く島もないってか。
「はぁ……」
早乙女の方を見ると、既にその席に姿はなかった。
これから先のことを考えると、色々と気が重すぎる。