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0002.明日の朝もいつもの場所で もしきみを見つけたら

平日の朝の駅 改札を出たところできみを見つけた

いつもなら気軽に声をかけるけど 今朝は躊躇して立ち止まる

きみの視線がこちらを向いて 右手で軽く挨拶する

おはようと言おうとしたけれど なんかちょっとぎこちない


別に待ち合わせているわけじゃないんだし

朝よく一緒になるのはたまたまで 電車がいつも同じなだけ

狙っているわけでもないんだから でもちょっとだけ楽しみだったりはするけれど


学校までの10分間 気まずい沈黙にならない程度の会話

ではなくて 朝から結構突っ込んでくるよね


昨日は何してたかなんて あんまりあれこれ聞かないで

言いたくないことなんて 誰だってあるでしょう


女の子から隠し事を取ったら何も残らないと 昔の偉い人が言っていた

どんな人なのか知らないけれど 

きっとお金が大好きな 嘘つき泥棒なんかじゃないわ


昨日はひとりで自分の部屋で アホな妄想で悶絶していたなんて

言えるわけないでしょう そもそも悪いのはきみなんだけど


きみの本気なのかネタなのか 天然なのかわからない振る舞いに

勝手に妄想を膨らませていたなんて そんな話が聞きたいの?


きみの席はわたしの隣

転がり落ちた消しゴムを 拾ってくれるのはいいけれど

なんで片膝ついて渡すのよ わざわざ右手に握らせないで


きみの本気なのかネタなのか 天然なのかわからない振る舞いに

ちょっとドギマギするけれど やっぱりふざけてるだけなのかな


きみはクラスでそこそこ人気者 

休み時間もみんなに囲まれて 楽しそうにおしゃべりしてる 

友達が多いのは結構だけど わたしの名前を呼ぶときだけは 

イケボになるのは何なのかしら


きみの本気なのかネタなのか 天然なのかわからない振る舞いに

ちょっと恥ずかしくなるんだけど 周りの視線は気にならないの?


からかわれているようにも見えるけど きみはいつでも真面目な顔

それがむしろおかしくて 思わず鼻で笑ってしまう


放課後の階段を急いで降りていく途中 思わず足を踏み外す

ねじれた足首に痛みがはしり なんとか手すりをつかまえる

顔を上げて廊下を見ると いいタイミングできみがいる

肩を貸してとお願いすると きみはわたしをお姫様抱っこで運んでいく


きみの本気なのかネタなのか 天然なのかわからない振る舞いに

ちょっと勘違いしてしまいそう ほんとにどういうつもりなのかしら


こんなことがたびたびあると 不覚にも意識してしまう

狙ってやっているのなら それにのってあげるから

無意識でやっているのなら わたしの気持ちを理解して


からかわれているようにも見えるけど きみはいつでも真面目な顔

だったら今度はこっちから きみをからかってやろうかな


明日の朝もいつもの場所で もしきみを見つけたら 

気づかれないように後ろから いきなり腕を組んであげる

そしたらきみも ちょっとはドギマギしなさいね


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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