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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第79話 何だかヘラクレスオオカブトを裏山で見つけたような気分だね。

「ダンジョン制覇したら、ついでに宇宙も制覇できるって何だかとってもお得な感じ」

「もれなく宇宙船がついて来るニャ」


 しかし、数百年単位の話ではある。辿り着いても人類が住めない星だったりしてね。

 ところがだ。ダンマスである俺たちには無駄足と言うものがない。


 ダメだったら、戻ってくればよい。というか、行かなけりゃ良いだけの話だ。

 宇宙船の方は勝手に燃料を補給して、また宇宙に旅立つ仕組みになっている。


 核融合式原子炉を主動力としているからね。燃料は水だそうだ。


「おおー、これぞ宇宙の冒険者って感じだね。血沸き肉躍るわ」

「『スター・ト〇ック』を地で行くような物語ニャ」


 そういうことなら話が変わってまいりますよ?


「こうなると、なりふり構わず全ダンジョン制覇を早めに達成したいですな」

「ダンジョン制覇の先に、宇宙征服のおまけがついて来るとは……」

「いや、征服はしないでしょ! 宇宙探訪とか、遠くへ行きたいなとか、そういう旅番組的なトーンで」


 なんでうちのAIはこんなに好戦的なんでしょうね。人類抹殺に動き出していないだけましなのか?


 まったく景色が変わらない「星間風景」を堪能すると、俺たちにはすることがなくなってしまあった。


「そろそろ帰ろうか?」

「だニャ」


 俺は次元の狭間を開き、拠点へと帰った。


 ◆◆◆


「何かあれだな? 老後の楽しみができたって感じ?」

「確かに人間の感覚で言うニャら、数百年は長い時間ニャ」


 宇宙船と往来できるのは嬉しいが、どこかに到着するのは500年先の話だ。それまではこの異世界で、社会の一員として役割を果たしていこう。


「つっといてなんだけどさ。最初にダンジョンができたのは5万年前なんでしょ?」

「地質学的な証拠はそう言っているニャ」

「だったらさあ。数百年に1回スタンピードを起して増殖しながら、各世代のダンマスは宇宙船を飛ばして来たんじゃない?」

「その可能性はあるニャか? 平均500年間隔だとしたら、100世代ニャ」


 100世代前から宇宙進出を続けていたら、どこかの恒星系に到着してる船があるんじゃないの?


「さらに言えば、『到着寸前の宇宙船』もあるんじゃない?」

「確率論的に言えば、そうなるニャ」

「その船のオーナーはさ、まだこの地上にいるんじゃね?」

「ニャンと?」


 未到着の船に乗っていてもしょうがない訳で。到着してから瞬間移動するでしょ、普通は。


「なので、攻略先を変更しまーす。対象は過去のダンジョン跡地。引退済みのダンマスをテイムさせていただきます」


 現役ダンジョンは後回しだ。すぐにスタンピードの危険があるわけじゃない。100年単位の話だからね。


「行き当たりばったりニャが……。別にいつやるという契約はないニャ」


 ですよねぇー。言わなきゃわからない話です。言わないし。


「ちょっと生活に張りが出てきましたねぇ。ロマンですよ、冒険ですよ。宇宙海賊に俺はなる!」

「宇宙に襲える船がいるとは思えないニャ」

「可能性ですよ、宇宙には無限の可能性があるのです。いつの時代も、男は夢と共に生きる生き物である」

「ちょっと何言ってるかわからないニャ」


 宇宙船に乗ったらそりゃあ興奮するでしょう。こんな日が来るとは思いませんでしたよ。

 ダンマスOBには悪いけど、ちょっくらハイジャックして宇宙船団を組織させてもらいましょうかね。


 何しろ各船長は「一度行ったことのある場所なら、ワープができる」という能力者だ。宇宙攻略にこれほど適した人材はいないだろう。寿命がないし。


 俺達はダンジョン跡地の攻略法について、あーだこーだ意見を交換して有意義な夜を過ごした。


 ◆◆◆


 明くる朝、俺達はOBダンジョン攻略に出発した。ちなみにOBダンジョンとは、現役を引退したダンジョン跡地のことを言う。俺の仮説ではこれらに、ダンマスOBが生息していると考えている。


 進み方は単純である。まず昨日攻略したダンジョンに瞬間移動する。そこからインパクト・ゼロ、すなわちオリジナルの跡地へと移動する。


 さすがに5万年前のダンマスは残っていないだろうから、そこを出発点として同心円状に存在する世代別ダンジョン跡地を調査して行くのだ。


 そのうちどこかで、宇宙船の目的地到着を待つダンマスOBに出くわすだろうと。


「どうだ、美麗?」

「うーん、匂いません」

「ここも空き家かぁ」


 40個目のOBダンジョンも空振りだった。ざっと2万年分の経過をたどって来たところなので、まだ3万年前の地点にいることになる。


「外側から始めた方が良かったかなあ」

「移動してチェックするだけなら1分もかからないニャ。短気は損気。気長にやるニャ」

「そうだな」


 わざわざ内側から始めたのには理由がある。古いダンジョンから飛び立った宇宙船ほど遠くまで到達しているはずである。目的地到着目前の機体もあるだろうという読みだ。


 俺達は根気よく調査を続け、ついに今から6千年前に当たるOBダンジョンでダンマスOBの気配を発見した。


「いました。OB1号です」

「よっしゃ! 見つけたか。早速捕まえよう!」


 何だかヘラクレスオオカブトを裏山で見つけたような気分だね。オラ、わくわくすっぞ!


「ダンマスOBって戦闘力はあるのかな?」

「皆無ですね。ダンジョンも放棄してしまっているので、一切攻撃力を持ちません」

「あっそ。それじゃ驚かせたらかわいそうだから、静かに尋ねて行こう」


 元ダンの地下空間に隠棲しているというので、俺達はそこまでどこダンで移動した。

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