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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第78話 宇宙船にご案内。

「それじゃここのダンジョンも制圧したということで、引き上げようか」


 俺達は美麗のどこダンに収容されて帰路に着いた。というか、一瞬で拠点に戻った。


「今回も目出度く勝利したわけだけど、あそこのダン・マスは引退するわけ?」

「はい、ボス。現役を退いて新天地への旅に出ます」


 そういうところは潔いんだね。失地挽回、この恨み晴らさで置くべきか~とはならないわけね。

 前向きなのかな。

 日本人のマインドが後ろ向きすぎるのかもね。


「そう言えば、『新天地への旅』って言うけどさ。どうやって宇宙を旅するの?」

「そりゃあやっぱり宇宙船に乗って」

「あるの? 宇宙船?」


 もしかしてとは思ったけれど、本当にあるのね。そりゃまたファンタジック。


「かく言うワタクシの宇宙船もただ今現在宇宙を旅しております」

「え? 本人ここにいるじゃない?」

「あの、お忘れでしょうか? どこでもダンジョンがありますので、いつでも宇宙船内に戻れるんです」


「えーっ? 高速移動中の宇宙船にも瞬間移動できるの?」


 そりゃあチートでしょって、今更か?


「異空間魔法ですからね。距離とか速度とかは無関係です」

「ごっつ便利やなあ、それ!」


 思わず関西弁が出てしまいました。驚きのあまり。


「それってある意味ワープじゃん! ていうか、ワープじゃん」

「全然早くないんですけどね」


 そう言えばそうなんだけどね。1000光年先の星に行くためには、1000年どころか数千年スタンバイしなければならないんだろうけどさ。


「コールド・スリープなんかより全然良いんじゃない? 時間が無駄にならないしさ」

「寿命と言う物がない我々にとっては、きわめて合理的な移動方法だと思います」


 そうだよね。宇宙空間にだって危険はある。宇宙船の故障とか、宇宙塵の衝突とか、宇宙線の被ばくとか。

 そういう絶対に「ゼロ」にはならないリスクを完全に排除できるわけだ。


「宇宙船が目的地に到着するまでの時間は、こっちで有効に使えば良いんだもんな。頭の良い方法だと思うよ」


 普通はそんなこと(瞬間移動)ができないというだけだ。


「今回の行先にはいつごろ到着する予定なのさ?」

「ざっと500年後です」

「それまではここで暮らすつもりかい?」

「お許しいただければ」


 そりゃ許すけどね。出て行けとも言えないわ。

 いるのは良いけど、500年後も俺が生きているかどうかはわからんよ? 不老不死と言ったって、前例がないからね。


「俺が500年後に生きているとは限らないぜ。その時は好きに身の振り方を考えてくれ」

「500年くらい意外とすぐです。お互い病気知らずの体ですから、あっという間だと思いますよ」


 疑いのない事実を語る口調で美麗は俺の心配を否定した。彼女が正しいかもしれないな。

 実際に長生きしている奴の言葉だからな。


「それにしても宇宙船持ちとは豪勢だな。今度俺も乗せてくれよ」

「いつでもどうぞ。何なら今からでも」

「今からって……何でもないのか」


 俺が俺ダンの部屋にいつでも帰れるように、美麗は宇宙船にいつでも跳べるわけだ。それこそトイレに行くような気軽さで。


「そもそもどれくらいの大きさなの?」

「東京ドーム1個分ですね」

「お前ら常に東京ドームで大きさ測ってんのか!」

「ボスのイメージですよ。ワタクシは影響を受けているだけです」


「居住区画は4畳半しかないってことないよね?」

「東京ドームのグラウンドくらいはありますね」


 相当広いってことだね。ウチの社中が全員移住したとしても余裕だな。


「せっかくだからちょっと連れてってもらうか? そうすれば俺も移動先として地点登録できるし」


 行って帰って来るだけなら時間もかからないしね。宇宙空間なら見る物もないだろう。


「じゃあ、俺とアリスさんだけで良いから宇宙船を見せてくれる?」

「かしこまりました。それではご準備はよろしいですか?」

「大丈夫だ」

「OKニャ!」


 美麗はダンジョンの出入り口を開いた。黒い靄のような円陣を潜り抜けると、向こう側はオゾン臭漂う金属的な空間だった。


「いかにも宇宙船て感じだね。掃除がしやすそうで良いんじゃないか?」

「ジジイにとってはトイレの位置が遠すぎるって文句が出そうニャ」

「若返ったから頻尿じゃないけどね」


 宇宙服って、おしっこのリサイクル機能とかついてるんじゃなかったっけ? 良いんだけどね、濾過してくれれば。ただ、生暖かいのは嫌だな。


 美麗が操縦室に案内してくれたが、別に窓があるわけじゃない。座席があってコンソールがあって、まあそういうもんだよね。操縦はすべてコンピューター制御だそうだ。そりゃそうだよね。

 せめてものサービスに宇宙船内でどこダンを開いて、外の空間を見せてくれた。うん、星がきれいだね。


 偉いもので、30秒で飽きた。星は星だから。動かないし。


「じゃ、帰ろうか?」

「ニャ。十分楽しんだニャ」


 練習もかねて俺とアリスさんは俺ダンで瞬間移動した。

 

「あー、本当に距離は関係ないんだね」

「いつもと同じであっという間にご帰還ニャ」


 しかし、分裂するたびに宇宙船も複製しているってことだよね。半端ねえな、宇宙生命体。


「あれ? そうしたら、それぞれのダンマスが自分用の宇宙船を持っているわけ?」

「もちろんです。ダンジョン開設と同時に、次の新天地を求めて宇宙船を飛ばしています」

「それって全部行先は違うの?」

「違いますよ? 同族忌避本能が働きますので」


 そうするとさあ、今この瞬間にダンジョンの数だけ宇宙船が地球から遠ざかって宇宙の果てに向かっているわけだ。


「どちらかというと、地球の方が宇宙の果てニャ」

「そういう細かいことは良いじゃない。俺が言いたいのは、ダンマスをテイムしまくれば将来は宇宙にネットワークを展開できるってことさ」


 美麗たちは相互に不干渉だったので、ネットワークなんていう発想はなかったそうだ。


 これは忙しくなりましたぞ。

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