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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第71話 お久しぶりです、メラニーさん

「お久しぶりです、メラニーさん」


 何しろ人間というものを観るのが久しぶりですからな。それが美女だったら感慨無量というものですよ。


「うん? お前何か雰囲気が変わったな? 悪い物でも食ったか?」


 いきなりご挨拶ですね。美女だから許すけど。


「いささか思うところがありまして。それより今日はダンジョン討伐完了のご報告に来ました」

「うん? そうらしいな。お前のところの戦力はどうなってるんだ? この短期間に2つも制圧するとは」

「はあ。テイムした下僕たちが優秀なもので」


 ハイテク武器のことは言えないからな。下僕が優秀なことは本当だし。


「1つめのダンジョンでは魔物までテイムしたそうだな。非常識な奴だ」

「そこは常識外れの男という方向でご評価ください」

「しかし、スライムとコボルトだったか? 随分地味なモンスターをテイムしたもんだな」

「これがなかなか侮れない働き者でして」

「そうか。それは良かったな」


 無難な会話で場を温めて置いて、俺はいよいよ本題に入った。


「それでですね。いくつか収穫品があったので、よろしければ買取をご検討願えないかと」

「良いものがあれば買い取るぞ。待て、目利きを呼ぶ」


 やはり商会には優秀な査定係がいるらしい。ダンジョン産のアイテムともなれば希少価値が高い。しっかり査定させようということだ。


「来たか、ジェラート」

「涼しそうなお名前ですね」


 ジェラートと呼ばれた男は、60前後の背の高い男だった。甘そうには見えないいぶし銀のような風貌だ。

 何、爺くらいではビビらないぜ。こっちも中身は同年代だからな。


「それでは、戦利品を見せてもらおうか」


 メラニー姐さんのご要望に応えて、俺はダンジョンから持ち帰った品々をご披露する。


「まずはレッドフォックスの毛皮でございます。ダンジョンにしか生息しない1点ものですからね」


 俺は通販チャンネルのキャストよろしく戦利品のあれこれをメラニーさんに売り込んだ。

 意外なことに一番の高値を付けたのは「高級燕尾服一式」だった。


「金や宝石は金さえ出せば買える物だからな。しかし着る人間に合わせてサイズを変える服など、世の中に存在せん。好事家ならいくら金を出してでも手に入れたかろう」


 なるほど、そういうものですか。

 ちなみに、2番目の高値は「ゴーレム・コア」に付けられた。こいつは大きな利益を生みそうだからね。


 結局戦利品総額で5百万マリを超えた。日本円で言えば5億オーバーだ。

 ボクシングの世界タイトル戦よりいい稼ぎだね。命がけだけど。


「下僕のお陰で大した稼ぎだな。その大金でどうするつもりだ」

「さあて、ゆっくり考えますよ。慈善事業でも始めましょうかね」


 養蜂業と酒造業のお陰で既に食うに困らないからね。俺ダンに入れば生活必需品は何でも手に入るし。

 これだけ恵まれていると物欲など湧かないものですな。


 普通に旨いものを飲み食いできればそれで満足だわ。


「金の方は口座に振り込んである。いつも通りだ」

「毎度ありい。それじゃまたダンジョン攻略したら戦利品を持ち込みますんで」

「そ、そうか。うん、待っているぞ」


 俺が軽口をたたかず普通の受け答えをしたもんで、メラニーさんは面食らったようだ。

 安心してくださいな。本質は変わってませんよ?


 ちょっと真面目に仕事をしようかなと思っただけですから。


 ゴンゾーラ商会から表に出た俺は、アロー君にまたがりゆっくりと家に向かった。


 ◆◆◆


「さて、金ももらったし、休暇も十分取った。それじゃ次の仕事に取り掛かりますかね」


 航空写真分析と増田卓士による現地確認により、地下に潜伏するダンジョンの場所は明らかになっている。

 俺達はまだ地上に現れていないそれらダンジョンの種を、先攻討伐していくことにした。


 誰も被害を受けていないのだらから放っておいても良いのではという考え方もありうる。だが、俺は誰にも知られていない今こそ対策の好機であると考えた。

 誰も寄り付かないから邪魔が入らないのだ。こんな好都合なことはない。


 増田による特訓のお陰で俺もダンジョンの取り扱いに随分慣れた。行く先に立ちふさがる敵をすべてダンジョンに飲み込むことができる。

 その場合、俺ダンの内部をモンスターにうろつかれるのは嫌なので、増田のどこダンに引き取ってもらう仕組みを作った。要するに俺ダンの入り口のすぐ内側でどこダンの口を開けて置いてもらうのだ。

 

 俺達はどこダンによる移動で、次のダンジョン潜伏地へとやって来た。


 増田に、地中にあるダンジョン内部へと送り込んでもらう。今回は俺ダンによる底引き網方式でダンジョン・モンスターを根こそぎ引っこ抜く予定である。


 したがって、フロアボスとラスボスしか討伐対象はいないのであるが、それでもオレ達は万全の態勢を組んだ。


 前衛は安定と信頼のストーン5。出し惜しみなく5名勢ぞろいだ。

 第2ラインはコビ1とスラ1のコビスラー・コンビ。コビ1は故障者リストからの復帰で張り切っている。


 中衛は参謀本部兼務のアリスさん。


 後衛兼遊撃が不肖トーメーと助さん、格さんじゃなかった、ビリーとジーンのシルバーウルフ組。

 トビー君とハニービー軍団は斥候兼遊撃班だ。


 アロー君とBB団はお留守番だ。


 対ボス戦まではみんな待機してもらって、俺ダンを進めて行くだけなんだけどね。いつでも行けるように体を温めて置いてもらわなくちゃならない。


「先生、おねげえしやす」って奴だね。


「みんなー、ダンジョン攻略開始するんでスタンバイよろしくねー」


 俺はどこダン内部で出番待ちをしているメンバーに声を掛けると、ダンジョン攻略を開始した。

 底引き網システムだからね。口を開けて先に進むだけだ。


 ゴブリンやオークなどを狩り集めながら、進むこと30分。俺は第1層のボス部屋に差し掛かった。

 マジックミラー作戦で覗いてみると、中に待機しているのはオーガだった。


「パワー・ファイター登場! ストーン5、行ってみるかね?」

「ま゛っ!」


 前回ゴーレム・マスターのスキルを得た俺である。それ以来、ストーン5にも変化が現れてきた。

 生き物ではないので、BJみたいに筋肉隆々になりはしなかったが、黒曜石から鍛鉄に素材が変わった。


 またしても内部機構のメンテナンスができなくなったかと心配したところ、なんと性能はそのままにゴーレム化したらしい。モーターにも原子力にも頼らないクリーンなロボになったらしいよ。

 メンテナンス・フリーとはすばらしい。


 俺はストーン5をボス部屋へと送り出した。


 オーガはストーン5を身長で上回る3メートルの巨体だが、こっちには鍛鉄の強度とパワーがあるからねえ。

 存分に殴り合いをしてもらおうか。


 こっちは5人だから、囲んでボコるんだけどね。


 いや、モンスターとの戦いに「正々堂々」とかないっしょ? 持てる力で倒しに行くのが当たり前だし。


 最初の内こそ、オーガの拳によろめいたダイヤマンだったが、他の4名がタコ殴りしている間に体勢を整え、オーガの脚にタックルをかました。


 体重を預けて、相手の太ももを引っ張り上げるような低空タックルだ。


 たまらず倒れたところに、上からストンピングの嵐。倒されると抵抗できないね。

 そこへ立ち上がったダイヤマンが攻撃を加える。あれは――。


 必殺! ダイヤマン・カッター!


 説明しよう。ダイヤマン・カッターとは手のひらにダイヤモンドの刃を埋め込んだ、切れ味抜群のチョップである。


 いや、踊る宝石の団十郎が落としてくれた小粒のダイヤを加工してみたのよね。

 名前通りのダイヤを移植してもらって、ダイヤマンも一層輝きを増したとさ。


 きらきらモザイクで自主規制する中、オーガの首は胴体から離れた。


「ま゛っ!」


 右手で高々と宙を指す、勝利のポーズですね。良いでしょう。

 勝者、ストーン5!


「おっ、珍しく第1階層から宝箱が出たね」


 キラキラ・エフェクトと共に宝箱が登場。ダイヤマンに開けさせてみると、でっかいバトルアックスが出てきた。説明書が付いてます?


「銘首切り丸」


 何か、自虐ネタ? どうもこのダンジョンはネガティブなダンマスが運営しているらしい。

 ネガティブな奴って構ってちゃんの場合が多いから、反応せずに先へ進みましょう。

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