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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第60話 トーメー、『俺のダンジョン』を武器に戦うことを決意する

 俺たちはうちの近所(・・・・・)の百均に寄って、消耗品を仕入れて帰った。

 別に金を払うわけじゃないので、高級百貨店やブランドショップに行っても良いのだが近場でいろんなものが揃っているとなると、ディスカウントストアか百均なのだ。


 百均て偉大だね。


 帰りも2回目となると要領がわかって来た。ググっとせり上がる感じをイメージすれば、次元移動ができる。

 この辺はダン・マス業界の先輩である増田が、丁寧に教えてくれた。


 そう言えば増田はラピスラズリに登録していた住所を廃止したそうで、おれの体に憑りつき直したらしい。

 何か、背後霊が付いたみたいでイメージがアレだけど。


 別に見えるわけじゃないから良いか? 今回みたいに危険な目に遭った時、避難場所にもなるしね。


 先輩ダンジョンが1つ体に同居することで、「俺のダンジョン」の成長が良くなるらしい。

 猫の2頭飼いみたいなもんか? 違う?


 ちなみに実験してみたところ、「俺のダンジョン」内で増田ダンジョンを呼び出すことができるし、増田ダンジョン内部で「俺のダンジョン」を呼び出すこともできた。さすが不思議空間。


 てことは、増田の「どこダン」で長距離移動しながら俺は「俺ダン」の中でくつろぐなんてことが可能だ。

 いいね。高速列車のVIPルームに席を取ったようなもんだね。内装は庶民派1Kだけど。


 でもね? 異世界生活をしてみなさいよ。庶民派1Kがどれだけ暮らしやすいか?

 蛇口をひねれば水が出る。お湯だって出る。


 トイレじゃお尻を洗ってくれる。


 3分で旨い麵が食える。


 そんなことはありえないから。こっち(異世界)では。


 あ、カップ麺は異世界(こっち)に備蓄しておきました。


 てゆーか、もう、「俺ダン」は部屋の1つみたいなもんだね。いつでも行けるから。

 トイレも「俺ダン」の方に行っちゃうわけです。流した(ブツ)がどこに行くのかは宇宙の謎だけど。


 あんまり「俺ダン」の方に入り浸るのもどうかとは思う。転生した意味ないじゃんと。

 最初は便利だし、懐かしいと思ったけれど、所詮は「時間が止まった世界」なんだよね。そこには「過去の俺」しかいない。


 自分の過去なんて面白いもんじゃない。いじっても何も起きないし。

 それよりも「未来の自分」について考えた方がよほど健康的だ。同じ生きるなら健康的に生きたい。


 精神的にもね。


 ベッドで寝返りを打ちながら、そんなことをつらつら考えていたら、俺は寝落ちした。


 ◆◆◆


 雀チュンで目が覚めて。俺は気持ちも新たにダンジョン攻略に向かうことにした。


 逆襲されたら、ケツをまくって逃げ出しました。それだけで終わったのでは面白くない。


 チームとしては勝利したけど、俺個人としてはぼろ負けだった。そこは反省しないと。

 それに新しいスキルも覚えた。


「俺のダンジョン」は「俺だけのダンジョン」でもある。テイマーと違って、戦いの中で使えるスキルだ。

 俺は自分の力で(・・・・・)戦うことを諦めていたが、それも見直しだ。


 ダメ・モンスターだと思っていたシルバー・ウルフのビリー・ジーンが、いざとなったら俺のために命を投げ出して盾になろうとしてくれた。これにはさすがの俺も感じるものがあった。


 御大層なことは言えないが、俺は俺なりにやれることがあるはずだ。そのくらいの気持ちにはなった。


「さて、改めて第3階層だね」

「どんな階層になっているかニャ」

「お宝多めの階層が良いね。宝石とか出てほしいわ」


 そろそろ動物は飽きて来たかな。モンスターらしいモンスターの方が戦いやすいね。


 いざダンジョンに向かって出発する前に、俺は自分の考えをアリスにぶつけた。


「今回は俺も戦いと向き合おうと思うんだ」

「危ない目に遭って、少しは真剣になったニャか?」

「『俺ダン』があるからちょっとやそっとのことじゃやられないだろう?」

「いつでも逃げ込める安全地帯持ちになったニャ」


 そうなってみると、逆に戦おうっていう前向きな気持ちが湧いて来るんだから不思議だよね。


「昨夜寝ながら戦闘方法についても考えてみたんだ」

「前向きと評価して良いのか、だらけすぎだと責めるべきか悩ましいニャ」

「俺って『人類最強』とかを目指すタイプじゃないから、『ヒット&アウェイ戦法』に特化しようと思う」


 または遠距離攻撃ね。安全第一ですよ。

 一撃入れて、ダメなら距離を取る。いや、逃げる。そういう戦い方に徹しようと。


「みっともないけど、それでも良いかな?」

「ふふん。もともとトーメーを戦力としてカウントしていないニャ。ヒット&アウェイ大いに結構。本隊行動の邪魔にさえならなければ好きにやるニャ」


 アリスさんのお墨付きももらえたことだし、俺は「卑怯な邪道」に徹した戦い方をしましょうかね。

 こちらには国際条約も県条例もありませんからね。ええ、自由にやらせてもらいましょう。


「それにつけてはアリスさん。ちょっと自主トレをやらせてほしいんだけど」

「ほう。自発的にトレーニングとは珍しいニャ」

「まあやるときゃやるんですよ。長らく『やればできる子』と言われ続けてきましたから」

「そのまま死んでりゃ、世話がないニャ」


 死んではいないヨ。転生しただけだヨ。


「トレーニングと言うと、誰か相手が必要かニャ?」

「所詮『邪道』の修業なので、一軍の皆さんに手伝ってもらうようなもんじゃないのよ。BB団(ファーム)相手で十分だわ」


 それから俺はブラウニーを呼び出して、自主トレに付き合ってもらう段取りを付けた。


「表の商売を休業にしてもらったんで余裕はありますけど、これでも畑や馬の世話、養蜂箱の巡回とか仕事はありますからね?」

「わかってるよ。10分か20分逃げ回ってくれるだけで良いんだから」

「何ですか、その物騒な役割? 何から逃げるんですか?」


 そうピリピリしなさんな。パワハラと言われないように、痛い思いはさせませんから。


「やることは簡単。『かくれんぼ』だ。但し、隠れるのは鬼の方で、お前たちは鬼から逃げてもらう。触られたら負けな?」

「それじゃ『鬼ごっこ』じゃないスか?」

「いや、『かくれんぼ』なんだよ。俺が隠れて近寄るんだから」


 さんざん首を捻っていたブラウニーだが、痛い目にはくれぐれも合わせないでくれと言いおいて自主トレのサポートを了承してくれた。


 いい奴だな、ブラウニー。後で飴ちゃん上げよう。俺ダンから持ち帰った「コーラ味」ね。


 BB団6人を庭に並ばせて、俺はもう一度ルールを説明した。


「良いな? 今から俺は姿を消す。10分間逃げ切れたらお前たちの勝ちだ。見事逃げ切れた人には『シングルモルト高級ウイスキー』を差し上げます!」

「何スか、それ?」

「旨い酒だ。ウチで作ってるのとは違うジャンルで、度数が高い」

「おっ、良いっスね!」


 甘ったるい名前の割にブラウニーはいける口らしい。すっかりその気になってるわね。


「準備は良いか? それじゃ、俺は隠れるぞ? 3-2-1、どろんぱっ!」


 俺は声に合わせて俺ダンを発動し、黒い影に飛び込んだ。


「えーっ? そんなの卑怯っスよ!」


 ダンジョンに飛び込む寸前、ブラウニーの叫びが聞こえた気がしたが、気にする俺ではない!

 卑怯で何が悪い! 正義は正しいのか? あ、正しいか。


 それからの10分間、俺は「ダンジョンの中から地上の様子を覗き見る」という能力を磨いた。


 できるはずなのよね。だって増田は望むところにどこダンの入り口を開いているんだから。

 地上の様子が見えていなければ、そんなことはできっこない。


 俺ダンに飛び込んだ俺は、天井がマジックミラーになっている部屋を想像した。

 マジックミラーについてはイメージしやすかった。こんなところで企画もの動画が役に立つとは……。


「良し! はい、ブラウニー君、タッチ!」

「ひゃうん!」


 それからの10分、おれは男の尻を撫で続けるという「誰得」なゲームをひたすら続けた。

 2度、3度とデリケート・ゾーンを触られた男たちは必死になって逃げ回ってくれた。下から見ていると面白い。


 しまった! スカートをはかせてからやれば良かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] やはり男色の気があるのか.... 小説の主人公にマゾは多いよね
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